できる夫は苦悩する勇者のようです Remake

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303 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/11/23(水) 11:12:44 ID:T1al.Of.

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       ,ヘム_ィ イリ7.'   ´´l.リ`ヽ  ',              ,. '´.     ___
.....  __,/   ` <ヽ  __ , '´  .r'-‐¬              ,. '´.     ´       ` ヽ _
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.....:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./⌒ヽ. ´    /  ´   l         ,. '´....  /       、_ `ヽ_,,}  ヽ `ヽ
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:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ /     ヽ     l` / / /!... ,. '´.       l          `ー--'    `化ヽ /  ヽ
゙:.:.:.:.:.:.:./  ./    _ __ヽ-、   !/. ,' l..゙,. '´.         i    u              、  ヽ ∨   ハ
:.:.:.:.:.:.:.:l _十''''''''""     \ <.... ,. '´.           l           _       '     j    ハ
:.:.:.:.:.:.:.:.', l  ̄  ̄        ̄...,. '´..゙゛'' ..,,          ',            ´   `ー――-、   l
_:.:.:.:.:.:.:.:ヽ.',―ー==―---    ,. '´        ゛'' ..,,      ヾ ` ー-、                  ノ      l
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`-‐':.:´:.:.7 ‐-  _゙,. '´ : : : : : |: : |: : : : : | 、: :..゛'' ..,,...  ` ヽ `ー- 、 ー '   ヽ/       j
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.://, ,.. ,. '´ : :ハ,: {: : : : ,: :|: : : : : |ハ: : }!: :i:.|:..゛'' ..,,... \   ハ  r―、 イlヽ        /
.゙:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.://./,..,. '´...|:|: : | {: 、: : : :ヽ}: : : : :リ __|:_/-、: ;|: : : :.|: :. ゛'' ..,, / } j ヘ 〉 ∨       /
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./!...,. '´..:.:|: :T{:ト-:、∨_ヽ: : : : :、__,.ィ /_イ }:/ |: : : :.|: : |     ゛'' ..,,. {    j     /
          ,. '´..゙: : : :|ヽ:{  ヽゝ \. ヽ: : : : :./ィrfィ斥ミ、_ ': : : :.:|: : |         ゛'' ..,,       /
        ,. '´  ∨:.|: : {:.,.ィ≦斥笊ら  ∨: : / {r、_,刈   ;: : : : : |: : {             ゛'' ..,,/
      ,. '´     マ{\ムr、r、 込こソ   }:/  `  ̄´  /: : : : : ;: : : :                    ゛'' ..,,
             /: :.∨/ }! }       ´,        /: : : : : /: : : : :                        ゛'' ..,,
           /: : :/ / 〈! i               /: : : : : ∧: : : : : : : :                      ゛'' ..,,
          /: : : : ∧ ', }! }__       _      /: : : : : : {: :ヽ: : : : : : : :
.         /: : : : : : :ヽヽ}    `  ー 、   `   イ,': : : : : : : |イミ、: : : : : : : : :
         {: : : : : ,.ィ三≧、_        ヽ..  '_´,ィ/: : : : : : : :.|三三\: : : : : : : :
          、:,.ィ三三三ニ}: : :>- 、__ ,    } ∧  / : : : : : : : : |三三三三ヽ、: : : :}
          {三三三三ニ|: : : : : : :∨}_/ ̄ ̄}.∨: : : : : : : : :.:.|三三三三三}: : :/

304 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/11/23(水) 11:12:55 ID:T1al.Of.
本編つくる片手間にこんなの↑作ってたり(´・ω・`)

以前ちょっと話題になった、yyログ消失対応の一部です。
Ep1~yy時代および、したらばに移った後の地の文を
―――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――
で囲んでいないところまではさらっとリメイクして再投下しようと考えています。
本編を作る合間にやってる程度なので気長に待っていてください。

・・・それにしても昔のファイルみると作りが荒くて、
見た目はかなり変わりそうですね。

1.



           ,  -===-
          //: : : : : : : ヾヽ、
            ,'//: : : : : : : : }ir:、マヘ,
         i,'/: : : : : : :/`{i : : V}!
        rfユ: /.: .: :/ ⌒‘,: :ァ))
       {^i。}厶ィ、__,  、__, トN {i^}
        モ〃::从   ,   〃: λチ.       ………私の師匠が英雄を追う者であったように、
          ´'ヘ、少s、`_´.ィ厶イノ.         私も勇者と呼ばれる冒険者の足跡を追いました。
         _ __,[ .:}}={{ .:]、___
        ,´ {i{ .: ≦ ≧ .: :}i} `ヽ        人の良い彼は、他人のためにと旅を続けるうちに
         |  {iレ.: .: }i}v{i{ .: :.}i}  i       勇者の称号を得、それを誇りに思い、
     /⌒>、 Yz= 「y⌒ヾュ=ュY |.     人々の期待に応えようとますます励んだ結果、
     (,>." '^>〈ヽ {/ ^》 .:ノ .: .:}  |       やがて称号に振り回されるようになってしまったのです。
      \> . _j≦.:ゞ= :∠.,__,.ィ   |
       ⊂ニ 込ヾ==彳》二 |   |.        このお話は、そのようにすり減っていた彼と、
        | '´{i`ミ辷辷〉l }:i}`ヽ |.       英雄の道筋とが交差した刹那の物語―――
        ヽ _ラ´`く辷ソヲく  __ノ
         /へ ___`く>__》:、
       ,. : ´\{{ ・[Ε}} ・ }}ノ`: .、
     / .: .: ,イ/`¨¨¨¨¨¨´ 包 .: .:\
   _/ .: .: ,イ∨.: .: .: .: .: .: .: .: .:マム .: .: .\ __
  ヾiヘ .:\ハマ .: .: .: .: .: .: .: .: .: .',マム .://iフ



   ┌─────────────────────────────────────┐
   └─────────────────────────────────────┘
   ┌───────────────┐
   └───────────────┘
   ┌───┐
   └───┘

358 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:01:11 ID:eEJrO9II
2.
―――――――――――――――――――――――――
  冒険者の集まる酒場。

  昼食の時間も終わりが近いと言うのに
  客足がまったく途絶えようとしないのは、 
  この所暴れていた海賊団が壊滅したと言う知らせが
  二日前に入ってきたからだった。
―――――――――――――――――――――――――



      ___________________________________
                      |__|___|                 |__|___|
      ⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒|____|_|⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒|_|______|
                      |  |     .|___________|_|____|_|
         |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|                    ||__|
         |  おい聞いたか!            .| 聞いた聞いた!             |_|_|
         |  北の海の海賊団が壊滅した    | 騎士団も手をこまねいてたのに|_|_|
         |  んだってよ!            | いったい誰がやったんだ? ......|_|_|
         |                             |                       ...|_|_|
         |___________ ___|                    |  ,/;:;;ヽ
                      |.   ∨|    | ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.| ̄ ̄| ̄ ̄/;;;:;::;ヽ
               ∧_∧   __∧∧__ ∧∧_∧_∧__ ∧_∧___ /,;;;;;;;;;;;ヽ
    ∥ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∥´) ∥   ( ゚Д゚,)  (゚Д゚,,)  ∥∥ )__ (・∀・ )    ∥ l!リl
    ∥                ∥ ⊃. i三i日と と i三i 日0 l  ∥∥ ⊃/ヽヽ ̄ヽと)  .  ∥iiiiiiiiiiii]
    ∥                  ̄ ̄l========|  ̄ ∥ . ̄ ̄l =====| ̄ ̄∥:::::::::::l
    ∥___________|____∪∪__∪∪|__∥____|__しし___|__∥:::::::::::l

359 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:02:14 ID:eEJrO9II
3.



                                                              f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ
     「もしかしてアレか、                                           |  はぁ……   >
     とうとうこの国にも勇者様だか英雄様だかが                                乂______ ノ
     来ちゃったんじゃね!?」

          「バカねぇ、そんな都合の良い話あるわけないでしょ」
                                    _____
        _.             , -―-ミ.          /三三三L             _______
       /////\.     }>f7.:::::::::::::::::く⌒     /三三三三ハ}            ___.//////ハ
     ////////,ハ     r匕{从rtァハ}八ミ     }三r-u--u┐..._         / /| //////|
    斗=====气       7::八(' - ノ)) [[]].....≧=ニ二.. /   `ヽ    / /..゙|////// |  __
     it{{  ゚ ij ゚ }j     {::{厂>r===く⌒Y:{ {   L-==ニ../         / /   L_________」 〈:0:〉
.     八乂  = .人       イ  {/  fK )__j7∧   /二二 ノ八((u ハハ '  /....   i j{   |   .|I|
    / ̄ヽー=セ `ヽ.    {{ {{ {{_リV_______{ __〉 }.  }二二二..゙/    }り i '.      人 ^   人......|I|
    {____j   ヽ }iー 、...└r-┤7rfrfrfr{「::{ ./  ノ二二二....^iア    ,ハ从.       〈 r====cメア(__)
   /    ∧   } / !   \.               {二二二二....`rー=斗         } !/////}ハ  |I|
   L__________}   } {|    }                   气x/     \.      / |/////{八ノ|I|
                                   f ジV {.{_     }i
                                       /彳. : :v }     {リ
                「でもよぉ、懸賞金がついたら
                    俺達だってやってみようかって話してたじゃん?
                   そいつら、ただ働き覚悟でやったってことだろ?」

360 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:02:44 ID:eEJrO9II
4.



.          r'ア>‐…‐ミ、
         rく/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\                                              f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ
.        ハハ.:.:.:-=.:.:.:.彡'''゙゙ ㍉ミ、                                          |  ふぅ……   >
.         V.:.:V.:.:.:.:.ミ'´     Vハ                                          乂______ ノ
          〈:.、.:.:\ミ'^   -‐   -}.:..}
         `乂⌒{{   rぅ  iッ乂(.         「やっぱり財宝とか
              ` -、        }              狙ってやったんじゃないかしら!?
             _ノ : .... ー= イ {\
.        _ -{ニア    {>   (\> \         ほらぁ、海賊王のお宝が
.      _-=ニニ乂 ‐-  _\ヘ  r‐‐`  ',.     この辺りに隠されてるって噂が
.      {\-=ニニハ     __ \\_ ̄{   ハ.       昔っからあったじゃない!
.      }-=ニニニニ「⌒⌒〈∧⌒⌒〈ニ}`r ´ニ}\
.      iニニニニ=-}: .   Vハ   Vハ}___ /-=ニV  海賊がその情報とか、
.      {-=ニニニニハ: .    }/} . : }/7ニニニ=-V  もってたんじゃない!?」



                                                  _,ィ
                                        __ ノ7ノ: :ノ
                                          /. . /: :/=- _
                                      {: :{.:/: :/⌒: : . 、 \
                                         V从彡ミ、‐ミ、: : \: :}
                                           }:.  __   ㍉: :\: . .V
                                       乂〉^tッ  }i:Y^Y:ミ/
                「海賊王の財宝はともかく、          r' __    彡_ノ.:./
             やつら商船やらなんやらから           从从从〉  .:''  Vヘ
             かき集めていただろうからな。.          「ミミ、,,,  イ __ノイニ{
                                    _ -=ニノ从彡゙゙<ニニニニ=-ヘ
             ぜんぶ討伐者のものになるとか...  └‐へ-=ニニ}:  }ニ=- -=ニニ>、
             羨ましい話だなぁおい」                Vニノ  /-=ニニニ/ニニ=-_
                                     /rヘ/: :/)ニニニ=-/ニニニニ=-\
                                      /-=ニ> >< <-=ニニニニニニニ=-/⌒V/
                                   /ニ/ニ(//ニヽ)-=ニニニニニニ=-/ニニ=-v/
                                       -=ノ-=ニ}/-=ニニニニニニニニニイニニニ=-V/
                                   {ニハ-=ニニニニ/ニニニニニ=-/ニニニニ=-



―――――――――――――――――――――――
  景気がいい話は久しぶりと相まって、
  ほとんどの客が海賊団を壊滅させた者の正体を
  まことしやかに詮索し、好き勝手いい合う中、
  場違いなため息が喧噪にかき消されている。
―――――――――――――――――――――――

361 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:03:14 ID:eEJrO9II
5.
―――――――――――――――――――――――――――――
  ここに座ってから、いったい幾度目になるのだろうか。

  水の入ったカップを眺めるため息の主はぼんやりと考えたが、
  三桁を超えたところで数えるのを止めたことを思い出して
  また憂鬱さに拍車をかけてしまう。
―――――――――――――――――――――――――――――



       f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ
       |  はぁ………   .|
       乂_______ ノ





    ,  - ―― - 、
     !ゝ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノiー.、
     |    ̄ ̄ ̄  .|'⌒i}
    __.!           |//
 ,i'´  .ゝ ______ .ノ'´ `ヽ
 ゝ __ ̄ ̄ ̄__ ノ
  `  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ´

362 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:03:42 ID:eEJrO9II
6.
――――――――――――――――――――――――――
  やや上目遣いに確認すれば
  向かいの仲間達が変わらずこちらを見つめていたので、
  視線を受け止められない彼は俯きに戻ったのだが。

  そのわずかな動作を見逃さなかった神官の男、
  クラフトがまた、答えの見つからない問いをぶつけてくる。
――――――――――――――――――――――――――



                     -‐ ―-  、
                  /     ‐¬  `  、
                 /.         l    .i
                .,'          .! .i    !
                .,'          ト,、!    ',
                И     i.      l  !. l、  !`
                 l !    !,ィ. /l ト、!. '-‐N.リ
                 レリ'ヘ、   !/'仁リィ  、 ̄ !、
              /´L.'lゞ、ヽ.∩、   , -‐'‐.つ:.`:.:....、
            ./:.:.:./l: :レ'リWN ヽ,>'´  -‐フ'!:.:.:.:.:.:.:.`:.:..、
           /:.:.:.:.:./:.:l´: : : ', !     '  /ノ-!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ     「どうするんだ?
         /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l: : :/ヘl      '  'イ、: :!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!..     このままじゃ干上がるのを
       γ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l': ´: : /ゝ、     イ :_; 」:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.l.       待つばかりだぞ」
       .!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:、:.:.:.:.',; r-</ ./.7'ァ_イ´ 「:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.〉
       l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\:.:.V:.:.:.:ヽ'_/././ 〉 .j:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:-<
       \:.:.i:.:.:.:.:._:.:.-‐>'、;;ヽ:.:.:.:.:. ̄',. ! /l_:.:.:-‐:/「:.´:.:.:.:.:l
        ヽ!:.:/:.:.:.:.:.:.:/:.:.:`´:.<`;;‐y':::ヽレ:::::l:.:.:.:.:.:.:.:.1:.:.:.:.:.:.:.:.:.l
         〈/:.:.:.:.:.:.:._/:.:.:.:\:.:.:.: ̄:7:::::::十:::::!:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ゝ
         ',:.:.:.:.:.:.:7:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/::::::::::::l:::::⊥:.:.:.:.:.,、:ゝ<`丶:.:.:/
          !:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:r=ニ二二ニ=.、'孑`丶‐-_、:.ヽ:.:.:.:.:.:\
       _ _ゝ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l        ├-   ヽ-‐',:.:l:.:.:.:.:.:.:.ト----   _
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                   l       .l`´.¨   ´   ̄´
                    l        l
                  .ト-  _  -‐.l
                   `‐- ― -‐´

363 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:04:11 ID:eEJrO9II

7.



             __
           ′    ` ' 、
       /          \
.      / / / | ∧  \    ヽ
     / / :|:| :| :| |.:.:. ;l_l__.: |: |l
      |  | .:从7ナ'ヘヽ;.:}レ从/ノリ
      | .:| .:.|ィ孑テ' ` |ノイソ}:.|
      | .:.:|  :ヽ, ゞー'   、`´ | |
    ノ.:|.:.:ヽ .::ゝ    _  /| ヽ.    「私たちはどうでもいいのよ?
   /.:.:.ノ:.:.:.:} :.:.:.}` 、_ イ .:.:|:.:、\    リーダーはあなたなのだし………」
 //.:.:./.:.:.:./l .:.:.:.〉_,_,_」-┤ .:ヽ.:ヽ, ヽ
./ {.:.:./ rーく/ .:.:.:/ /∧ ∧  .:.:\〉



                                           ____
                                         /:::::   \
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                                         |:::::::       |
             (ルイズにまで気を遣わせてしまって、   |::::::::::::::     /
                私は何をしているのでしょう………)..   \_:::::::     \
                                         /:::::       |
                                             |::::::::::::      |



――――――――――――――――――――――――――
  もう一人の仲間、
  魔法使いの娘は気遣うように言ってくれたのだが、
  いまの彼にとってはその思いやりも重荷でしかなかった。
――――――――――――――――――――――――――

364 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:04:45 ID:eEJrO9II
8.



                                  ┏┓                                  ┏┓
            -‐-  、                   ┗╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋┛
         /       `  、               ┏╋───────────────────────╋┓
       /,       /   .\.            ┃| ~できる夫は苦悩する勇者のようです Remake~   .|┃
        /   ./ ィ /   / ィ /7.           ┗╋───────────────────────╋┛
        /ィ  ´7i'.l,  ,l l,⊂_ ‐-' <.          ┏╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋┓
        ィ彡  弋'l /´リ‐- リλ   ヽ        ┗┛                                  ┗┛
       ,ヘム_ィ イリ7.'   ´´l.リ`ヽ  ',              ,. '´.     ___
.....  __,/   ` <ヽ  __ , '´  .r'-‐¬              ,. '´.     ´       ` ヽ _
...../---‐――--.、ゝ\i.jイ    」-‐>ヽ          ,. '´...... /        、    (_ ヽ
.....:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./⌒ヽ. ´    /  ´   l         ,. '´....  /       、_ `ヽ_,,}  ヽ `ヽ
゙:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ /´ `ヽ     ヽ.  , , .!...   ,. '´....   /            `゙tッ≧、´  ハ   /\
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ /     ヽ     l` / / /!... ,. '´.       l          `ー--'    `化ヽ /  ヽ
゙:.:.:.:.:.:.:./  ./    _ __ヽ-、   !/. ,' l..゙,. '´.         i    u              、  ヽ ∨   ハ
:.:.:.:.:.:.:.:l _十''''''''""     \ <.... ,. '´.           l           _       '     j    ハ
:.:.:.:.:.:.:.:.', l  ̄  ̄        ̄...,. '´..゙゛'' ..,,          ',            ´   `ー――-、   l
_:.:.:.:.:.:.:.:ヽ.',―ー==―---    ,. '´        ゛'' ..,,      ヾ ` ー-、                  ノ      l
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`-‐':.:´:.:.7 ‐-  _゙,. '´ : : : : : |: : |: : : : : | 、: :..゛'' ..,,...  ` ヽ `ー- 、 ー '   ヽ/       j
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.://, ,.. ,. '´ : :ハ,: {: : : : ,: :|: : : : : |ハ: : }!: :i:.|:..゛'' ..,,... \   ハ  r―、 イlヽ        /
.゙:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.://./,..,. '´...|:|: : | {: 、: : : :ヽ}: : : : :リ __|:_/-、: ;|: : : :.|: :. ゛'' ..,, / } j ヘ 〉 ∨       /
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./!...,. '´..:.:|: :T{:ト-:、∨_ヽ: : : : :、__,.ィ /_イ }:/ |: : : :.|: : |     ゛'' ..,,. {    j     /
          ,. '´..゙: : : :|ヽ:{  ヽゝ \. ヽ: : : : :./ィrfィ斥ミ、_ ': : : :.:|: : |         ゛'' ..,,       /
        ,. '´  ∨:.|: : {:.,.ィ≦斥笊ら  ∨: : / {r、_,刈   ;: : : : : |: : {             ゛'' ..,,/
      ,. '´     マ{\ムr、r、 込こソ   }:/  `  ̄´  /: : : : : ;: : : :                    ゛'' ..,,
             /: :.∨/ }! }       ´,        /: : : : : /: : : : :                        ゛'' ..,,
           /: : :/ / 〈! i               /: : : : : ∧: : : : : : : :                      ゛'' ..,,
          /: : : : ∧ ', }! }__       _      /: : : : : : {: :ヽ: : : : : : : :
.         /: : : : : : :ヽヽ}    `  ー 、   `   イ,': : : : : : : |イミ、: : : : : : : : :
         {: : : : : ,.ィ三≧、_        ヽ..  '_´,ィ/: : : : : : : :.|三三\: : : : : : : :
          、:,.ィ三三三ニ}: : :>- 、__ ,    } ∧  / : : : : : : : : |三三三三ヽ、: : : :}
          {三三三三ニ|: : : : : : :∨}_/ ̄ ̄}.∨: : : : : : : : :.:.|三三三三三}: : :/

365 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:05:11 ID:eEJrO9II
9.
―――――――――――――――――――――――――――――――
  再び頭を抱えた少年の名はできる夫と言った。

  大陸東部から北部のいくつかの国では名の知られた冒険者であり、
  まだ二十歳前だと言うのに偉大な『勇者』の称号を受けている。
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  /   Y/   ゞヽ ,ノ ヘ|   /   \/
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ヽ´    _,,ゝ-ゝへ〈,,,,,,,,,,};; \∠_/
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366 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:05:45 ID:eEJrO9II
10.
――――――――――――――――――――――――――――――――
  実績ならそれなりにあった。

  いくつもの冒険をこなし、多くの人達を助け、
  とある国では貴族の悪逆を暴いたりしているし、
  ふさわしい冒険者になろうと過去の偉人達をはじめ、
  最近この大陸を賑わせている英雄を目標に努力だって怠っていない。
――――――――――――――――――――――――――――――――



                           ,
        ,___             //
      /     \         //
     /  \   / \      //
   /    (●)  (●) \   //
   |       __´___    |  //   「ソ=レナーリ山賊団に警告します!!
   \       |il!|!il|  /.//.     すみやかに武器を捨てて投降し、村から奪った食料を返却しなさい!
.   /⌒~" ̄, ̄ ̄〆⌒,)/
   |  ,___゙___、rヾイソゝ          従わぬ場合は大陸法第五条に則りあなた達を排除します!!」
   |            `l ̄



                                            ,.. -‐===‐- .、
                                           /         \
                                          /            ハ
                                          ,'           lヽ.  ',
                                      l{¨¨ ー‐‐------‐‐y"¨¨}|
                                        _ ! 〉y '´¨'' ,,  ,,. ''¨` 、〈|_
                                     ハ'|.{ {._   八   _.} } |'ハ
                                     《(い モ-゚>←→rくー゚‐彳1|)》
                                     ヽ| |    |,,,, ,,,|、.    | |ノ
                    「ナンだァ………?        ! |   {..l    j..}   ! |!
                   やんのか小僧!」          ヘ!.  _,,‘ーr-r‐',,,,,_  ,. /|
                                          | ヘ''"<三三三>゙''// ↑_
                                       r:::F|  \ >----< /   |::::!`
                                      '´ヘ:ヘ.    `ー―― '´    /::/

367 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:06:11 ID:eEJrO9II
11.



                                       / / / / / / / /ヽ
                                         /⌒ 'ー‐┴┴ </ハ
                                      厶_ヘ   , へ /::\_!
                                       l〈o ヘ /ィ⌒o} ヾ::::::|
                                         rll「「「/ ( `「「「「  }::::/
                                     / !  (r;__、ハ     じ⌒l
   人人人人人人人人人人人人人人人人人人人.     ヽ|   r─、ヽ     , 刀}
  <                            >.     、  「 ̄ | i     广_ン
 <  相手はたった三人だ、やっちまえ!!!   >.      ヽ. |∠´| |    /´{{}_
  <                            >       _ヽ{ニニン  /  _}: :ト、.,_
   Y`Y`Y`Y`Y`Y`Y`Y`Y`Y`Y`Y`Y`Y`Y`Y`Y`Y`.  , r‐'''"´::::ハ二´_/  /: : : l::::::::`'' ー- 、.,_
                 \             /:::|::::::::::/: :∧     /: : : : : :l:::::::::::::::::::/':::ヽ
                   \            ヽ::::|:::::∠:_:_: : : }   /: :_:_:_:_:_:_l::::::::::::/':::::::::::::i
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...゙=  ヴンッ
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    t:V 、__
    /t Y i
.   八-' ,-',
      7/ ヽ
      j     |
      {    |                         \人_从人__从_从人__从人_人从ノ/
.     i ',   .|    ___                  >                 <
..     ', ',   ! /⌒   ̄` : 、            >  エクスプロージョン!! <
      i ', |/           ー'.         >                 <
.       |  ',//!,' / 7  ',ヽ__,   ヘ.        /Y⌒YW⌒Y⌒WW⌒⌒YW⌒WY\
        ,j  //7.{ ハ {i{ i ヘ  T  ヘヽY     ,. ---、
      ,〃:| ///.{ i《7心ヽ、Y ノリ  } i }!    /    ヘ
 __ イ////////i.ヘゞ '   '´ィ心7 /リ   /  ∠--y ノ
. _,.. ///////// ', ∧, -、 ゞ' ムイ ー‐'   /ノ   /
゙_////////////.}  }: :.ノ  イ ', ヘ ー- <T´  _ニニニニt-  _
.. ` <///////ノ  ノr r ≦Yヽ ヽ _  ̄ ̄ ̄  __  ̄ ``ヽ、Y >==、
<       ̄ ̄ //i|☆)}////:T ー----==ニ ̄ ─-< てy、    }i >-、 \
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368 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:06:42 ID:eEJrO9II
12.



                    |l|lil|l     |l|川l|lY|l|l|l|l{
                    |l| l|     |l|  l||   l|
                    |l| l|     |l|  l||   l|
                |l||l|川リ  |l川|l|l|l|l|l|l|l  l||   l|
                |l|            |l|  l||   l|            || || ||
                |l|  l|l|l|l|l|l|l|l|l|川  |l|l|l|川|l|l|ll|l|               || ..|| ||
                |l|川リ        リ   l||                         || .|| .||
         __...|l|         l|  l||.. ̄ ̄ ̄ ̄....|l|l|l|l.  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄―――|| ||__
  _―― ̄ ̄ .|| ||.         |l  l||         |l |l|                      || || ̄ ̄――_
_ ̄       .|| ||             j|  l||     |l|l|l|l|l| ||l|l川|{     |l|l|l|l{|l|l|l|{.      || ||       ̄
  ―_    .|| ||           jl| jリ       |l|       l|     |l  l|  l| }|l|l|l|l|....|| ||   _― ̄
      ―||||              jll jl|      川l|l} |l|  l|l|川       l|  l|  l| |l  |l|..... |||―
.         |||.              l||l|l|         jリ |ll|  l|       リ川l|リ川l| j{  jリ    |||
      |||                        jリ l|l l|  l|                 jリ jツ       |||
      |||.   |\     /\     / |   //  / {l|l|l|l|             j川{.         |||
     ||||..._|  \/\/   \/\/ |∧/ ///    、 " .     ,  ′  .   ´ ,   、 |||
...    |||.....\                     /         i   、. .`  ゛.   i ,  . . " .、. |||
...    ||| ,.゙∠    ギャーーーーッ!!!   >.... .゛.. ii||..     i i   、 ´ ii  ..  " .li   .|||
     ||| . /_                 _ \...   ill|!!i l   ...|ll iii i   i l|l. |li   li||li |il||||
      ||il.. ̄ / /∨| /W\  /\|\  .|  ̄lli || ..iil|||lll.|ll   llll||illli  iiil|iii|||l|i |l|l!liil||lll.|l||
      ||!|i||ill//   |/     \/     \|..ll||ill|ll lll|||lll||!!lillliil.l| |lll||!!lillliill| !!||lll|||lll||!!lilllli||||!lll||
       |||ll|||ill|i||ll||lll!!llll||illll||||||lll||||llll|iill|||||llll|l|l|lll!!llll||illll||||||lll||||lll||!!lillliilillliill||!!!||ll||!!llll||illl||
          ||l||lll|||i||lll||!!!!llll!!|||ll!!!!!|ll!!ll||||!!ll||!!!ll||!!|||lll||!!!!llll!!|||ll!!!!!|ll!!ll||||i||lll||!|ll!!ll||||!!ll||!!!l||!||
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  だがそれらも、なにかしらの二つ名で呼ばれる様になったり
  一流と認められるには足りるとしても
  称号を得るにはまだ不足と言わざるをえず、
  おそらく人々はある『理由』のために
  彼を『勇者』と呼び始めたのだろう。
――――――――――――――――――――――――――――

369 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:07:12 ID:eEJrO9II
13.
―――――――――――――――――――――――――――――――――
  クラフトなどはその『理由』が一般的に定着されるとこまる同業者が
  別物とするために流した噂に尾ひれがつき、
  どんどん大きくなってしまったのではと予想していたりするのだが―――
―――――――――――――――――――――――――――――――――




              r―-、__r―-、
           |―‐z__,r:、__)
              |  |   /  /___r-、
           >―-、__ノr―‐┴'′
       ,. -‐'''" ̄ ̄`―〇ニニニヽ
.      /           \    `〇
     |  残金         ヽ
     |   銀貨 2枚     |
     ヽ  .銅貨 34枚   /
      \_______/




――――――――――――――――――――――――
  とにかく彼らはその『理由』ゆえに、苦しんでいる。
――――――――――――――――――――――――

370 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:07:41 ID:eEJrO9II
14.
―――――――――――――――――――――――――――――――
  先日から、ほとんど気持ちの問題で
  二人の提案をはね除けていたできる夫は
  どうしても譲れない部分があるのです、と自分の考えを繰り返した。
―――――――――――――――――――――――――――――――



       ____
       /    \
.    /   ノ '  ヽ\
.  / /)(ー) (ー) \
  | / .イ    '       |     「私達からお金を求めることはできません。
  ∨,'才.ミ).  -‐‐-  /
.   | ≧シ'        \      皆、心からお礼を言ってくれているのです、
 /\ ヽ          ヽ.     それが何よりの報酬ですし………」



                                       _r'´  ̄   ̄``‐- 、
                                        /  l           \
                                        /  /!   l         ヽ
                                    /ィ /,' /レ」/! /  l       ',
                                    /ィ〈./' ' `l'.レ/.  l  l ,     ',
                                     ´ / 、""´ /ィ /ル /レl /    l`
           「わかっている。                     <      ´ .イ'//リ_ハ!    ヽ
         お前が本当にそう思っているのは.         `       l/r<    /レ'` `
         俺も、ルイズも、十分に分かっている。       ヽ ̄`    ./  l   ./
                                       ,'i i i , , __,ノ,  .'レ、 /
         だがな、たとえ勇者でも              ゝ-==´ ,-'‐――'‐'┐
         金がなけりゃなんにもできないんだ」            /'/」  ,. .、-‐┬ヽ、
                                       ∠_ >ニ/ヽ: : :ヽ_: '-‐<
                                       // ̄:ヽ;/´ ̄:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
                                     //`丶/´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
                                    /./_: :/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l
                                   /./: : :/:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l

371 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:08:11 ID:eEJrO9II
15.



        ,. - '::´ ̄ ̄:`::ー-、
      / ,.: : : : : : : : : : : : : : \
     /: : /: : ,: : : : : : : : _ : : \: .\
     |: : i : : {:./: : : : : :、: ヽ : : ヽ: : i
     |: : ト、ハ|.: : : ヽ: : ヽ: :|: : : :|: : |
     |ハ:.i !\:.ヽ.: : : :|: ハ|: :.|.: : : |: : |
      从弋ト、:.!: :!_」斗ヤT: : : :|: : |
       |:.| ヒリ |ノ 弋たト/: : : 八: :|
     /|人::: 、   ::`ー' /: : : /: : ヽ!        「クラフトのへそくりも底をついたし仕事もないわ。
     (:._ノ: : \ r 、   /: : :.∧: : : : \.       宿代だって今日までしか払えないのよ?
    / : : : : : _}>、 _, ィ: : : /: :ヽ: : : : : \
   (.: : : : : /:/:.:.:.:ムr:/: : : /\: : \: : : : : \..   ついでに言うと、
    ヽ : : 〈:.:.:.:|:.:.:/A.Y : : : {:.:.:.:.\_: : : : : : : ).   昨日からご飯も食べてないわね」
     ) : : \_:i:.:.|.X/{: : : : :\――┴┐: : : /
弋二¨´.: : : : : 人V|/::{__: : : : \:.:.:.:.:.:.:{: : :/
人_ノ: : : : /:.:,:ィ介ー―‐‐): : : : : }:.:.:.:.:.:.〉:(
{___:./:.:/::/i!.|:.:.:.:./: : : : : :ノ:.:.:.:.:./: : :\
   厶イ/>く ノi \:{: : : : : : : (___:.:.:.:.:|: : : : : :\
   |::/|_/   \__rく∨: : : : : : _厶:__:.:.|: : :\: : : \
   |/  |     \_}J\: : : ___/:.:|: : : : :): : : : )
   |\  \     \  \_>:.:.:.:.:.:.:.:.|: : : /: : : /
   |: : :`ーr-、>、    /|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|: : /: : :/



―――――――――――――――――――――――――――――――――
  もとはとある国の上級貴族で、金銭面では不自由のない暮らしが
  約束されていたはずのルイズだが、
  冒険者にしても質素すぎる生活に心から文句を言ったことはなかった。

  本心を隠すような嫌みは絶えないとしても。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

372 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:08:41 ID:eEJrO9II
16.

┌──────────────────────────────────┐
│  荷物や手紙運び → 初心者向けで受けられない                .....│
│  商人や貴族の護衛 → 受けられなくはないが、依頼が出ていない        .│
│  怪物退治、素材入手 → 受けられなくはないが、町の外にでるための     .│
│                       食料、消耗品の準備すらできない           │
│  賞金首 → どこにいるかの情報を得るために盗賊ギルドに払う金がない  ....│
│  野盗・山賊退治 → 近所にめぼしいのがいない                  │
│  怪しい依頼 → 勇者が受けるわけにはいかない                      |
└──────────────────────────────────┘



                                      f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ
                                      |  どうするんだ?  >
           ____                          乂________ ノ
         /   ∪  \
       γ⌒) ノ三三三ゞ(⌒ヽ                    f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ
      / _ノ (>)三(<) \ `、                    |  どうするのよ?  >
     (  <:::∪::::  __',__::::∪|  )                    乂________ ノ
      \ ヽ ::∪:: `ー'´∪:://  「ううう………」



―――――――――――――――――――――――――
  彼らの言うことはもっともであるし、
  できる夫も自分のわがままなのは十分承知している。

  それでも勇者の名に恥じない依頼が見つからない今、
  どうすればこの財政難を乗り切れるのかが分からない。
―――――――――――――――――――――――――

373 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:09:14 ID:eEJrO9II
17.
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
  ちなみに、この世界に勇者という技能職や契約職は存在しない。

  単純な実力で得られる「剣匠」などの称号とは異なり、
  受け継がれる血脈、時代が求める宿命、
  または何かの偶然や人の世の都合により選ばれた者は
  その生き方を現した称号を受ける。

  優れた才知や実力を持ち、理想の道を歩み続けて非凡なことを成し遂げた者なら「英雄」と。
  多くの強大な理力魔法を身につけ、
  それらを世のため人の為に役立てた者なら「魔法王」や「大魔法使い」と呼ばれ、
  司祭職にあり、大いなる者を支えたり、自らも慈愛をもって
  人々を癒した清らかな女性ならば「聖女」と呼ばれたりする。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



                                        ,;:.:.;:;:.,,.
                                       .:;:.:.:;:.:.:.:.;:.:.:;:
                                     :.:.:;      .:;:.:
                      ___          :.:.:..  .:;:;::.:.  .:.;:.::
                        > ´      ` <        ::.:.:  :;;:.,  :.:::.::
                  /               \       :.:.:.:...   .:.::.::
                     /      \_    /  V       .::.;´/¨|:.:;`:.;;:
                /    (● .)    (ー ) V         ..| .|
                |          ヽ     |          .| .|
                     ∧.  _    `ー ─    /         | .|
             _ -‐‐- 、.|i i| ___           イ        ,-‐イ ̄ヽ、
          > ´       |i i|   ヽ     T、         { / {  ム  i
        /{     i    i...|i i|__           .\       {ニつー '   }
 _,.___{ {  {  .|     | .|i i| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 { i|气气气i  i  |  |     | :|i i| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄
 `ー'¨¨¨¨¨¨ヽ ヽ _ゝ_i.. _ ,'|::|i i|_..|───────────────────
          7         .`|i i|¨´              ヽ  /    i
          ー--─‐ヾー'...|i i|            i    .`y’    .i
                    ∧  |i i|             i    /       i
                   ∧  ̄               i、        /
                  ∧               i \      /
                      ∧                   i  .>   /
                   ヽ              i    ` ´
                    }              i
                    /               i
                       /                i



――――――――――――――――――――――――――
  「勇者」もそのように生き方を現した称号の一つであり、
  できる夫も正確には魔法騎士という
  戦士と魔法使いの複合職に就いているのだ。
――――――――――――――――――――――――――

374 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:09:44 ID:eEJrO9II
18.
―――――――――――――――――――――――――――――――――
  同じぐらいの実績をもつ他の冒険者であれば成功者として引退したのち、
  大商人や貴族の血縁と結婚して裕福な暮らしを手に入れたり、
  どこかの国と繋がりを持ってさらなる高みを目指していてもおかしくない。

  少なくともドアに鍵が掛からない、すきま風だらけの宿屋で
  水で空きっ腹をごまかしているようなことなどないはずだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――



       . ─―─‐ 、
      , "          \
    /           \
.    /        _/::::::\_ヽ
    |            :::::::::::::: :..
    |  u    ( ー):::::::::( ー)
.    \             ´   /    (どうして……
     ,\        ` ー‐‐/     こうなってしまったのでしょう……)
    /  ` ー─         \



――――――――――――――――――――――――――――――――――
  腹筋に力を入れて腹の虫が鳴かないようにした彼は
  どこかで間違ってしまったのでしょうか、原因はなんだったのでしょうか、と
  自分が辿ってきた道のりを思い返さずにはいられなかった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

     - - -- ── ────────────────── ── -- - -
          - - -- ── ──────────── ── -- - -
                  - - -- ─ ── ─ -- - -
                       - -  - - -

375 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:10:12 ID:eEJrO9II

19.
――――――――――――――――――――――――――――――
  十五の時だった。

  故郷の宿屋にやってくる吟遊詩人たちの謳う英雄譚に魅了され、
  もともと生来の気質で大勢の役に立ちたいと考えていた彼は
  若さゆえの行動力で家を飛び出し、念願の冒険者になった。
――――――――――――――――――――――――――――――



        ___
       /     \
     /   \   ノ\
    /   ( ●)  (●)\
    |         ´     |
    ヽ、       ⌒   /    「お父さん。
     ノ          \.     私は家を出て冒険者になります!」



                                              ||
                                              >-||-<
                                            , .|:::::::::::::::|..,_
                                           /゙ .|:::::::::::::::|  ` 、
                                         〃  ..|:::::::::::::::|    ヽ
                                       /     .|:::::::::::::::|    .ヘ
                                      ,-‐7     `¨,ノ i,¨´     .',y~ヽ
                                        i  i    , -'"´   ``ヽ、    .i .7
                                       ', i      ●    ●      i ./
        「できる夫は爺さんに似ちゃったんだなぁ。   ヘ .i  ''''' _____  ''''  j 7
       決意は固いみたいだね」                'ハ ャ'"¨:::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ, 7 i
                                     , ィ::7 ', ヘ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::7 7 i-、
                                   ∠:::::::7  ハ ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::ノ /  .j:::::>、
                                 /:::::::::::::ハ、__ノヽ、 ゝ、 __,,-'" イ、__ノ:::::::::::::::>、
                                 /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::>-------<:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\



     ____
   / ~~~\
  /  ~~~  \
/   -(◎)―(◎) \
|   ( ( (__人__)))  |
/     ∩ノ ⊃  /   「ワシも若いころはあちこちでブイブイ言わせたもんじゃ。
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |     できる夫よ、男が一度決めたからには必ずやり遂げるんじゃぞ!」
 . \ /___ /

376 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:10:42 ID:eEJrO9II
20.
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
  実際、そのようにして生まれ育った場所から飛びだしていく少年は多い。

  だがその多くは、厳しい現実を目の当たりにして
  志し半ばで倒れたり、家に逃げ帰って退屈だが平穏な生活を繰り返すものだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

┌───────────────┐
│  協力                  │
│  やる夫=ニューソクデさん   ....│
└───────────────┘



  _∩
 / 〉〉〉
 {  ⊂〉     ____
  |   |    /⌒  ⌒ \
  |   |  /(●)  (● ) \
  |   |/:::⌒(__人__.)⌒:::  \     「やるおも冒険者になって
  ヽ   |     |,┬‐ |       |        お姫様とイチャイチャするお!」
   \.\   `ー ´     /
     \       __ ヽ
      ヽ      (____/



┌─────────┐
│  ↓三日後↓   ...│
└─────────┘



      / ̄ ̄ ̄\
    / ─    ─ \
   /  (●)  (●)  \       「冒険者?無理に決まってるおそんなの。
   |  \ (__人__) /  |       剣とか持ち上げるだけで筋肉痛になるし、
   \_ | ` ⌒´ | _/       野宿とか超怖いし野グソだし、
    /        |          隣の町まで歩いて三日とかどんな罰ゲーム?
   (_)| ・    ・ ||
   l⌒ヽΞ   Ξ/| |          地元で『ようこそ○○村へ!』って言う仕事で十分だお……」
   | |\_(;;U;;;)_ ̄)) 
  (_)      //
         ( _)

377 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:11:18 ID:eEJrO9II
21.



          / ̄ ̄ ̄\
       /─    ─  \
      / (●)  (●)  ヽ
       |:::⌒ __´__ _⌒::  |`ヽ
   ,ィTl'ヽ\  `ー´    /`ヽー;、  「まずは見聞を広げるために
    kヒヒど, ((        (({⌒Yィ 、 ソ   お使いをこなしましょう」
      `´ ̄ヽ      ハヽ/`^ー′
           ヽ   ` /  '}
            >   /ごノ
        __,∠     /    
      〈、    /  キュムキュム
       \、__ノ



     _
   〃   `ヽ
   イハ〈ィ,ノ゙メリ,ゝ
   "メ(!!,,゚,,ー゚ノ゙
   f゙jモ|¥モ!゙i   「なんか危なっかしい小僧が
.   (ュイzzzzEj_)   輸送依頼を受けてるなぁ」
     }={={
    (ニフこ)


――――――――――――――――――――――――――――――
  しかし、運も実力のうちと言うべきか。
  まさしく運と、それが引き寄せた信頼できる仲間との出会い―――
――――――――――――――――――――――――――――――

378 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:11:44 ID:eEJrO9II
22.



          ′    ` ' 、
       /          \
.      / / / | ∧  \    ヽ
     / / :|:| :| :| |.:.:. ;l_l__.: |: |l
      |  | .:从7ナ'ヘヽ;.:}レ从/ノリ
      | .:| .:.|ィ孑テ' ` |ノイソ}:.|
      | .:.:|  :ヽ, ゞー'   、`´ | |
    ノ.:|.:.:ヽ .::ゝ    _  /| ヽ      「あら?あなた魔力あるのね?
   /.:.:.ノ:.:.:.:} :.:.:.}` 、_ イ .:.:|:.:、\     魔法は何か覚えてる?」
 //.:.:./.:.:.:./l .:.:.:.〉_,_,_」-┤ .:ヽ.:ヽ, ヽ
./ {.:.:./ rーく/ .:.:.:/ /∧ ∧  .:.:\〉  }
ヽ l .:レ':::::::/ .:.:.:.:∧' ⌒∨:::::\  .:.ヽ ノ
 \! :l:::::::::l :.:.:./、:ヽ、/:::::-ー:}  .:.:.:.Y
   }/::::::::::| ..:.:{:::\_::_/::::::::::::|  .:.:.:/
 /l::::::::::::::\ :ヽ:::ノ:||:\:::::::/ .:.:.:.∧ヽ
./  |:::::::::::::::::::〉 .:.\:||::::::ヽ/  .:.:.:/:::::|  \



         ___
       / ⌒  ⌒\
      / (⌒)  (⌒)\
    /   /// __´__ /// \
     |       |r┬ |    |    「自分に魔力があるなんて初めて知りました!
      \       ゙ー'    ,/.      よろしければ私に魔法を教えてくれませんか!?」
      /⌒ヽ         ィヽ
      / rー'ゝ       〆ヽ
    /,ノヾ ,>      ヾ_ノ,|
    | ヽ〆        |´ |



―――――――――――――――――――――――――――――――
  ―――そして、ほんのちょっとの実力で彼と仲間たちは成功し、
  いつの間にか世間で勇者と呼ばれる立場になってしまったのである。
―――――――――――――――――――――――――――――――

379 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:12:12 ID:eEJrO9II
23.

┌────────┐
│  取材協力   ...│
│  ルイズさん    .│
└────────┘

【Q.あなたから見た、勇者できる夫はどんな人物ですか?】


             __
           ′    ` ' 、
       /          \
.      / / / | ∧  \    ヽ
     / / :|:| :| :| |.:.:. ;l_l__.: |: |
      |  | .:从7ナ'ヘヽ;.:}レ从/ノリ
      | .:| .:.|ィ孑テ' ` |ノイソ}:.|
      | .:.:|  :ヽ, ゞー'   、`´ | |.        「間違いなく善人ね。
    ノ.:|.:.:ヽ .::ゝ    _  /| ヽ         お人好しで疑うことを知らないし
   /.:.:.ノ:.:.:.:} :.:.:.}` 、_ イ .:.:|:.:、\..    バカが山盛りでつくぐらい正直で真面目よ。
 //.:.:./.:.:.:./l .:.:.:.〉_,_,_」-┤ .:ヽ.:ヽ, ヽ
./ {.:.:./ rーく/ .:.:.:/ /∧ ∧  .:.:\〉  }....  そういう不器用なところも含めて嫌いじゃないわ」



                                        /                 \
                                       /                 `ヽ 丶
                                   /        .:ノ            ',  ヽ
                                     / /  /   .:.:/     :ヽ:. ヽ:ヽ   V   l
                                     l.:.|  :/  .:./.;イ    :ヽ:...:.:l.:.: .:|:..:l   l:  !
                                     |.:.| .:l .: \!/ l:.:{  .:.:.|ヽ:.:}ヽ .:j .:.!    |:.  |
                                     ヽハ:l:.| !:.:.:jV\{:八 .:.::.l }:/_,j;ィト:.l   .:l:.:  |
.   「きき、嫌いじゃないって言っても                ヽ从:.: iイfチ心ハ 、从ィ厶斗<V  .:.jl:.:  |
.   別に好きって訳でもないんだからね!?.           \ト小._V;zソ ノ/  V;;_z1 '/  .:.:.:ハ:.:. 八
                                          リ :} .:::::: ,     :::::::..  /  .:.:.:/.:.ヽ:.:.: ヽ
.   あの、その………                       _..ノ/八            /  .:.:.:/.:.:.:.:.\:.:.  \
.   危ないところを助けてもらった恩もあるし!」    , -‐´ :/ .:.:>,.、 ´ ヽ   ィ′ .:.:.: ハ;.__ .:.:.:.:\:.:.:   ̄`丶、
                                    〃 .:.:/  .:.:.:.:.: ノ'¨ ヽ、_ , ィ≦7   :.:.:./'´  ヽ.:.:.:.:.` ー- 、:.   ヽ
                                     l .:./  .:.:.:.:. ;.'イ\ ノ} /`∨  :.:.:.:{     ゝー、.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:  }
                                     {.:/  .:.:.:.:.:/  }  Vx1_/  {   :.:.:.:ヽ      ∧.:.:.:.:.:.:.:}:.:. ,′
                                   〃  :.:.:.:./   j/  ̄ ̄ ヽ入   :.:.:.:.:.\      ヽ.:.:.:.:./:.:/
                                   {  :.:.:.:.{      |     /  \   :.:.:.:.:.\     ):.:/:.;イ

380 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:12:44 ID:eEJrO9II
24.

┌─────────────┐
│  取材協力          ....│
│  クラフト=ロレンスさん    │
└─────────────┘

【Q.あなたから見た、勇者できる夫はどんな人物ですか?】


        /     ,        ,       /、
.       /     /       / ィ/ //   イ \
      /    //ィ       / /x!,ィ/,イ  / /ヘ   {
      ,イ /  ハイ' |  j|  /l/ ' ,レ≧x;ィ イ / /   il
     厶‐ァ  ´ i"(ミxリ! / | ,:′  ヾテヌゞレ'l/ /ィ  i !
      / ,イ  ヾ 辷 |,′l/      ゞ'’  :' ,ィfナ ィヾ!
.     /'′| i   ゝ-、"        ´   {;リソ〃リ
       jN    i !            ヾ /′
        レ{ , ,ィj li!      、     イ           「いまどき珍しいぐらいまっすぐな奴さ。
       ___j_ムチ ヾ\     ` ̄ ヽ /′
       j    ̄ `丶 、 \;///,ィ.,;._` /                不器用で頑固だがそれが良いって奴もいる、
   ___ /           1ヽ `ー:、≧{ `ヾ:、.             俺みたいにな。
  /:::::::`:.ァ:、.___     !  \ }/´`ー- 、 ヽ
/: : : : /: : : :`丶ミ≧:、 L___ゞ(  ;ャァ'´ ̄ `ヽ         勇者=慈善事業、みたいな世の中だから
:-: : :/: : : : : : : : : :_≧ュミ:、    };>'  __    ‘,.        狡っ辛いのが付いている必要があるだろ?」
`:、`ー-:、: : : : : : :/: : : : :\、 才{__ .ィ´       ヽ
.:.:.:.:`ヽ、\: :./: : : : : : : : : \ノ;ィ{ 、___,       丶
.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ. \: : : : : : : : : : : : :Z、 ≧一’{`ー      Yヽ
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:≧ ヾ: : : : : : : : : /: ≦ ゞ: : : ゝ       |⌒V



――――――――――――――――――――――――――
  困っている人を見ると黙っていられない質のできる夫は
  勇者向きと言えなくもないが、
  依頼でもないのに働いてしまうことが多々あり、
――――――――――――――――――――――――――

381 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:13:13 ID:eEJrO9II
25.
――――――――――――――――――――――――――
  このあいだも村を襲っていた山賊団を自主的に退治して
  奪われた品をすべて取り返してやったはいいが、
  被害に遭っていた村人達は礼を言うだけで
  謝礼は銅貨一枚だってよこさなかった。
――――――――――――――――――――――――――



  .「おい、噂のご奉仕勇者が来てるぜ!
   困ってることはありませんかだってよ!

                      「まじかよ!?
                       宿屋に出してた依頼、取り下げてくる!」

        - ==!             ' -―  ー、
      ,イ:::.. :..:.: ..:ヽ         /       ハ
     i::::::::::::::::::::::::::::::i        //,   //l   i
     l::::::::、イ::r;:::::_:::::j        !イ///イ/ |l |  |l
     !{ヽ:イ/メ jl |'l:::/         川r</ /ィ´! lト、! j
     ヾ リ `ー' ハT´ソ         リイ ゚`} /゚´  Y リ j /
      ヾト ー ' /'          `|j /     | j|イ/
  __,, -≦ハ ヽ イ-、_            !ハ`r ァ   ノイ/
 /////////≧=≦////77ヽ      リ ヽ _, イ  {
 ////////////////////ハ      ,, -rィ  / / )ヽ
 ////////////////////ハ ,ィ´  ̄  / |l    ' // j `ー 、__
 ////////////////////// j      / |l`ー'゚ // /     , `ヽ
 ///////////////////// l       | i //      /  ハ
 ////////////////////  |        ヾ'/          /   ハ



―――――――――――――――――――――――――――――――
  本来、野盗の類を討伐したのなら、そいつらの所持品や生殺与奪は
  討伐者の自由にして構わないとされるのに、である。
―――――――――――――――――――――――――――――――

382 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:14:12 ID:eEJrO9II
26.
――――――――――――――――――――――――――――――――――
  彼自身はそれで満足しているが、
  世の中理想だけで立ち行かないのが現実で。

  ときおり貰えるお情け程度の謝礼と、倒した怪物の素材を売った収入では
  質素な生活を強いられてしまい、
  消耗品の補給や戦力の拡充はおろか、
  実家から持ち出した武具を補修したり更新する余裕すらない有り様だった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――



         ,′ :.:    i .:.j{.:.:.:.ハ.:.{..:jノ    ヽ:\    \ ヽ
.        i  |.:.:     |.:-八.:.‐{七j´:{.:.:..  `ト、!.:.:.:j    } |
.        |  |.:.:     | /ァz≧=.kハ.:ヽ:.:  .:j.:.j\ハ.:.: .:.:/:.':j
.        |  |.:.:     l'彳 {iヘ j|ヾ ∨}.:.: .:.,仟≦k |j:.:.:.://∨
       j !:|.:.:   │` r'::チリ    j.:./ {iヘイハ}从/イ
       ,′l ハ.:.:.    |  V_少       r' リ  /.:.:.「 |
.      / :/.:ハ.:.:.   l  :::::::::       、 ヾ''  ,'.:.: │:!....   「私、新しい魔法書が欲しい!
.    /.:.:./ .:.:.:.ヽ :   !           :::::::::: i.:.:  |八
.   /.:.:.:.:/.:.:__,r-ヘ .:..  ',      「   マ     イ.:.:  |:. ヽ....  そろそろ招雷とか~、
 /.:.:.:.:.: // ::::::::::: i.:.:.:. ヽ丶、   ゝ /   イ.:.:!.:.:  {. :.:. `ー- 劫火球とか~、覚えられると思うの!」
.'.:.:.:.:.:..:.: / ::::::::::::::::::::|.:.:.:.:.: \ > ‐-/⌒\│.:.:.:.:.:. ヽ__:.:.:.:.:    `ヽ
.:.:.:.:.:.:.:.:/::::::::::::::::::::::::j.:.:.:.:.:..  \ ̄/ /⌒ \ .:.:.:.:.:  \`ヽ:.:.:.:.:.   i
.:.:.:.:.:./\:::::::::::::::::::/.:.:.:.:.:.:.:   ∨  ′ /⌒_ヽ_ :.:.: :.   \}:.:.:.:.:.:  j
┌─────────────────────┐..... ヽ:.:.:.   /
│  魔法使いが新しい魔法を覚えるには       │     }:.:.:/
│  魔法学院で教えてもらう(有料)か、       .│
│  魔法書(有料)から独学で学ぶ必要がある  ....│
└─────────────────────┘



              ,  -―-  、
          ∠     _r 、rヽ
          / /   >ヽヽ ヘt
            i i  i iレ`iヽ    !
          レ W巡!厶 _jΔ   」__
          {レ' ‐-  -- ヽ∧ >'⌒ヽ
           ヾ    |  / ∨::::::::::::::`::..、...   「そんな金はない。
            }\ ‐‐ イ   \:::::::::::::::::::\...   自分の小遣いを貯めて買うか
         _ r 个 弋. イ 卜ー--‐ヽ::::::::::::::::::::::\.  新しく編み出してくれ」
     _....:::::´├―ト、 `∨' ├ヘ::::::::::::::::::::::::::::::::::/
   /::::::::::::: ├─ l ``才´├.弋 :::::::::::::::::::::: /
   i::::::::::::::::::::├―‐.|   |  ├─ヘ:::::::::::::::::/
   |:::::::::::::::::::└―‐┤  .|   レ―‐┘:::::: /
   !:::::::::::::i:::i:::::::::::::::卜、│ ,,|:::::::::::::::::::Y
  /::::::::::::::::l ┌────────┐:::|
 ヘ :::::::::::::::...│ 共用財布管理係 |゙:: |
  }:::::::::::::::::.└────────┘...|

383 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:14:42 ID:eEJrO9II
27.



             , -‐ ´      ` ー、
          /            `ー-、
        ,‐´          、      `ヽ、
        f‐   |         ヽ     ヽ  ヽ
       / ー、 ヽ_  /     ヽ  ヽ  ヽ\ ヽ
      /    } _  l       ヽ ヽ/! ヽ i ヽ i
        l   / /  ヽ l、  ヽ   l ハ/f-f、 }l l、 |リ
      l    l    l_l_lr- {_ゝヽ ヽ  |//fc リ /! /リ
      l   |.:.   } l ハ、=ゞ==リ  /  ムソ /イ 〈
     ノ    l.:.   l イ /´七C、ム/:::::::..    lゝ、ヽ、
`ー-´   _-‐!.:.   ヾ l  弋ソ  ..:::::::::::..    }l  ̄
ー----- f´:::::::ヽ.:.:   ヽ、    ,__ -=   /ヽ、      「バカ言わないで!
:.:.:.: _-―‐´、:::::::ヽ.:.:.    ヽ、  /    ̄ノ/!   ヽ、     新しい魔法を編み出すことなんて
:.:.:.:ヽ::::::::::::::ヽ、:::::\:.:.:.   ヽ、_ー‐ニ‐´:::::!.:.   ヽ、...  簡単じゃないのはクラフトだって知ってるでしょ!」
.:.:.:.:.ヽ、ヽ:::::::::::ヽ、_::::ヽ、!    ヽフニイ:::/::::::/ヽ:.:.    ヽ
:.:.:./ヽ、ヽ:::::::::::::::::`ー-ヽ.:.    ヽl ll::::l:::::::/::::ヽ、.:.   ヽ
.:.:.:i::::::::::ヽ::\::::::::::::::::::::::}.:.    } l 7::|:::::/:::::::::::}.:.:.    }
:.:.:l::::::::::::::::\::`ヽ、::::::::/.:.:.:.   ,'ヽTl:/:/::::::::::/.:.    /
:.:.:.l:::::::::::::::::::::\::::\/.:.:.:.   /`ヽ、/::::::::::/.:.:.    /
:.:./:::::::::::::::::::::::::::ヽ/.:.:.:.   /:::::::/:l|:::::::::::/.:.:.   ,-‐´



                                             ____
                                           /ノ  ヽ、.\
                                          /(●)  (●) \
                                        /    __'___   u \
                                        |     `ー`       |
                                  (⌒(⌒(⌒゙i\   (⌒(⌒(⌒゙i /
               「け、喧嘩はやめましょう?...   ゙i ゙i ゙i ゙i (⌒)   ゙i ゙i ゙i |  !、
              ねっ?」                    ゙i:::::::::::  ゝ  (⌒)::::::::::: |    ゙i
                                    ゙i  (  ゙i  !、     |  l  |
                                     \     i   ゙i    ,r'_,/  /
                                       \   i    \  __ /



   ┌─────────────────────────────────────┐
   └─────────────────────────────────────┘
   ┌───────────────┐
   └───────────────┘
   ┌───┐
   └───┘

384 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:15:12 ID:eEJrO9II
28.



         〃:: : : : : : : : : : : : : : : : : : :`ヽ
.          /´:: : : : : : :/ : : : : : : : : : : : : : : ハ
         /: /:: :: :l:: :: :l: :: : : : :ヽ: : : : : : ',: :: :∧
.       /: / : : : :|:: ::/i: : : : : : : ',: : : ヽ: :∨ : : !
      {: /: : : :从 : ハ: : : : : : :人: : :从: :}: : : :|
      |: i:: ::斗-‐廾‐-、: : : : 斗-‐廾ト、::!: : : :|
      |:ノル': :{z≠=z、   7: ::ノ ,xz=≠、 }: : : !::|
       |: : : : 从 fゞ、,ィ` ノ'´  爪ゞ、ィ 从: : :ハ::!
.       八: : :∧. ∨匕!,      匕::::リ / : : /:: :ハ
     /: : : ',: ハ ´      ,       ./:: : : i: : : :ヽ
      /: : : : :i: : : ',      、__,    八 : : ハ:: : : :\.    「私たち、三人とも魔術師(※1)なのだし、
   /: : : : : :|:: : : :ト             イ: : : : :i : ',: : : : : :\.  いざと言う時のために魔石(※2)を買っておかない?」
 , : ´:/: : : : : : !: : : :ハ : : ト   _  イ: : ,': : : : : !: : ヽ:: :: : : : :ヽ
./: : :/: : : : : : :ノ : : : : }く ==、 ,-==┐: : : : : :{: : : :`ヽ: : : : : ',
: : : /: : : :,∠ /: : : : : :|∧ / ∨ヽ  ∧ : : : : : ',ヽ:: : : :丶:: : :ハ
、: : i: : :爪/// : : : : : ノ/∧r ⌒ ヽУ/∧: : : : : ヽ∧ : : : }: :: : :ノ

※1魔法使い、司祭、精霊使いなど魔法と呼ばれる技能を使える者の総称
※2術者の精神力の代わりに消費される乳白色の石(ややお高い)



                   />l  「        ` <
                 r.、ヽ. ',l  '、     /     ` <、
                γ、 ヾ、   ヽ   /ィ         7
                弋 ヽ  ヽ    ヽ.  ' ,'        /丶
                    ∧ \      ヽl l. , /l /l /  /  /
                /イ.ヽ, -‐''' ‐-   ',/! !l 仁メリL/l./  l
                _.」/--‐―、  ヽノ .リ レV沙、.'` 」   N
               /          ヽ.  ヽ    ‐  /y! /リ
               ,'         l`丶/       V レ
              /'´        l   l      , イ
            /             ./  `` 、.,イ
           /              ハ  , , , ,イ       「そんな金はない、
       _,/    /         /、  >、//イ.         修行して精神力を高めてくれ。
     / /  孑'´          /-‐ヾ ヽ´                     トランスファー・メンタルパワー
    / /-‐' ´             / \ レ ̄.          いざと言う時は精神力譲渡の奇跡で
  r.‐'' ´                 / ヽ`\>.、.          分けてやるから」
  /                   ./:l -―- 、 V l\
  !                   / ./:.:.:.',    ヽ ',:.:.:`<、
  !                / /l:.:.:.:.:.:ヽ    l  !:.:.:.:.:.:.i<
  l                //./:.:.:.:.:.:.:.:.:.\   !  !:.:.:.:.:.:.! \

385 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:15:44 ID:eEJrO9II
29.



: : .―-∧-: 、 : : |\: : : ヽ : : : : : : /\ : : -ヽ:─:| : : : :
: :{.: : :/ \: \: :|  \: : : : : : : :.:/ /ヽ: : : }.: :│: : : :
{ハ: : |   \:_:`ト、  \}: : : : ://_  \∧:/:| : : : :
: :.个┝┯┯┯┯━\/∨ : :、/ ┯┯┯┯━∨: : : : :
: : ヘ   弋_辷'_ノ    ∠: :_/  弋_辷'_ノ  / : : : : :
: : : :'、                      ,′: : : : :
: : : : :'. /:/:/:/          /:/:/:/ : : : : : : :
: : : : : '.                    u  ! : : : : : ;     「瞑想、苦手なのよね………」
: : : : : :i                      | : : : : :,′
: : : : : :|、        ~~‐-          ィ|: : : : : !



        / ̄ ̄ ̄\
      /        \
     /  \   /   ヽ
     |  (_)  (_)   |..    「道具に頼るより、研鑽を積んだ方が良いですよ。
     \   __',__    __,/
     /   `ー'´    \       結果として魔法の威力にも反映される、と
                          教えてくれたのはルイズでしょう?」



                       - -  - - -
                  - - -- ─ ── ─ -- - -
          - - -- ── ──────────── ── -- - -
     - - -- ── ────────────────── ── -- - -

386 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:16:14 ID:eEJrO9II
30.
―――――――――――――――――――――――
  できる夫、という声で回想から立ち返った彼は、
  もう一度仲間たちを見回しておずおずと言った。
―――――――――――――――――――――――



          ____
        /     \
      /        \
     /  \    /  \
    |    (●)   (●)   |
    \      ´   u /   「み、身分を隠して仕事を探すというのは……
    /     ⌒     \     どうでしょうか」



                               / '   /   i、   :.  } ! ::.  i !:.   ::.  i::::.:.:.}
                                    ,′ //   |ヘ、 ::i://:ト、::.::.:.i::.!::.  i:::. |:::::.:ハ
                                iハ /  .:! :i | ヽ::/厶:|:L::ト:::|::j:::.  ト、:::.|:::/
                                | ', :.:::l :.ト、|_   ハ:r ァト芯ア }∧ハ::::|⌒Y::{
                                   }∧.:lハf卞心  丶、ゞ-'     ',::{ノ /.:{
                                   ′ ',ト、{  `フ              i__.ィ.::N
                                      ヽ  、〈             jハ{::::!
                                        \  __ ,.     /  jハル、
                     「俺は構わないぞ」.         ヽ ー'    // / : : :{::`丶、
                                              Vj爪、 / // . : : :ノー- :::.丶、
                                             ゞ斗''く  /  . : : /.:.: : : :`ヽ:::
                                            / / 」i〕 /`ヽ  . : /ー- 、: : : : : : :


―――――――――――――――――――――――――――――――――
  ヒュウッ、と口笛を吹いたのは名を呼んだクラフトである。
  昨日までは詐称は重罪だと言い張っていた少年が、とうとう折れたのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

387 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:16:51 ID:eEJrO9II
31.



    ゝ __ //: : : : : : : : : /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
    \ : : /: /: : : : : :,′:/ : : : /: : : : : : : : : : : : :',: : : ハ
       ン: : :/: : : : : :/ : : i: : : : { : : : : : ヽ: : : : : : :i: : : : : ',
      ハ : : /: : : : : : {: : : :|: : : : ',: : : : : : :}: :丶 : : :|:: :: :: : i
.     /: : : / : : : : l: : l : : ,'i : : : : ∨: : : : ノ: : : 从: :|: : : : : :!
     { : : : i: : l: : : 从人: :八: i: : : : : : : :∧: /`ヽ :}: : : : : :|
     |:八: 从 |: : : { ̄ ト 、 __`ヽ: ' : : ノ /j丿 ハ:: : : : : : |
    ノ'  ',:ノル'i : :圦`ヽ:l    ̄´jハ:ノケ´    丿仆: : :/ : |...  「私もそれでいいわ。
         入: 从: : ≠==‐-z-‐  ノ'´ ≠==‐-≠ ,' : : : i: : :|..   日銭を稼ぐだけなら初心者向けの仕事でもいいし、
        / : : : : : : ト´  ̄´     ,     ` ̄ ´ノi: : : ハ: : }    中級の依頼までなら危なげなくこなせるでしょ。
.      /: : : :i: : : ∧             ー=彡 : : : }: ',:λ
     /: : : : :|: : : : ∧               /: : : : /: :ハ :',...  私たち、見栄えさえ良ければ掲示板に乗らないような
      /: : : : : :| : : : : 个:       ⌒     ィ: : : : : :i: : : :ヽi.   仕事を紹介されても不思議じゃないのよ?」
   , :′: : : : /i: : : : : :| : : : : ト       イ: : :/: : : : : :从 : : : \
   /: : : : : :/::|: : : : : :!:: :: ゙ハ}   -   .|┐/ : : : : : :} : \ : : : \
. / : : : : /: ,イ!: : : : : :| ̄/ \,_   _ / ∨ : : : : : : |ミ、_: ヽ: : : : \
´゙: : : : /://// : : : : : |//    r‐Y-‐、   冫: : : : : : |///\ \: : : : \
: : : : r': 爪////: : : : : : :|/`ヽ  /     ', /∧: : : : :八////∧: `ヽ: : : : \
: : : /: r'/////: : : : : : : :|_//∧/  , - 、  ∨//{: : : : : : :∨////}: : : 丶: : : : }



――――――――――――――――――――――――――――
  そもそも、他人が勇者を騙ったら詐称になるが、
  勇者が一般人のふりをしたところで罪に問われるはずもない。

  ルイズの言葉にも嘘はなく、彼女たち三人は実力面でも
  それなりのものは備えているのである。
――――――――――――――――――――――――――――

388 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:17:14 ID:eEJrO9II
32.



                                               /
                                             ∠.     /
                ,  ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`  、                 / /.    /
               /                 \              / /   /
               ′                  \            / /   /,..<
             /                     ヽ         / /   ,...<::::::::::>
         /   ヽ、             ,∠_    '.        / / ,...<:::::::::::>´
            ′   , =-≧ミ、      ィ爪  ヽ   l   _  /`Lイ<::::::::::゙
           i   ({  弋り}     {弋り  ノ   | / ヽ'<//.::::::> ´..゙
         '.    `ー ''´   、  `ー ''´   / ̄`ヽ  \7>´
         >、_          _       /   _  \  \....┌────────────────┐
       /     `ー 、 '´  ___` -‐'7      '.  }   }.゙│  できる夫=パーソクデ        │
      /          / ̄        /   ー-、   i /  /、゙│  種族:人間               .│
        i                     __    |  V--‐'  {゙│  契約職:なし             ...│
        |                   ,ィ気;ミ;}   | ./ /,-‐ . │  技能職1:魔法騎士        .....│
      `、                ,ィ気:ミ/  /´   {. ゝ、.....│  技能職2:なし            ...│
        i   >── 、         /-;ミ;/ー‐'´   / ', r‐=ミ. │  装備:通常装備のみ(破損有)  ....│
        ',          `ー-‐‐,イ=、 /     ト、  {   `ヽ... │                       .│
        ヽ           {⌒', /      | \      ` │  腕力:中の上             .│
         ',          `ー´        |   ヽ..     │  知力:中                 .│
          ヽ                      |     `  _ │  敏捷:中                 .│
           i                        |.           │  運:笑っちゃうほど幸運       .│
                                          └────────────────┘



―――――――――――――――――――――――――――――――――
  依頼者との調整など、足下を見るようなやり取りがまったくできず―――
  むしろ調整しようとするクラフトの邪魔をしてしまう―――に
  運の良さばかりが目立つできる夫とて
  並の戦士、魔法使いと比べても実力があるし、
  先に触れた英雄とてまだ二十歳程度のはずなのだから
  若さを引け目に思う必要はない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

389 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:17:53 ID:eEJrO9II
33.
―――――――――――――――――――――――
  できる夫の考えが変わる前に話を進めたい、と
  掲示板の張り紙に目をやったクラフトが言った。
―――――――――――――――――――――――



         /            l ,   ヽ
        /           !   l,、,!    ト 、
       l         !、 !,  i 厂l /  ,' ̄
       ,'        l AAトトl、. N .A   !
.      /1     i   N、孑云.ヽ! /rァ! l ト,l
       レ   l./l   リ  `ゞシ'ィ  ヽ'イl' リ
       l   l'´ミリ、 l     ´    ヽ'
       l ,  ヾ.、コヽ.!         イ
       ' レ'l   `ヘ. `     -―‐ /
         レ、   l>       ̄ .,'
             ! ィ ,ゝ  `  、i i i i j'       「手っ取り早く金になる依頼が良い。
           レ' ∨ヾ、   -‐` ̄ 7、       ―――が、この宿は駄目だな」
          /´.',λ! /´/    ノ_: :\
        /    l / -‐┘  / :  ̄: :ヽ、
         ̄_二ヽ レ'´   -‐'フ--―- 、 /:.:.:.`‐-. 、
       ,. :'7: ̄ :7<-‐  ̄-‐/ : : : _: : /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ̄:`‐- 、
    -‐':´ : /: :_ ├ζ二-‐/-‐ ´ : : : ∨.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
,. :'´:.:.:.:.:.:.:.:/' ´: : : :,' ./   ./: : : : _ : : /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l



         ____
       /    \
.    /   ノ '  ヽ\
.  / /)(ー) (ー) \
  | / .イ    '       |
  ∨,'才.ミ).  -‐‐-  /  「よそへ行ってみましょう。
.   | ≧シ'        \.   偽名を使うかは分かりませんが」
 /\ ヽ          ヽ



――――――――――――――――――――――――――――
  すでにこの宿では彼らの実力や正体が知られているため
  初心者向けの仕事は回して貰えないし、
  残るはできる夫が嫌がるような怪しい依頼ばかり。

  犯罪行為に直結するかは分からないが、
  勇者とあろうものが金銭目当てに怪しい依頼を受けたり、
  町中の日雇いをしている姿を見られたら
  いままで築き上げてきた名声は一晩で地に落ちることだろう。
――――――――――――――――――――――――――――

390 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:18:12 ID:eEJrO9II
34.



            ,. -─── 、
         //  /      `ヽ
         /.:./  / / .:.  /     \
       / .:.:./   / ,斗-- 、:{:. .:. ヽ    ヽ
       /  /:  イ´l .:|l.:.:∧:|.:.:.: .:斗ー   ',
       l ..:.:|:.:.   | ィチ才ミヾヽ.:.:.:/厶.: / .:  〉
       l.:.:.:.!:.:  ∨  }:ヘ.リ  ノ/仟テk';.:./ィ/
      ノ.:.::人:.   ヽ ゝ-'      ト;'ソ//!
   /.:./.:.:.ヽ:.   ヘ       ` ` |:.: |
  /.:./.:.:.:.::.ノ.:}:.    ',     __    ,:.  |
/.:./.:.:.:.:.:.:/.:.|.:.:.  l    ´ ´ /.:  |
.:.:./.:.:.:.:.:.:.:./_ィ.:.:.:.   小    イ/:.:.:.:.  l    「そうね。
.:.〈.:.:.:.:.:./   ./.:.    }_,工,.´ー=〈:.:.:.:..   ヽ.    依頼の話を聞くぐらいただでしょうし」
 :ノ.:.:/   /.:.:.:.:   /.、 ∧ ̄入ヽ:.:.:.:.   \



              _ノ
       . . -‐: :=: : : : ー-ミ
.     /. : : : : : : : : : : : : : : : : `: ..
     ′. : : : : : : : : : :.、ー-ミ : : : : `ヽ
   乂. : : : : , : : : ォvi. : :\: : : : : : : ハゞ
  .才: :: :: :::/.: ::::// : :i : : :ヾ : : : : : :.∧
.   ′:::: :::/ : : : :.′ 乂:{ : : :ハ: ハ: : : {:!
  /才{:i|!/抖竿ミ、   }八≧≠ミ::!: : 从
 イ }:i :N{才>-=ミ`゙  ノ 斗r-=ミNリ Y:;
   从(ハ{《八:うjノハ   ゞ:りイ 》 }ア}}′
    八 从      :i        .i 八
     \'.      '        ,/
      ∧     ` ゛      ハ
        \ `ー -- "´ .ィ:、     「依頼の内容は宿の質に比例するからな。
         fi≫ 、/从ハ, // {      どうせなら一番良い宿に行ってみようや」
       /} ` :<ー-<イ  {\
      /.:.:_{  .L _ヽ /_ノ   .Vハ
     . イ.:.:.:.:.:.{     V _ -‐  }}.:.:.\
 >.:´.:.:.}:_:_:__∧ ー- }!     ′_:_:_:}`:.<
 .:.:.:.:.:.:.:.}:.:.:.:.:.:.∧    :i    /.:.:.:.:.:.:.:.}.:.:.:.:.:.:.:.`



――――――――――――――――――――――――――――――
  頷き合った三人は揃って椅子を立ち、
  カウンター向こうの主人に少し出てくると告げて酒場を後にする。
――――――――――――――――――――――――――――――

391 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:18:41 ID:eEJrO9II
35.



         / ̄ ̄ ̄\
       / ノ   ヽ \
      / (●)  (●)  \
      |     __´ _      | 
      \       ̄    /     「一番の宿ですか。
       / ゝ        ィ'ヽ        良いですとも、行こうじゃないですか」
     /                \
   /   ィ         r   \
    |   `||          |ヽ   ヽ
    /⌒ヾ|          | |,   |
   ヾ___,ソl          │(、__,ノ
       |          |
         l    Y´    /
         ヽ,   (    ,/
          ヾ  |    |
         ≒;|   | 
         (.("_`゙_)



               /            ヽ
              /  / /  l        ',
              ,'   /l ,イ   l   ヽ      !
                l | 」斗|ヤ  |、 l  ,l  l  |
               l l、{ィ|メ、\ j``トx.','  l  |
             |// l ヒノ   )ノ,圷ミ/   l  l
              / ::l:::: '   └イ ,/  ,'  ハ
                / i ,\ 、   ::::/ / l |  ハ:: ヽ   (少しで良いから自分の為に
             |.  ヽ ::::`ーェr イ,' /  l |  l/::  )    強運が働けばいいのに………)
            / ヽ  l__// _,/ /l`ヽ、,|  \イヽ、
            〈  | ::l / /l、ノ| ゝ、ヽ  ヽ、  \:::..\
            ヽ l ::l レ' ,|_/|/  〉 l , ‐ヘ::..  \::.. )
            ノ / ::l  (戈)  ,/ ::|イ   /::::    ∨
            /´ ::\::ヽ、| l   ,/::/   ,/:::::::    }



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
  試みは無謀かも知れないが、
  ここで唸っているよりはましだろう。

  この芳しくない状況で、それでも胸を張って歩くできる夫の背中を見つめたルイズは
  長時間かたい椅子に座って痛くなった尻をさすりながら、
  彼が良い依頼に巡り会えるようそっと祈ったのだった。
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392 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:19:39 ID:eEJrO9II
36.
━━━━━━━━━━━…
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  活気のある市場の脇を通り、
  昼下がりの大通りを歩いて繁華街へと向かう。
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    ||: : : : : 王王王王王王王王王王王王王王:.: : : :||: : : :.:王王王王王王王王王王王王王王 : : : : :||
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――――――――――――――――――――――――――
  門番に会釈して庭を通り過ぎた彼らをまず出迎えたのは、
  相応しくないものの来訪を拒むような重厚な扉だった。

  さすがはこの国の首都であるこの町で
  もっとも高級な宿、といったところだろう。
――――――――――――――――――――――――――

394 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:20:11 ID:eEJrO9II
37.
――――――――――――――――――――――――――
  ごくり、と唾を飲み込んで扉を押し開けたできる夫が
  半歩踏み込むなりのことだ。

  ドアベルの音に振り返った大勢から
  値踏みするような視線を向けられて足がすくんでしまう、
  まるで見えない壁が入店を拒んでいるかのようだ。
――――――――――――――――――――――――――



             , ― 、
            / / } l),____
            {i { /´,z ー=== 、
            ゝ´ ./         ヽ
             ,' /   /     ヽ ',
             { ,    {    l l  } }
             l ,.{   l    l l   リ
.             '{ ム ヽ从人jハ乂イ /
              ヽj}       j   }l/
              /´ト、 ー-/    「……………」
               r }_ > イ  フッ
            r-'ヽ` ミニニl7ー-ァ- 、
           /≧s。\ュ.,___j_ノニ/  ム
           {二二}ヽ_,j - ― ー- ../ニ!
.           }二二ニ}         Ⅶi
            l二二ニ}           Ⅵ
            ヽ二ニ}        /マ
             ヽ二ニ'.ヽ/      {ニ!
              ヽニニ∨_ /   .ノニ!
         _ z=ー- l二ニヽ ̄ ̄`lニニl
         {   , z≦マ二ニム` ̄´jニニト 、
         ヽz≦  ,  マ二ニム  {ニニ}\ \
       > ´   /   マ二ニム  !ニニ! !  、 \
     >´.     ,     / マ二ニ.} |ニニl. l   '.
   /      /     '   マ二ニ! .lニニl._   '.    \



          ____
        /     \
      /        \
     /  \    /  \
    |    (●)   (●)   |
    \      ´   u /
    /     ⌒     \

395 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:20:44 ID:eEJrO9II
38.



            -=ー ‐=- 、
       ./   "::´  :::::::::::::ヽ
      ' ,     .::::::::::::::::::::Y
        !      ..   ;:::::::::::::::
        ! ..     ::; ::::::: ;::::::::|
      .ハ::::;   ::::::::::::::::::γ´):::::}
       .}:::: ::::::::::::::::::::/しイ:ノ{
     rー=====- 、::_{  /
.__/|            \/       「なんだ、あいつ。
/////\_______}__ ボソッ   迷子か?」
///                \_
                    , ' \
                    /    \
                  {       \
                    j          ヽ
                     l            |
                      :!         |
                 \           |
                    }        |



                                             ___
                                         /      \
                                        /ノ  \   u. \
                                      / (●)  (●)    \
                                      |    __´___    u.    |
                                       \ u. `ー'´       /
                                       ノ           \



―――――――――――――――――――――――――――――――――
  当然といえば当然だった。
  ここは位の高い貴族や超一流の冒険者、
  大商人にお忍びの王族が利用するような宿である。

  酒場の利用は宿泊客だけに限らないとは言え
  身なりの良くない、はっきり言えば薄汚れている彼らが場違いなのであり、
  門番がえらい人に呼び出された下っ端と勘違いしていなかったら
  文字通り門前払いされていた可能性もあったはず。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

396 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:21:11 ID:eEJrO9II
39.



                <´ ̄ ̄  ‐-
            /         `i  ¨> 、
           /         :i   !  ヽ ヽ
           /   /   /  :|  /  ヽ ヽ ',
          /    /  :/   i  /  i  ',  i i
          /    ,' ー-/、  /j:  |  ∧ |  l: l
         ,'     i  /ン`゙ー V | 7''ーl‐l'"  l l
         /      | ./示≧ミ/ ヽ,!/,,.ムr i  /l l
       /      .|/ ヾニシ     frシ/ / /: リ
        /     ヘ  `t-ヘ :::::::  、  ::::u /_|/ /:ハ
       ,'      \ \ \, -、-‐  _ ィ /  ∧  ヘ    「べ、別の宿にしない?」
       |      } ヽ  ',/ <ヽ_i`i´| \/  /  ',  \
      乂    ,xf<ヽ/ ァ-、゙i::::/つ: :/  ,'>ー、_   ヽ
        )   f;.;.;;: : :/トヽヽ,.-' イ V::.(   (:.:.::.:.:.:.:`ヘ    )
       /   i:.:.:.:.V`ヽ、`´,イ 'ヘ/::.:.:ヽ  ヽ:.:.:.:.:.:.:>`-、/
       / ,'  j:.:.,ィ': : : : : :∧) . /:/ /:.:',   ', r'"    \
      / /  /V  `ヽ=-i / /: { / /  )  )Y       \
     ,'     //i      } (.l {: : i ,' /.:./  /l l .ゝ、      |



           ____
          /   u \
     :/  \   / \:
    :/ U (@)  (@) \
    |    u  __´,_  U |:   「な、何を言っているのですかルイズ。
    :\u    ./__/   /:.    私達はお客ですよ、お客。
.    ノ     / )ヽ    \
   (  \  /__ノi )     ).      お客なのですから大丈夫です」
.   \  ゙  /  ヽ ヽ / /
     \_/     \_ ノ



―――――――――――――――――――――――――――
  一瞬前まではあったはずの、会話すら止まった雰囲気に
  怖じ気づいたルイズが作戦の変更を提案したが、
  粘液のようにまとわりつく空気をかき分けたできる夫が
  カウンター席に座ってしまったので、
―――――――――――――――――――――――――――

397 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:21:44 ID:eEJrO9II
40.
――――――――――――――――――――――――
  戸口に残された二人も覚悟を決めるしかなかった。
――――――――――――――――――――――――



           _r'´  ̄   ̄``‐- 、
.         /  l           \
.         /  /!   l         ヽ
        /ィ /,' /レ」/! /  l       ',
        /ィ〈./' ' `l'.レ/.  l  l ,     ',
.      ´ / 、""´ /ィ /ル /レl /    l`
.        <      ´ .イ'//リ_ハ!    ヽ
         `       l/r<    /レ'` `
          ヽ ̄`    ./  l   ./
           ,'i i i , , __,ノ,  .'レ、 /
.          ゝ-==´ ,-'‐――'‐'┐    「覚悟を決めよう。
            /'/」  ,. .、-‐┬ヽ、    一流の空気にびびる奴には良い仕事なんか
           ∠_ >ニ/ヽ: : :ヽ_: '-‐<     紹介しようと思わないだろう?」
           // ̄:ヽ;/´ ̄:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
         //`丶/´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
        /./_: :/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l
       /./: : :/:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l
...    ゝフ`:'´:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.l
....   /.//:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l
.....  /://:.:.:.:.:.:.:.::.//:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::l



         __ . -―-、____
            ア          `ヽ_
            //    / (/^     \
.           | |  / /|     ヽ   \ 丶ヽ
.           レ|l ∧\_l∧  , |ヽ _│  l l
           ∧ :|{/迄rトハ 、j斗泛ト/|  l |
          ノ :|ヽ| 戈ソ ノノ 弋ソ_ 彳 │ |
.      /  リ j/// ' //// /  / 八.        「わ、分かったわよ。
.      / //  {   r~‐ '⌒ヽ u/  ∧  ヽ、 _..   座ればいいんでしょ、座れば」
   /  ./ /   \. `ー─ ---' /  / ヽ      \
  (_  ヽ〈    ∨>,、_   -r<'  /   ヾ      }
     )  ハ    マ{ xヘ/ ̄/  {\__   }     /
   /  ん-ヘ   ヽ//⌒ヽ,/    ∨:::::} ノ   /
  /    {::::::::: 〉   ∧    /{.     \:::\   {
/     }:::::/   /:::::\-/:::ヽ       \〈     ̄ `ヽ、
.       {/     /::::=-:::Y::::-=ニヘ      \        ヽ
     /    /::::::::::::::∧ ::::::::::::::\       ヽ        }

398 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:22:11 ID:eEJrO9II
41.
―――――――――――――――――――――――――――
  できる夫を挟む形で二人が座り、
  酒場の視線が散ってから十秒。

  グラス磨きの手を休めようともしないバーテンダーは
  手元に視線を向けたまま、儀礼的な挨拶のみを口にする。
―――――――――――――――――――――――――――



             .. -=ー-ミ
            /.:.:.:.:.:.:.:-==ミ:メ、
                :.:.:.:.:.:.:.:.:.'.:.:≠才"ヾ
          Y´i:.:.:.:.:.:.:.//才ァ _`|
          ≠ミ乂〉x:.:.: イ./ff´ 、_〉ノ
        /イ.:/.:ハ}=才" i{{、 `ハ'
.        {从.:.i.:ノ.人_  } fr く {
.         イ从ハ_    \'.  了´   「いらっしゃいませ」
         /ニニニニ=ミ、   〉___{
       _/ニニニニニニニニー-∨_
       //ニニニニニニニニニニニニ>≠ミ
     '/ニニニニニニニニニニニニ/ ,  ̄  ヾ、
     i {:ニニニニニニニニニニニ./      {
     | |ニニニニニニニニニニ-. /      }
     ' {ニニニニニニニニニニ-{ :i      .ハ
     Ⅵニニニニニニニニニニ∧|       / ノ{



――――――――――――――――――――――――――――
  ただ、その動作の一つ一つがあまりに洗練されて優雅だった。

  棚に戻されたグラスにはちり一つ残っておらず、
  淡いランプの明かりを反射して燭台のようにきらめいており、
――――――――――――――――――――――――――――

399 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:22:44 ID:eEJrO9II
42.
――――――――――――――――――――――――
  ここに来た理由を忘れて見入っているできる夫を、
  眉間にしわを寄せたクラフトが肘でつっついた。
――――――――――――――――――――――――



                      _
               , -‐ ' ´ ̄  `  、
              /         ―--.ァ
            ./       ,      .ハ、
           /        /    /  ./  トヽ
           /    /    l   !,ィ  /l  ヽ `
          ム'   / . i   レ ィAト<N. l !リ`
          /ィ   .レメ',i  , ∧! '、''¬` .,''`'
           レ、   !爿ヘ l'    ̄ '´ ヽ、
             ヽ.  \ゝ、l         /  
              ヽ,  ,八     , -―, '   (あの野郎、俺達をなめてやがる)
           _/: ヾ'´  !`> 、  , i i j
        _/:.:/-―仆、     フ/iニ´、‐---― ―- 、
    . -‐':.´:.:.:.:.:.:./: : : : l L ヽ.  / 」 l: : :`:',:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
   /:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:/'´ ̄:`! 、 ̄V´ ̄ィ !-‐: 、',:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
  ./:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./: : : : : :!  ゝ`l /  .l : : : : ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
  l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./´: ̄: `:!    l    /!'´;  ̄`ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`-、
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: : : : : : ´"''"   '   "''"´        l
: : : : : : . .    `           /
\: : : : : : :. ー -- - -     /    「っ!」
/ヽ: : : : : : : : : : :       イ\
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: : : : . : : . : : .                 \

400 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:23:12 ID:eEJrO9II
43.



   x≦ニニニ=‐
   ニニニニニニニニ=‐
   /ニx≦ニニニニニ=-ヽ
   V,〃”⌒''*、ニニニニ=-v
.   ^´        ≧xニニ=‐V
            乂ニニ=-V
                Ⅵニ=‐}
    _,,., _,.斗*=-  :..:Ⅵ/\
    ,x*'' ´    ,,,__ : :.:.} /ヽ}
    xく   f≫''”⌒^_.\} } .ハ    ヽ
.      V{j/_,,xvハア.′八ヽ ′∨  }
    ト、  く〃´⌒ヽ´  } :rく/   .}
     }r=ミ{{  // }  ノ .;_/{___,ノ_,,.ノ
     j{.   乂 /_,.ノ% ′ {\ニニニミ*、     「次は何になさいますか?」
    j{   jr- ..,,_.%i  { }^ヽニニハ,乂
.    \,__/    、`}%   ′}% }ノ八}
   { 、_.   _,.,-‐┘} % ./ /.% _}⌒~""''' ‐- ...,,__
      、__,,..    ,' .%イ _/ % ,′ニニニニニニニニニニニ=‐
    \ '     ,. ゛% ./  %′ニニニニニニニニニニニニニニニ=‐
       :.、     _,/  ,%'′  % .}ニニニニニニニニニニニニニニニニニ
     : : : ` ‐≦   ./ ℃c‰ ,′ニニニニニニニニニニニニニニニニニ
     { : : : : : :},_,/    '   ′ニニニニニニニニニニニニニニニニニ
.     j{ : : : :〃__ハ   /   /ニニニニニニニニニニニニニニニニニニ
.    j{ : : : ,′ : : ',  {rc /ニニニニニニニニニニニニニニニニニニ
      j{ : :..,′ : :.... ヽ V /ニニニニニニニニニニニニニニニニニニ
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         lミ! _二 _,,.、--  ト \ヽ i
         lリ ,,,,,、 rェェェェェ、 \、 ヽ.ソ
         Y zテ}  E丕‐-  レ⌒iミ|
          | ´ j ヽ     r ゙ りノリ
            ! ,ム__,,.へ   ' _,ン゙iソ
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  囁かれて気がついた。

  バーテンダーは他の客の飲み物が空いたら次を問いかける気配りをもち、
  給仕からの注文にてきぱきと答えていると言うのに
  カウンターの三人を「居ないもの」として
  視線を向けようともしないではないか。
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401 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:23:50 ID:eEJrO9II
44.
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  注文も取らなければ天気や景気の話題すら振ろうとしない。

  装飾された額縁までついている掲示板には
  何枚かの依頼書が張られていると言うのに紹介するそぶりすら見せない、
  『帰れ』という明確な意志を感じてできる夫は拳を震わせる。
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     lハ l.:.:|.::..!.:.{\八:.:.:.ヽ:,__匕厶}  │ l
     ヽ∧:.:!:.:从7tーゝヽ:.:イヘ ::::ノ│   l   ヽ、 
       jハ>ハ `‐'  j:/    ̄ /   リ:   `ヽ、    (地元だったら絶対にこんな態度取らせないのに!)
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         _ ノ : ゝ , `マZ三)′    厶;._        }
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    /  ) {_,   }.:.:.:.:/       /:::::::::::_:::::-ヘ:. :.:.:.:.∨
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     入  / ̄ ̄`V      /:::::::::::::::::::::::l::::::::::::::|:.:.:.:ト、
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    ヽ :.:.レ'     l-‐、__{::::::::::::::::::::::::::::::l::::::::::::{:.:.:.:.:.:.::.:.:.:\



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  自分を、仲間を、なによりもできる夫をここまで軽く見られて黙っていられるほど
  ルイズは人間ができていなかった。

  この爺をどうにかしてギャフンと言わせられないかと思ったそのとき―――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――

402 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:24:11 ID:eEJrO9II
45.
―――――――――――――――――――――――――
  カロロン、とドアベルが鳴ったのと同時に風を感じて
  入り口を振り返り、そして目を奪われた。
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        // : : : /: : : : : : / : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
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      イ ,′ /:: : ': __ /: : i: / : : : : : /: : : : ヽ: : : : : : : : : : ',
        {: : ': : λハ: : ヽ: : |/: : : : : : : : : : : : : ',: : : : : : : : : λ
        人/:l::丿≦ミヽ|: : : : : : : : : : 人: : : : : : : !: : : : : : : : : : }
      /:八:| 〃癶', {: : : : : : _,.-''" 丿 : : : : : : : : : : : ',: : : : : !
     /: : : : ヽj   {しヾ ',: : : ,/ ̄`ヽ : : : : : : : : : : : : : :|: : : : ′
   /:: : : : : : /:.:.::.ゞ乂  ヽ: i   ノ'´ \ ハ, : : ノ : : :: :: |: : : : ヽ
   /:: : : : : : : :i    _,.     ノ' ≠=zz、 |/ ヽ:: : : : : : : : : :/: : : : : !
  /: : : : :: / '            〃 ヾミxノ'´ : : : : : : : : /: : : : : /
  /: : : : /  .∧  、        卜-uy仆: /::: : : : : : : : : : : : : /
 /: : : ::,'   /: : ', `      :.:.::.ゞ弋tソ 从丿:: : : : : /: !: : : : /
 i: : : : |   ,':: : : i            __,,厶イ: : : : : イ::: : :|: : : /    「―――っ!」
 |: : : : |   i: : : 弋,. -‐==ニ二三 ̄: : : : : : : : :, ´ ノ′:: |: : /\
_⊥ -‐==ニ二三: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /: : : : : : : |: /: : : \
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: : : : x≦三 ̄',: : : : : : /         ∨   ', : : : : : : : : : : : : `ヽ: : : : : : !

403 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:24:42 ID:eEJrO9II
46.



                        ____
                    ∠____\
                   /:::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
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                  ( ●) ( ● )     .l              ./ヾ/
                  ( _ 人 __ )    .l               ./ヾ/
                  ( ` ⌒  ´     !         x,_   ,/ヾ/
                   ヽ ヽ         l   Λ     弋、~.○/
               ,__    .{            l  //Λ  /` .弋ll
               |ミヽヽ         rー―‐|三二ニ=―‐- δ ./ `弋l、
               ∨//〈:::::_ヽ、 _ _ィ!:::::::::/:::// ̄ ̄ヽ\     ""
              ,.-‐ゞ//Λ:::::}    イ }:::::://::/ ,/      `ー> .,
              _,ノ  | `ヽ/}::::ノ  __,/_:_://::::l /              > .,
           r'´ヽ    ヽ 八Λ:ヽ {::/r―‐''ィ´:| |                    > .,__
           |   \  /   ゝミ}rメ´‐''"´ : :::::| | __                //\
           }ー=ミ ヽー 、ィ´ ー-=ニ二ノ .::::| ヽ >  >  ______//   > .,
           /`ー―ヽ_,∠ノ'"´   ー=彡'"´ > 、\〈  /r―――――‐'           > .,
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.     /    /ニニ/  :{ {/ O / /     { {       | /      / , '    /  ',
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     |     /   ,|  :| |二ニ=-‐r―f´ ̄ ̄ ̄| ̄l`ーミ}         l       ::: l
     |    l    {―‐/∠ ̄ /   〉  O  :l  | l  〉         ', ____::::::|
.   /   /     {  \ \___\_|r―――'ミ_,|_|_,{        ',____ ヽ}



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  扉が閉まる瞬間にふたたび鳴いたドアベルが、今度は完全なる沈黙を呼んでいる。

  戸口に立つ青年はべつに殺気を放っているわけでもないのに、
  できる夫以外の全員がそちらを向かされていたのだ。
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404 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:25:19 ID:eEJrO9II
47.
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
  蒼銀の鎧は魔法金属のものに違いなく、
  背中の両手剣にいたっては人が打ったものとは思えないほどの存在感を放っており、
  素人目にもどこかの国の親衛騎士か
  名のある冒険者以外の選択肢は考えられないほどで。
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             , ― 、
            / / } l),____
            {i { /´,z ー=== 、
            ゝ´ ./         ヽ
             ,' /   /     ヽ ',
             { ,    {    l l  } }
             l ,.{   l    l l   リ
                '{ ム ヽ从人jハ乂イ /
              ヽj}       j   }l/
              /´ト、 ( フ /     「い、いらっしゃいませ。
               r }_ > イ          お客様はお一人様でしょうか?」
            r-'ヽ` ミニニl7ー-ァ- 、
           /≧s。\ュ.,___j_ノニ/  ム
           {二二}ヽ_,j - ― ー- ../ニ!
              }二二ニ}         Ⅶi
            l二二ニ}           Ⅵ
            ヽ二ニ}        /マ
             ヽ二ニ'.ヽ/      {ニ!
              ヽニニ∨_ /   .ノニ!
         _ z=ー- l二ニヽ ̄ ̄`lニニl
         {   , z≦マ二ニム` ̄´jニニト 、
         ヽz≦  ,  マ二ニム  {ニニ}\ \
       > ´   /   マ二ニム  !ニニ! !  、 \
     >´.     ,     / マ二ニ.} |ニニl. l   '
   /      /     '   マ二ニ! .lニニl._   '.    \



                        __
                       _/_,,.......,,,,..ヽ_
                    ,,i_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:ヽ
                   /;;|   (●)(●)|
                     |;/|   (_人_)│
                      |     ` ⌒´  |
                  |          |   「ええ、一人です」
                     ヽ      /
                  / lヽ     /
             _/゙ヾヽノ_ヽ  ̄ノ ,r‐;=              f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ
        ,r‐< ̄´、ⅴヽ、 `ト-====ハ|   ,`v-, 、__.        |  お好きな席へどうぞ。 |
        /    ` ー-`、ー_`、 ,!'``'┴┴ヘ,|/.-'_´.-'  `ヽ     乂__________ ノ
       l         r-ィヽ.}ヽ、__  _,.-ヘ´‐'r-ィ     |
       ノ 、        ヽ_ソ≠====:三===キヲ_ノ     |
       〉、 丶、 _    __,. ゝシ``ー---ll--‐‐ヘゞ‐′    ,. ヽ、
       !、 `丶--'丶、__,ノ  <^^> ||    ヽ,--、 -‐',. イ´
.      }、`_ー_'二フ7'、_}ヽュ__,.., Ⅴ ´ ̄`丶、_,ッ}:::ゝ-二._,.イ
.       〉、_ 二 -ィ′八ヽ ゙´Y          }リ::::::::{'ー--〈
     /ー--‐''´::::::/;;;;;ヽヽ、_>、  ,. -─‐- 、ノレi:::::::::ゝ、ーイ
.     l::::::::::::::::::::::/;;;;;;;;;;;;〉}  Y´       l |;;|:::::::::::::: ̄l
      ゝ:::::::::::::::ノ;;;;;;;;;;;;く ノ   }        { l;;|::::::::::::::::丿
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    {:::::::::::::::::く;;;;;;;;;;;;r'、   ,.、`丶` =--=''´'´ ,..ヽ、|::::::::::::::::::|



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  泰然とその場を支配していた青年は
  自分や装備に注目が集まっていることに気づいて剣をおろし、
  そこでやっと、自分の役割を思い出した給仕が
  普段よりやや高くなった声を出した。
――――――――――――――――――――――――――――

405 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:25:50 ID:eEJrO9II
48.
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  深々と頭を下げる娘に頷いた彼が
  コツッと一歩を踏みだした音で酒場内は時間を取り戻し、
  青いマントを翻しながら靴音を二十三回鳴らしてルイズの隣に立つと
  ゆっくりとした、けれど隙のない動作でカウンター席に腰を下ろす。
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                                   /  ̄ ̄ \
                                   _ノ、 \_    \
                             ( ●)( ●)    l
                             (__人__)      |
                              (`⌒ ´      |
                              {         |
                                 {       .:.:.ト.
                                   ..ヘ      ノ" } ヽ.──────────┐ 、
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406 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:26:11 ID:eEJrO9II
49.



                        __
                   ,イヽⅦ iミ 、
                    /ニミ、}i}i} }i ノ∧
                { i /```"´ ヽ∧   ト、
                {iY        Y} Ⅵi}i:}  }
                     {i{ニ=--   .____ i}}__}/i:/..,イ          「お暑い中ようこそいらっしゃいました。
                rⅵzx`ー=彡⌒` }ハi:i:i:ii:i:i:i:i:ミ、        わたくし、当店のバーテンダーを務める
                { i.汽tヵ _Y⌒ヽ }ァ}i:i:i:iⅥii:i:i:i:i:\.      ウォルター=C=ドルネーズと申します。
               ,ィ-く \{`ー if' ゝ. .イ,.|./}\i:i:Ⅵi:}八} }
          ,..  ./: : : : :∧ r-く  ソ イ} } }:i: : >i:i:i:i:i:i} }.     メニューにないものもお作りしますので
        ,       {: : : : : : ∧ `ー`zx'ノ //ノ: : : : : ::::刈、      ご注文が決まりましたらお呼びください」
          {       {: : : : : : { .\`冖 ..,イ  }: : : : : : : /⌒   、
         |      .{: : : : : :/ c /`ー 彡  /: : : : : : :/      \
        |    /: : : ::::/{ /{i:i:i:i:i:i   /: : : : : : :/        ヽ
.          |    ./: : : ::::/ .′ ト、/\ /: : : : : : :/          }
.         (   {: : : : :/   ./i:/   ./: : : : : ::::/      /   ./
       /.\  |: : : : {i  /i:i:{   . /: : : : : : : :{      /    {
       }    {: : : :::{i /i:i:i:i:/ ./: : : : : : : : :{   ./      ヽ



――――――――――――――――――――――――――――――
  と。

  間髪入れずに戸棚の前から離れたバーテンダーが
  おしぼりと総革張りのメニューを差し出しながら恭しく言ったので、
――――――――――――――――――――――――――――――

407 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:26:47 ID:eEJrO9II
50.
――――――――――――――――――――――――
  これには固まっていたできる夫のみならず、
  青年の登場で状況を一瞬忘れていた
  クラフトとルイズもはっ、と身体を強ばらせてしまう。
――――――――――――――――――――――――



         ___
       /::::::::::::::::::\
     /::::-::::::::::::-:::\
    / ( ○ ):::::( ○ ) \
   |    :::::::__´___:::::::   |
   \    ::::::::::::::::::::   /   「!」
    / ::::::::::::::::::::::::::::::: \
   ...|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |



                      _
               , -‐ ' ´ ̄  `  、
              /         ―--.ァ
            ./       ,      .ハ、
           /        /    /  ./  トヽ
           /    /    l   !,ィ  /l  ヽ `
          ム'   / . i   レ ィAト<N. l !リ`
          /ィ   .レメ',i  , ∧! '、''¬` .,''`'
           レ、   !爿ヘ l'    ̄ '´ ヽ、
             ヽ.  \ゝ、l         /
              ヽ,  ,八     , -―, '    「チッ」
           _/: ヾ'´  !`> 、  , i i j
        _/:.:/-―仆、     フ/iニ´、‐---― ―- 、
    . -‐':.´:.:.:.:.:.:./: : : : l L ヽ.  / 」 l: : :`:',:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
   /:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:/'´ ̄:`! 、 ̄V´ ̄ィ !-‐: 、',:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
  ./:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./: : : : : :!  ゝ`l /  .l : : : : ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ



            /                 \
           /                 `ヽ 丶
             /        .:ノ            ',  ヽ
         / /  /   .:.:/     :ヽ:. ヽ:ヽ   V   l
         l.:.|  :/  .:./.;イ    :ヽ:...:.:l.:.: .:|:..:l   l:  !
         |.:.| .:l .: \!/ l:.:{  .:.:.|ヽ:.:}ヽ .:j .:.!    |:.  |
         ヽハ:l:.| !:.:.:jV\{:八 .:.::.l }:/_,j;ィト:.l   .:l:.:  |
            ヽ从:.: iイfチ心ハ 、从ィ厶斗<V  .:.jl:.:  |
             \ト小._V;zソ ノ/  V;;_z1 '/  .:.:.:ハ:.:. 八
              リ :} .:::::: ,     :::::::..  /  .:.:.:/.:.ヽ:.:.: ヽ   「むーっ」
            _..ノ/八            /  .:.:.:/.:.:.:.:.\:.:.  \
         , -‐´ :/ .:.:>,.、 ´ ヽ   ィ′ .:.:.: ハ;.__ .:.:.:.:\:.:.:   ̄`丶、
        〃 .:.:/  .:.:.:.:.: ノ'¨ ヽ、_ , ィ≦7   :.:.:./'´  ヽ.:.:.:.:.` ー- 、:.   ヽ
         l .:./  .:.:.:.:. ;.'イ\ ノ} /`∨  :.:.:.:{     ゝー、.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:  }
         {.:/  .:.:.:.:.:/  }  Vx1_/  {   :.:.:.:ヽ      ∧.:.:.:.:.:.:.:}:.:. ,′
       〃  :.:.:.:./   j/  ̄ ̄ ヽ入   :.:.:.:.:.\      ヽ.:.:.:.:./:.:/
       {  :.:.:.:.{      |     /  \   :.:.:.:.:.\     ):.:/:.;イ

408 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:27:11 ID:eEJrO9II
51.
―――――――――――――――――――――――――――――
  こういう、金のありそうな御仁の注文に興味があったクラフトが
  二人越しに耳をそばだてていると、
  差し出されたメニューに手を伸ばさない青年は静かに言った。
――――――――――――――――――――――――――――― 



: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.∧
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::∧
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ハ
:////, : : : : : : : : : : : : : : : : : :.'
://// : : : : : : : : : : ,才: : : }: ::∧
: : : : : : : : : : : :/ / :}}八从:/レ人
:i: : : : ::i: : : : : :{/_彡イ才}: N
:|:!: : : ::|: : : ::/ (N〈 } レ
从ハ}八(イ彳   /
/` <   :!ヘィイ才"   (こういう御仁はいったいなにを飲むんだ?
ゝ厶/ T⌒ヽ ̄.       高級ウイスキーか?それともワインか?)
.:.:.:.:.:.`ヾ: : i: :ヘ
.::::::::::::::::::\: : {ヘ
::::::::::::::::::::::ー≠-ミ                                           __,,、
::::::::::::;::::::::/.:::::::::::::ヽ                                    __,,,,,.、--―'''''"゙゙゙゛
::::::::://.::′:::::::::::::::::::ハ                     __,,,,,.、--―'''''"゙゙゙゛
::::::::{'.::::::::::::::::::::::::::::::::::::!           __,,,,,.、--―'''''"゙゙゙゛
::::::::{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!.. _,,,,,,,、--―''''''"゙゙^
::::::::{::::::::::_,,,,,,,..---ー''''''"゙゙`
ーー''''"゙゙`



           / ̄ ̄\
         /  _ノ´ ヽ、
.        |   ( ●) (●)
        |   (___人__)
            |       _.ノ     「そちらの三人が先客ですよね」
          |     _/__゙ヽ_
         j、_    (〈_r- ヽ ヽ、
        √::::::...`ミュ、r'、〈`ヽ、 |
        /.::7 ̄ ̄. : : .:.:.ヽ_ヽ   ト、
     / .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..\Yー‐ソ,
      ,' .::::/.::::::::::::::::::::/ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
      i .:::::::::::::::::::::::. ::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
     i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
     i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
     ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

409 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:27:41 ID:eEJrO9II
52.



   x≦ニニニ=‐
   ニニニニニニニニ=‐
   /ニx≦ニニニニニ=-ヽ
   V,〃”⌒''*、ニニニニ=-v
.   ^´        ≧xニニ=‐V
            乂ニニ=-V
                Ⅵニ=‐}
    _,,., _,.斗*=-  :..:Ⅵ/\
    ,x*'' ´    ,,,__ : :.:.} /ヽ}
    xく   f≫''”⌒^_.\} } .ハ    ヽ
.      V{j/_,,xvハア.′八ヽ ′∨  }
    ト、  く〃´⌒ヽ´  } :rく/   .}
     }r=ミ{{  // }  ノ .;_/{___,ノ_,,.ノ
     j{.   乂 /_,.ノ% ′ {\ニニニミ*、
    j{   jr- ..,,_.%i  { }^ヽニニハ,乂  「………これは、大変な失礼を」
.    \,__/    、`}%   ′}% }ノ八}
   { 、_.   _,.,-‐┘} % ./ /.% _}⌒~""''' ‐- ...,,__
      、__,,..    ,' .%イ _/ % ,′ニニニニニニニニニニニ=‐
    \ '     ,. ゛% ./  %′ニニニニニニニニニニニニニニニ=‐
       :.、     _,/  ,%'′  % .}ニニニニニニニニニニニニニニニニニ
     : : : ` ‐≦   ./ ℃c‰ ,′ニニニニニニニニニニニニニニニニニ
     { : : : : : :},_,/    '   ′ニニニニニニニニニニニニニニニニニ
.     j{ : : : :〃__ハ   /   /ニニニニニニニニニニニニニニニニニニ
.    j{ : : : ,′ : : ',  {rc /ニニニニニニニニニニニニニニニニニニ
      j{ : :..,′ : :.... ヽ V /ニニニニニニニニニニニニニニニニニニ
.      乂,∧ : : : : :.:.∧___/ニニニニニニニニニニニニニニニニニニ
.         ∧_______/   /ニニニニニニニニニニニニニニニニニニ



―――――――――――――――――――――――――――――
  注文したてで目の前に何も並んでいない可能性を
  完全に排除したはっきりした声と、
  穏やかではあるが含まれる意味を感じ取ったバーテンダーは
  巧みに動揺を押し隠し、
―――――――――――――――――――――――――――――

410 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:28:19 ID:eEJrO9II
53.
―――――――――――――――――――――――――――――
  気を抜くと冷や汗が伝いそうな手で
  三つのおしぼりと持っていたメニューをできる夫に差し出した。
―――――――――――――――――――――――――――――



        _ ____ _
.       /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
    /才/⌒^"'゛´⌒ヾヾハ   .イ
    ':// . ′         i  マ:' }Nノ:|
   :.:{_  i        |  }从:.:.:ノ才ノ
   }=:{  !         !二ミ:.:{.:.:.:.:.:.:≦
   ハ:才-==ミ ー=彡 ノィ=ミ从:.:.:.:.:.:.:.才
  ′i/_,.ィ=≠ミx、 ̄ .ィ≠__ i:ハ.:.:.:.:イ
  { :{ xだァ才 ノ /弋辷アハ./.:.:.:.:.:彡
  ∨ハ、ー  .イ  {{     }}.:.:.:.:.:.:く
   ヾ:,ハ.    iゞ≠乂____才ハハ弌斗
     i: !  .イ   :|:::..  i |\
.    /' |.fr⌒ヽ   j:/ハ ; i.:.:.:.:.:.<
.>'".:.:.:..\ 廴_.二._,.ィ :} 八:.:.:.:.:.:.:.:.     「お客様、
.:.:.:.:.:.:.:.:.:{iハ `ー=‐彡  イi:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.      ご注文をどうぞ」
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}\ヘ  ´ ̄` .//,:}:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
:.:.:.:.:.:.:.:..: }∧\> -=彡.イイ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:. ∧{{   \> '" {{ |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ゞ≠⌒⌒ヾ=イ:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ∧ イ:.:.:.:ハ 宀. |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:_,.>'⌒\:. ∧ ∨.:.:.:.ノ _,.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
__ -=ミ. \:ハ }=リ___,|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
    }ハ、   ヾヘ:.:.:.:.\  ;:.:.:.:.:.:.:.:.:.:._三
ー-= }才      ∨≠ュー--ヘ _才⌒ヽ
    、:..       }  {`ヽ◯ \ `ヾ
 ̄   ノ:.       i|  ∧ }    ヽ



        / ̄ ̄ ̄\
       / _,ノ  ⌒ \
     /  (●)  (●) \
     |     、 ´      |
     \      ̄ ̄   //|
     /     /⌒ノ ̄ ̄ | ( )
      |   \ / /      |  .|
       \  “  /l      |  .|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\  / ̄|_____|./ ̄ ̄ ̄



―――――――――――――――――――――――――――――
  入店の瞬間以来の視線を向けられ、お客様と呼ばれてやっと、
  できる夫はやるせなさと不快感を腹に押し込めることができた。

  少し震える手でメニューを受け取り、開いた瞬間、
―――――――――――――――――――――――――――――

411 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:28:42 ID:eEJrO9II
54.
――――――――――――――――――――――
  こんどは逆側のルイズから突っつかれてしまう。
――――――――――――――――――――――



  /  /                        ヽ
. /  /   '   ,' :!  、 ',   ',  '            ∧
7   /   ,'    |  l   ', ,  i  }  ,  i    ', ハ
:  ′   '     |  |    ',|  l ハ |',  |、    ,   i
|  .|    i    {', |V  ノ :| j~├j-| リ:|  ; !     |  .|
|  .|    |   _{_Ⅵzニ´ |   ,'レ ,. --z/ | }  ,'i  リ
.!  |   ', | ハ ト、', ヽ{ \}| ./ ,x,r‐ ̄\ヽリ  , //
:',  !.  ', ∨! ヽ{チ ,ニニミx ノイ /  {rチ:ハ }/  .イY
. 〉 !    ,. ',レ〃 {以:沁  ムイ   乂z:ソ 厶イ | ',
/ ! i    :',.i jハ{  乂?鞍リ    、    ̄ ̄   !  | ヽ
  i .i   `',    ー '’.         :::::::  l   |\-
  :} ∨   ∧   ::::::::::            ;  .|ニニ}
 〃ニ∨   ∧           _ - ュ  人   |ニ7
:'/二ニニ∨   ∧、     r ニ ̄   ̄  /:,'   .|f/=....   (ちょっと!
,'二二ニニマ   ∧>.           / ! /   ;/二      なに注文しようとしてるのよ!?)
二二ニニニマ   \  弋=-  __,// j/    ,二ニ
二二二二二ヘ     \   > _  /  /    /二ニ
二二二ニニニヽ.     \   ,rVヽ / , ‐-<ニニ
∨ニニニニニニ\.    \ ′;| V / , -‐--\_/
ニ\二二二二二二\    _. -r┐∨r={ ,'  ,.- .,_ V
ニニ=\二二二二二二`/  _,. ' 、!__{ ゝ、 {  /  __ ',
∨ニニ\二二二二二i{  ´  _,.}|< ∨ ハヽL /   |
ニV二ニニ≧=-ニ.,_二ニ|    /  j-、.∨ ,Y、 ゝ-'’- j
ニ∨二二二二二二ニニi      / ハ. ∨ ! \_  .ノ
二ニ}二二二二二二二,入      / }_ニ{  \    /
二二二ニニ>'´二二/ { \___ ,.イ  .i    ` ー '
二ニニ>'´二二二ニ,'  i ',  `ー ´ ∧  ',



――――――――――――――――――――――――――――――――――
  そうしてやっと、いつもと違うと気がついた。

  流れの冒険者や荒くれ者の傭兵が主な客層の店では、
  そういった風体の者がカウンターに座れば
  勝手に水が置かれて仕事探しかと尋ねられる。

  仕事を求める者はカウンターで店員相手に情報収集に努め、
  仕事を求めていない者はテーブルに着いてゆっくりするのが基本だからだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

412 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:29:11 ID:eEJrO9II
55.
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
  しかし、このような店では流儀が根本から異なっていることに気がついたクラフトは
  今さらながらに選択が誤っていたと後悔するしかない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



                                 r'´                   \
                               rイ´                     ヾ 、
                                !   l        \  、         ヽ
                                l.   ', ヽ.  l', l     ヽ!ヽ ト、 ヽ、    \',
                                l ィ ,  .!、 lヽ l ', ト、     λ!ヽ ',ヽ.     l
                               /'1 l l. ',ゝ斗リ「 ',!.ヽ. ,ィ    k ,ヘ',    .!リ
      (失敗したな。                      ゝA  ヽ ヾ云ア  ヽ! リ、  l 'ノ/´ `    l
.       これなら最初から勇者と名乗って       / ` l ./リl  '孑'   '  ヽ/ rイ,      N
.       信頼を得るべきだった).          >' ´/  .ル'l. l  ``       ' .l. ヽ    !
                        ,  ' ´      /  N、             j ,  l .ィ ,  .!
                      , '              /ヽ_ __,,       / !  リ.ゝレ-‐ァ
                    /             -‐イ  ゝ-    / >' ´     ',
                   /           -‐'''イ´       ',i i i ,/ ./l        ゝ、
                  /         /´  イ´   , ‐- 、   フ´ ヽ/  」    -‐':.:´:.:.:.:.ヽ
                  -‐'           /r'ヽィ丶/     <_ .//´ >孑'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\



          /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
.        ゞ=≦: : : : /: : /: : :|: : :、: : :、: : :∨: : :‘,
.        /: / : : : /: : /: : : :|.: : : ; : : :V:: :∨: : :∧
       /: イ: : : :/: : /: : / : l: : : :|; i: :i: Y|: |:、: / : '
.      }//: :/: /: : /: /:.{ : : : |: : l: |: :|: :!|: |: : : : : :|
.       / .′/ : { : /}:/: : |: |: : |: : |: l: :|: :!|: | : ∨:.八
       {: :{/}: |レ'_.|'_.斗! :l: : 、:_:八!:_|:/}ハ: : :|: : : :
         ハ: |:ハ|ハ{x、{/._ Ⅵ: |: :/_}/}/二/.: : : :!: : : : : :
      /: :ヾ : : ハ 込ソ  V:/Tス芯 〃 : : : 八: : : : :
       /: : : : /: } :‘     , .}'  `¨¨ /: : : : /: : : : : : :
.      {: : :/ : ノ: 込          /: : : : :.{: : : : : : :(   (私達はお目に適わず、か)
    _ノ: : : : /: : :/: :> .  - 、    人: : : : 人: : : : : : :ヽ
.   /: : : : :/: : : :/: : :rf//.> . -=≦_ノヽ: : : : :\: : : : : ::
.゙/: : : : :/: : : :/: : rノ///// { /´     }: : : : : :ノ\: : : : :
゙: : : : :/ : : : : /: : ///////フ⌒ヽ^}  ./ : : : /////ヽ: : :
.: : : :人: : : : : :{:.////////{    ////: : : :////////〈
゙: : : : : l\: : : :ヾ////////∧ ./////: : ://////////∧
...: : : : ノ/Y: : : : :\///////K./////: : ://///////////∧



―――――――――――――――――――――――――――
  おそらく虚勢を張って身なりだけを整えても無駄だったろう。

  一流の店が客を視る目も確かなのは
  入ってきた時の違いではっきりしたし、
  隣に座った青年を見てしまったからこそ分かる。

  一流には一流の風格がある。
  いや、実績と実力があろうとも
  風格がそなわらなければ一流ではないのだ。
―――――――――――――――――――――――――――

413 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:29:54 ID:eEJrO9II
56.
―――――――――――――――――――――――――
  水だけで情報を得ようと考えていたできる夫も
  追い詰められたことを知って全身に汗を感じていた。

  砂漠地帯ならともかく、この町の他の店ならば
  何倍おかわりしても無料なはずの水が、
  銀貨五枚と書かれているではないか。
―――――――――――――――――――――――――



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:::::::::::::::: ̄ ̄ ̄ ̄~γ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
::::::::::::::::::        │                           ||
::::::::::::::::::        │ お飲み物                       ||
::::::::::::::::::        │ 水      5S                  ||
::::::::::::::::::        │ 果汁各種 10S                   ||
::::::::::::::::::        │ 炭酸水.    8S                   ||
::::::::::::::::::        │ ………                          ||
::::::::::::::::::        │ ………                          ||
::::::::::::::::::        │ ………                          ||
::::::::::::::::::        │                           ||
::::::::::::::::::        │.           f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ
::::::::::::::::::        │.           |  銀貨五枚―――!?         |
::::::::::::::::::        │.           |  水が!?ただの水が五枚!?  ...|
::::::::::::::::::        │.           乂_______________ ノ
::::::::::::::::::        │                      ○         ||
::::::::::::::::::        │                      o.          ||
::::::::::::::::::        │                 。           ||
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414 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:30:15 ID:eEJrO9II
57.
――――――――――――――――――――――――――――――――
  あまりの場違いさと、空気を感じ取れていなかった自分が恥ずかしい。
  内心の忸怩たる思いが涙となってこぼれそうになる。

  メニューを持つ手が震え、
  今すぐに席を立って逃げだそうかと思ったそのときだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――



          ____
         /      \
        /  _ノ  ヽ、_  \
      /  o゚⌒   ⌒゚o  \
     |     __´___      |
      \     ` ⌒´     /|
     /     /⌒ノ ̄ ̄ | ( )
      |   \ / /      |  .|
       \  “  /l      |  .|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\  / ̄|_____|./ ̄ ̄ ̄



             _ _____
          _-ニ二-‐=ー-ミ、
         /三二/       ヾ
        /三二才ー-     -‐ハ
        }三ニ{ ⌒ー- =彡⌒ {
        }三ニ≠云ミx   〉´ ̄`Y
        }三./ニf´r,} }zz杙ぅァ i|
       ハ三三弍"ノ/|! 乂__彡i
        ∨Vニー- __/-|i ∨   i
.        }∧三二ニ=<=ハミ:、 ノ
       ト. \ト f´rー=ニ ̄ '  .ィイ'
      }Nニ\.∧ニ-_`ー=ニニ=-彡{i.           f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ
     ∨\ニ{ V=-_ ` ̄宀≦ 八.          |  三人と俺に、柑橘の炭酸割りをお願いします。  >
     乂三二>v=-_      ;/i          乂_____________________ ノ
      ≧三二=_\=_    /i| ト
     辷三二ニ==->=--<.:リ | }
       ̄7三二ニ=---=ミ/ {/〈\
   _ _-‐=二三_\=-   /ハfハ  ∨{\
_/三三三三三二ニ=\  //三_}∧ .ⅵ }ー-  _
{{三三三三三三三二ニ∨.イ三二ニ{>斗\/{



―――――――――――――――――――
  まだお前達にこの酒場は早すぎる、と
  眉を動かしていた店員に向けて
  注文が告げられた。
―――――――――――――――――――

415 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:30:46 ID:eEJrO9II
58.
――――――――――――――――――――――
  なるほど。
  
  この三人組に先を譲ったのは、
  割り込むほど作法を知らぬわけでもなければ
  優遇されて喜ぶ人種だからでもなく、
  助け船を出すつもりがあってのことか。
――――――――――――――――――――――



        _ ____ _
.       /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
    /才/⌒^"'゛´⌒ヾヾハ   .イ
    ':// . ′         i  マ:' }Nノ:|
   :.:{_  i        |  }从:.:.:ノ才ノ
   }=:{  !         !二ミ:.:{.:.:.:.:.:.:≦
   ハ:才-==ミ ー=彡 ノィ=ミ从:.:.:.:.:.:.:.才
  ′i/_,.ィ=≠ミx、 ̄ .ィ≠__ i:ハ.:.:.:.:イ
  { :{ xだァ才 ノ /弋辷アハ./.:.:.:.:.:彡
  ∨ハ、ー  .イ  {{     }}.:.:.:.:.:.:く
   ヾ:,ハ.    iゞ≠乂____才ハハ弌斗
     i: !  .イ   :|:::..  i |\
.    /' |.fr⌒ヽ   j:/ハ ; i.:.:.:.:.:.<
.>'".:.:.:..\ 廴_.二._,.ィ :} 八:.:.:.:.:.:.:.:.     「かしこまりました」
.:.:.:.:.:.:.:.:.:{iハ `ー=‐彡  イi:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}\ヘ  ´ ̄` .//,:}:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
:.:.:.:.:.:.:.:..: }∧\> -=彡.イイ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:. ∧{{   \> '" {{ |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ゞ≠⌒⌒ヾ=イ:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ∧ イ:.:.:.:ハ 宀. |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
:_,.>'⌒\:. ∧ ∨.:.:.:.ノ _,.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
__ -=ミ. \:ハ }=リ___,|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
    }ハ、   ヾヘ:.:.:.:.\  ;:.:.:.:.:.:.:.:.:.:._三
ー-= }才      ∨≠ュー--ヘ _才⌒ヽ
    、:..       }  {`ヽ◯ \ `ヾ
 ̄   ノ:.       i|  ∧ }    ヽ



     /.: ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
    /: : :            \
  /: : :               \
/: : : : -一'       ゙ー-     \
: : : : :/´ `ヽ       r´ `ヽ     ヽ
: : : :(  f;;;;j l,    l f;;;;j  }    l
: : : : ヽ_ ` _ノ     ヽ_ ´_ ノ;;::    |
: : : : : : ´"''"   '   "''"´     l
: : : : : : . .   __         /
\: : : : : : :. V___ヽ       /     「―――!?」
/ヽ: : : : : : : : : :        イ\
: : : : : : : : : :                \



――――――――――――――――――――――――――――――――――
  決して、高級な酒場の洗礼を受けるのはこの組だけではない。
  むしろ初見は戸惑うのがほとんどだ。

  だが、袖すり合うも多生の縁、
  先輩冒険者として手をさしのべるつもりらしい男に畏敬の念を感じた老人は
  静かに答えると果物の置いてある籠に向かい、
  それと同時にできる夫の手からぱたり、とメニューが落ちる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

416 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:31:14 ID:eEJrO9II
59.



.       /                |ヾ!厶!::       ヽ
     /           : : : : |    |::  :    :  ',
     ,′        :ハ:∧: / {: : : :|   !: /: : :.} : :  ',
      |   : :  : : : .|_l/,.ィ/∀\.: !‐′ :!、/.|: : :ハ: : :   \
      | : : : :|:   : : : :| /゙二\.ハ:|    |/`_ヒメ/、: : :  ト、_>
.    厶: : : :ト、: : : ト、:| 《 ヒ::リ       ィ゙.二゙\リ:.::. ト、|
      }: : ハ|..}: : : | :}    ̄ /     i 、 ヒ::リ 》.:.ハ:..|
      |: : { 入: :.:|           : { ` ̄ 厶、{ ヽ|
      レヘ,.ヽ ヽ\!           : 〉       ハ!
         |: :\__                 /      //
         |: : : : :ハ                   /'′
         レヘ: : :}∧       , -‐  ̄`ヽ    /
         }: : |  \.      ̄ ̄ ̄    /
         |ハ::| ヽ \      ̄   /   (どういう事だ?
           リ  ',  \l:l:l:l:|:|:|:|:l:l:l./|     ルイズの知り合いか?)
         r┴───ヽ `ー──‐゙/ :|\
         /¨|: : : : : : :/   \    :/ /  \
       //´\: : : : 厶__>、   /___>
__,ィ⌒/::::::::::::::\: : : : : : : : : : : \/   |::ー- 、\
///// ̄::::::::::::::::::::::::ハヽ: : : : : : : : : : ::}  ./\:::::::::::::\ー、



                -‐…・・・…‐-ミ
            〃: : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ
          . : ´: :,: : : : /: : : : /: : : ハ丶 : : \
          . : : : : ::/: : : :/: :从: :i: :〃: : } } : : :丶ヽ
        /: : : : : / : : : 斗七爪弋ト、 : : |/: ∧: :ハ: : .
         /: : : : : ,': : : : {〃´γヾミ八 l 、 : :廾ト、: :∧: :i
       {: : : : : : !: :: :: :从  圦ソ  ` )イ≠、从: : : , !
       !: : : : : : ! : : : : ト   ー‐       卜ィ リ }: }八}
        ,′ : : : : {: : : : : |         、こ  /: :ノ ノ'
.      / : : : : : : i!: : : : : ! U          ノル'
   , : ´: : : : : : : 人:: : : : |   n   r―ァ    .八!
  / : : : : : : : : 〃Vヽ: : : :', r'丿     ̄    イ: : |     (実家の関係者―――
/ : : : : : : : : r‐'/爪: : : : : :/ { r‐ 、__ . .イ: : ノ: :: :{        とは思えないんだけど。
: :/: : : : : : : ://///∧ : : : ,′´/⌒つ : : :! : : : : : :{
〃: :: : :x≦///////∧: :: :ヽ  / 二) : 八 : : : : 八       北部には知り合いもいないし)
{ : : : : }/,/////////∧: : :∧  ヽメ//个、:ヽ: : : : : :.
ハ : : : く,///////////∧ : :┌―‐‐┐///∧:: : : : : : :.
: }: : : : i ////////////}: :/     .|/////ハ : : : : : : :.
丿: : : :/ ///////////: :く'     λ////ノ : : : : : : : :.
: : : : : {///////////: : : :/     `ヽ,////: : : : : : : : :ノ



――――――――――――――――――――――――――――――――
  こういう場合、支払いは言い出した側が責任を持つものなので
  無銭飲食で衛兵に突き出されるようなことにはならないはずなのだが。
――――――――――――――――――――――――――――――――

417 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:31:42 ID:eEJrO9II
60.
―――――――――――――――――――――
  奢ってもらう理由の見あたらなかった二人は
  できる夫を挟んでさわさわと囁き合うも、
  納得できるこたえは見つかりそうにない。
―――――――――――――――――――――



                      _
               , -‐ ' ´ ̄  `  、
              /         ―--.ァ
               /       ,      .ハ、
           /        /    /  ./  トヽ
           /    /    l   !,ィ  /l  ヽ `
          ム'   / . i   レ ィAト<N. l !リ`
          /ィ   .レメ',i  , ∧! '、''¬` .,''`'
           レ、   !爿ヘ l'    ̄ '´ ヽ、..    (薄汚れちゃいるが
             ヽ.  \ゝ、l         /.       ルイズは美少女の範疇だし………
              ヽ,  ,八     , -―, '.        良いとこ見せたい、とかか?)
           _/: ヾ'´  !`> 、  , i i j
        _/:.:/-―仆、     フ/iニ´、‐---― ―- 、
.     -‐':.´:.:.:.:.:.:./: : : : l L ヽ.  / 」 l: : :`:',:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
   /:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:/'´ ̄:`! 、 ̄V´ ̄ィ !-‐: 、',:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
.  /:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./: : : : : :!  ゝ`l /  .l : : : : ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
  l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./´: ̄: `:!    l    /!'´;  ̄`ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`-、
  !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:〈/: : : : : :!、   l    /;;l: : : : _ノ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i
,-':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`:‐-、 : l;ヽ   l   /;;;;;;レ'´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:\
:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ヽ;;ヽ  l  ./;;;;;;;;;l:i.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\



     /: : /: : ,: : : : : : : : _ : : \: .\
     |: : i : : {:./: : : : : :、: ヽ : : ヽ: : i
     |: : ト、ハ|.: : : ヽ: : ヽ: :|: : : :|: : |
     |ハ:.i !\:.ヽ.: : : :|: ハ|: :.|.: : : |: : |
      从弋ト、:.!: :!_」斗ヤT: : : :|: : |
       |:.| ヒリ |ノ 弋たト/: : : 八: :|
     /|人::: 、   ::`ー' /: : : /: : ヽ!..     (そう言う貴族を地元で何人も見たけれど。
     (:._ノ: : \ r 、   /: : :.∧: : : : \      きっと違うわ、色目のイの字も使われてないし)
    / : : : : : _}>、 _, ィ: : : /: :ヽ: : : : : \
   (.: : : : : /:/:.:.:.:ムr:/: : : /\: : \: : : : : \
    ヽ : : 〈:.:.:.:|:.:.:/A.Y : : : {:.:.:.:.\_: : : : : : : )
     ) : : \_:i:.:.|.X/{: : : : :\――┴┐: : : /
弋二¨´.: : : : : 人V|/::{__: : : : \:.:.:.:.:.:.:{: : :/
人_ノ: : : : /:.:,:ィ介ー―‐‐): : : : : }:.:.:.:.:.:.〉:(
{___:./:.:/::/i!.|:.:.:.:./: : : : : :ノ:.:.:.:.:./: : :\
   厶イ/>く ノi \:{: : : : : : : (___:.:.:.:.:|: : : : : :\
   |::/|_/   \__rく∨: : : : : : _厶:__:.:.|: : :\: : : \
   |/  |     \_}J\: : : ___/:.:|: : : : :): : : : )

418 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:32:11 ID:eEJrO9II
61.



               /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.\
              '´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 、: : : : : : ヽ
             /: : : : : /: : : : : :.,: : : : : : : : 、: : : : : \: \: : : :
          /: : : : :.:/: : : : : :./: : : : : : : : : :\: : : : : ヽ: :ヽ:、: }
           | : : : : : |: : : : : :/: : : : : : : : :{:.{: : :ヽ: : , : :∨:ハ:、リ
            }: : : : : :.|: : : : :.': :.,: : ./: : : : :\_、: :}/: : : :∨:|: \
          ': : : : : : :|: : : : :|: : :_:_ハ: {: : 、: : : : ,ィハヽ: :.|: :i|: }`¨¨`
        ': : : : : :.:.:|: : : : :|: :ハ: {`_ー-、ハv':}: :{刈 |: : }:./}/
         ': : : : :./: : |: : : : :Ⅳイチ斥¨ヽ }:/: /マソ }: /イ /
       /: : : :/: : : |: : : : :| 弋こソ   /イ    イ: :
     /: : /,.-- 、:.:|: : : : :|           `   八: :
    /: : /: ////ヽ/|: : : : ム 、     ,.--v   / 、: : :..    (実はできる夫の事を知ってて、
  ,.:': : : :/: :イ//////∧: : : : :} >   {___ノ /: :.|/ ハ: :.:.      飲み物で恩を着せてから
  /: : : :./: :{/////////∧: : : :| ̄\ `≧=- '{: : : :.|//∧: : :.     何かさせようって魂胆とか?)
. {: : : :./: :/\/////////}: : :.:|   ¨/ Y\!/|: : : :.∨/ ∧: : ',
  |: : : :{: ////\///////|: : :.:ト、  / ,. - ム∧: : : : :\/∧: : ヽ
  |: : :.ノ///////>、////j!: :.:.:|/>、'__ {<{¨}//ム: : : : : :.ヽ/{.: : : :\
 /: : :.//////////// ̄/: : : ///ー - //∨///∧: : : : : : }/ム: : : : :.\
:´: : :.///////////////: : : /////////// \///}: : : : : : |///\: : : : :ヽ



                    -‐ ―-  、
                 /     ‐¬  `  、
                /.         l    .i
                  ,'          .! .i    !
                  ,'          ト,、!    ',
               И     i.      l  !. l、  !`...  (俺達を引っかけて浮かせられるのは金だけだ。
                l !    !,ィ. /l ト、!. '-‐N.リ.    この人の装備からして、そんなことをする
                レリ'ヘ、   !/'仁リィ  、 ̄ !、.     必要があるとは思えないな)
             /´L.'lゞ、ヽ.∩、   , -‐'‐.つ:.`:.:....、
              /:.:.:./l: :レ'リWN ヽ,>'´  -‐フ'!:.:.:.:.:.:.:.`:.:..、
          /:.:.:.:.:./:.:l´: : : ', !     '  /ノ-!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
        /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l: : :/ヘl      '  'イ、: :!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!
      γ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l': ´: : /ゝ、     イ :_; 」:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.l
.      !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:、:.:.:.:.',; r-</ ./.7'ァ_イ´ 「:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.〉
      l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\:.:.V:.:.:.:ヽ'_/././ 〉 .j:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:-<
      \:.:.i:.:.:.:.:._:.:.-‐>'、;;ヽ:.:.:.:.:. ̄',. ! /l_:.:.:-‐:/「:.´:.:.:.:.:l
       ヽ!:.:/:.:.:.:.:.:.:/:.:.:`´:.<`;;‐y':::ヽレ:::::l:.:.:.:.:.:.:.:.1:.:.:.:.:.:.:.:.:.l
        〈/:.:.:.:.:.:.:._/:.:.:.:\:.:.:.: ̄:7:::::::十:::::!:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ゝ
        ',:.:.:.:.:.:.:7:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/::::::::::::l:::::⊥:.:.:.:.:.,、:ゝ<`丶:.:.:/



―――――――――――――――――――――――――――――――――――
  そうしている間に氷室から氷―――魔法学院の見習いが配って回る―――を
  取り出したバーテンダーは大きめの塊をグラスに入れると
  オレンジを割って果汁を搾り出していた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

419 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:32:43 ID:eEJrO9II
62.
―――――――――――――――――――――――――――――
  棚の瓶を取り出し炭酸水を緩やかに注ぐと
  気泡が壊れないように、しかし手早く混ぜる。

  ―――ほどなしくて、四つのグラスが四人の前に並んだのだが。
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                        f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ
                        |  お待たせいたしました。             |
                        |  オレンジ果汁の炭酸割りでございます。  .|
                        乂__________________ ノ
                             ク
                             /イ
             ク.        ,r;ラ    /イ
             /イ       〃。{   //
     ,r;ラ    /イ        {:いィ . _//
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   {:いィ . _//           i!ゝ./イ゙、ヘ  ;}                     ク
. ィ´ Vリ //ヽ..   ,r;ラ    /イ.゙ ̄ ...::::::i!                /イ
 i!ゝ<〉-、ヘ  ;}   〃。{   //゙:::::::::::::::::::::::i!.           ,r;ラ    /イ
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     ヽγ.   i!::::::::::::::::::::::::::i!..... j i!.           i!::::::::::::::::::::::::::i!
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     j i!.       \    /...... `ー‐ ´           ∧::::::::::::::::::::::/
     ソ v.       ヽγ                      \    /
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                 ソ v                      j i!
                `ー‐ ´                      ソ v
                                  `ー‐ ´

420 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:33:12 ID:eEJrO9II
63.



: : .―-∧-: 、 : : |\: : : ヽ : : : : : : /\ : : -ヽ:─:| : : : :
: :{.: : :/ \: \: :|  \: : : : : : : :.:/ /ヽ: : : }.: :│: : : :
{ハ: : |   \:_:`ト、  \}: : : : ://_  \∧:/:| : : : :
: :.个┝┯┯┯┯━\/∨ : :、/ ┯┯┯┯━∨: : : : :
: : ヘ   弋_辷'_ノ    ∠: :_/  弋_辷'_ノ  / : : : : :
: : : :'、                      ,′: : : : :
: : : : :'. /:/:/:/          /:/:/:/ : : : : : : :
: : : : : '.                    u  ! : : : : : ;
: : : : : :i                      | : : : : :,′   (いただいてしまってもいいのかしら?)
: : : : : :|、        ~~‐-          ィ|: : : : : !



                                        _r'´  ̄   ̄``‐- 、
                                         /  l           \
                                         /  /!   l         ヽ
                                     /ィ /,' /レ」/! /  l       ',
                                     /ィ〈./' ' `l'.レ/.  l  l ,     ',
                                      ´ / 、""´ /ィ /ル /レl /    l`
                                        <      ´ .イ'//リ_ハ!    ヽ
                                      `       l/r<    /レ'` `
                  (大丈夫だとは思うが………       ヽ ̄`    ./  l   ./
                  できる夫の反応を待つか)           ,'i i i , , __,ノ,  .'レ、 /
                                          ゝ-==´ ,-'‐――'‐'┐
                                         /'/」  ,. .、-‐┬ヽ、
                                        ∠_ >ニ/ヽ: : :ヽ_: '-‐<
                                        // ̄:ヽ;/´ ̄:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
                                      //`丶/´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
                                     /./_: :/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l
                                    /./: : :/:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l
                                    ゝフ`:'´:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.l
                                      /.//:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l
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  相手の魂胆が分からないまま手を付ける気にもなれない
  ルイズとクラフトができる夫の出方を待っていると、
――――――――――――――――――――――――――

421 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:33:42 ID:eEJrO9II
64.
―――――――――――――――――――――――――――――――
  青年は置かれていたかわら版を読みながら
  飲み物に口を付けていたが、
  三人が硬直している事に気づいて遠慮はいらないと声をかけてくる。
―――――――――――――――――――――――――――――――



                                                  ――- 、
                                            ′
                                               i _,ノヽ_, i
                    「ただのお節介なので.             i(● ) (● )|
                    遠慮はいらないさ。             r‐┴―人_.) /
                    冷たいうちに飲んでくれ」       |    |´ `  /{_
                                           i廴。_,ノ|__.ノハ ヽ
                                       >≧γヘ/|_,: ―┴<ハ/.:.V
                                      ,イ.:.:.:,イ:..:..:,イ/.i>ー-ー  `>i:.:.:.:i!iヽー:.、
                                     ,イ...:...:iV.:::Y.:/..<__,イ¨    ヘ:.:.;j:...:.:..:..f>
                                    ,イ≦、....:ヘ.:/.:/:--<_ソー-<    ヽ、:....::.:.:/:.:. .ヽ
                                /ッ.:.:..:..ヘ::::/:,/.:./.:._i: : :i!:.:.:.ヽ     >、:./.:.:.,イ-=v
                                  Уナ:.;;:、.:.::;,;レレイ.:./(二二):.:).:..ゝ、 _ノ. : ヽ¨ー=ミヽ
                                 /,./ー<三フV.::/::.;;ノ.:.:.:.:.>i7∧.:.:.:..ヾ..: : :i:...:...:...:..V:、
                                 r/.:....:.:.:.:.:..:.:.:.::ノノ´:.:.:.:>//////,∧.:.:.:..:.iヽ: : ヘ.:.:.:.:.:...ヘ.:.!>,
                               /.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.::/¨.:.:.:.:>//////////∧.:.:.:..∨ヽ,_.ノ.:.:.:.:.:.:..:.V.V´
                             ,イ.:....:.:,;,;,;,;,.ヾ.:.:.:/.:.:.>///////////////';.:.:.:.:.:.ゝ<.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.V/
                         ノ..........:.:.<///シ¨////////r--r,///////ハ:.:.:.:.:.:.:.`ヽ、:_:.::::::::::::::;}´
                           /.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.:f////////////∧ ̄7///////∧.:.:.:.:..:.:.:.:.:`ー--f¨´



         / ̄ ̄ ̄\
       /        \
     /  _ノ  ヽ、_   \.
     |  o゚⌒   ⌒゚o   |
     \::::  __´___  :::: /    「お―――お心遣い、感謝します!」
        /  ` ⌒´    \
       |             )
.     |  |         /  /



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  瞬間、呪縛から解けたように身体を回転させたできる夫は
  椅子から立ち深々と頭を下げていた。

  この青年はおそらく、自分と同い年か一、二歳程度年上なだけだろう。
  だが順番の件といい、バーテンダーから蔑みの視線を投げかけられていた
  自分たちの分まで注文してくれたことと言い、できた人間だと感じられたのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

422 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:34:11 ID:eEJrO9II
65.
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
  すると、年長者のクラフトではなく、できる夫の方がリーダーだと見抜いていた相手は
  自分の厚意を素直に受け止めた少年に微笑み、
  故に―――自らも仲間を持つ者としての―――助言を与えてくれる。
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                                               / ̄ ̄ \
                                            ⌒´ ヽ、,_  \
                                           (●).(● )    |
                                           (__人___)     .|
.        「見ず知らずに頭を下げるなんて                '、           |
.           なかなかできることじゃない。                      |        |
                                           ,. -ー._i-、_     /l、
.           だけどリーダーが簡単に頭を下げたら.      /...::::::{. i_ {_γ、__ ∠ノ::.}- 、_
.           仲間も低く見られてしまうかも知れないぞ」   /:::::r/::::{. i_ l_ i_ {::::::::::::/::::::::::::::::..\
                                        /.:::::::::::::::} .i _i l_ {:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..ヽ
                                     /.:::::::::ノ::::::r "~'ヽj_ {:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. ',
                                    /.:::::::::::>ー、j.‐-  / {::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: }
                                   /.::::::::::::::トヽ、⌒ γ  i::::::::::::::::::::::::,':::::::::::::::::::: i
                                  /.::::::::::::::::::l::::::::ゝ、 {   ソヽ、:::::::::::::::} :::::::::::::::::: i
                                 /.::::::::::::::::::::::l:::::::::::::`ト、__/::/:::.\::::::::::::i :::::::::::::::::: i
                                   /`-::::::::::::::::::/l::::::::::::::::::`,ー::::::::::::::::::::..ヽ::::::i ::::::::::::::::: i
                                / .::::::::::::::::::::/ l::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::..、::::::::::::::::::::: i



       ____
     /      \
   /  _ノ  ヽ、_  \
  / o゚((●)) ((●))゚o \
  |     __´___      |
  \     ` ⌒´     /    「で、ですが………」

423 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:34:53 ID:eEJrO9II
66.



                                           / ̄ ̄\
                                         ⌒´ ヽ、,_  \
                                            (●)(●.)    |
                                         (_人___)    |
                                            '、       │
                   「とにかく頭をあげてくれないか。.      }       {
                  困ったときはお互い様さ」          !、______ .ィ-ート、
                                                 V/:::::::::::::::::ヽ
                                                {::::::::::::::::::::::::::::::.、
                                           /ー-:::::::::::::::::::::::::::::::,
                                   「r'、     /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
                                   } r'、 ヘ、 /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i
                                   i/ ム、} .{ i:::::::::::::::::::::::::V:::::::::::::::::::::: |
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          ;': : : :.:.|: : : : :|:/_|:_:_:|__{: :|: : : : :.:.:/イ: : : : :.|: :{ : ゝ
          }: : : : :.|: : : : :|:{  从{  芹ー'':{: : : : |: : : : : |: : : : : .
          /: : : : : |: : : : :|,ィ斥笊ミ、从: : |{: : :`|マヽ、: :{: : : :、: :\
         , ': : : : : : |: : : : :| {! {ん_,.ィ}ヽ ヽ:{ \: _,.z、:!、`:∨、_:>`  ̄
       /: : : : : : : :|: : : : :{  弋こソ       イ斥 }! /: トゝ
      /: : : : : ,: : /:.:|: : : : :|  ` ー      {zン /: :/
    /: : : : : /: :/: :.:|: : : : :|   :.:.:.:.       ' `¨  : :./{
   /: : : : : : /: : :/: : :∧: : : : :.          :.:.:. 八:|: |
.  /: : : : : : : /: ,ィ三ミ三 }: : : : : ',、      rv     ィ: : :{: :.    (さらっとこういう事ができる人って
  {: : : : : : : /: /三三三\,: : : : : : :. ` ..   .... ィ: : : : : :|: : : .   格好いいなぁ………)
  ヽ: : : : : : /三三三、三 ',: : : : : :. 、 /`¨´三ニ{: : : : :.:.:|: : : :ヽ
    ヽ: : : :{三三三三三ヽニ',: : : : :∨} /`!三三|: : : : :.:.:|: : : : : :\
    }: : : |三三三三三三 ム: : : : : :\⌒ヽ三ニ,: : : : : :.{: : : : : : : : ヽ
    /: : : :!三三三三三三三 ',: : : : : : ヽ>!三 }: : : : : :|: : : : : : : : : :}



―――――――――――――――――――――――――
  思わず、できる夫と青年を見比べたルイズが
  ほうっ、と熱い吐息をついてしまったのも当然だった。

  常にそうしていると言わんばかりの立ち振る舞いこそ
  いつかはできる夫にも身につけて欲しいと思っている、
  真に見返りを求めない者の余裕だったのだ。
―――――――――――――――――――――――――

424 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:35:14 ID:eEJrO9II
67.



                                    ,. '´      _____
                                  ,. '´    _,-‐-'´..:.:.:.:.:.:.:.`‐-、_
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    / ⌒  ⌒  \                      ,. ,. '´                 :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
.  /( ―) ( ●)  \                   ,. '´. 【号外】             ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
  /::  __',__   :::::  |                ,. '´. l     海賊団壊滅のお知らせ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
  |    `ー'´     .| チラッ.        ,. '´    l                  ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
  \          /  チラッ.    ,. '´.      l                   ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
                    ,. '´.          l                       ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
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            ,. '´                      l                       ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
          ,. '´                   _, ..-l                     ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
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      ,. '´               /     、  _l  ........./ヽ、 ,リ             ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.__ヽ
    ,. '´                 /       ヽ .l..::::_,,イ、   V/              ..:.__,-‐-'´ ̄   ̄
  ,. '´                     /     _,,,ノ-' '"   ヽヽ ./.::        _,-‐'´ ̄
,. '´                   /               /.::::::     _,-‐'´
                       /                 ,イ.::::::   _,-‐'´
                       /                ,イ.:::::::  _,-‐'
                    /             /l.:::: _,-‐'
                                  /,r."~
                              /
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                          /



――――――――――――――――――――――――
  また、やっと頭を上げて椅子に戻ったできる夫も
  真っ赤な顔で青年を見つめているルイズの影から
  ちらちらと彼を観察し始めていた。
――――――――――――――――――――――――

425 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:35:41 ID:eEJrO9II
68.



                ̄    、_
          ´     __....--‐'''"´: :\
       _/_....-一'''"./ : : : : : : : : /ヽ
  ,.x‐て/: : : : : : : / : : : : : : : : /: : : :ヽ
 /::,;:/そ|_:_:_:_:_:_/_:_:_:_:_:_:_:_:_/_:_:_:_:_:_:_|
./:/V   l              ,‐-,.._ ゞ
.V.     l              l 弋心 l
.     l              冫.ー く
.     l               l    ノ!
.      l               `ー‐ f r'
     l                  ノ'
     !                     /
     ,'                   /
   ̄ `ー -               /
          `  、        /
  :.:.:.:.:.:...        、      /
  :.:.:.:.:.:.:.:.:.:..      .:.:ヽ _ ´
  ー- :.:.:.:.:.:.:.:..   ..:.:.:.:.:.:ヽ
      ` 、:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
         、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
         ..:.`:.:、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
        ..:.:.:.:.:.:.:.`:.:、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
  グラスを片手にバーテンダーの仕事ぶりを眺めている青年は
  落ち着いてどっしりした雰囲気を持っている。

  目鼻立ちがはっきりしている精悍な顔立ちは色男と言うより特徴的、の方がしっくりくるし、
  あまり見かけることのない漆黒の瞳は黒曜石のように澄み切っていて
  すべてを見透かす力すら備えているかのようだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

426 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:36:14 ID:eEJrO9II
69.
―――――――――――――――――――――――――――――――
  と。

  さすが、金勘定や交渉ごとを一手に引き受けているクラフトだけは
  視界の端で観察したり気配を読んだりしていたと言うのに、
  年少の二人があからさまに見つめていたので
  気を利かせた青年の方から声をかけてきてくれて。
―――――――――――――――――――――――――――――――



             / ̄ ̄\
           /   _,ノ `⌒
            |   .( ⌒)(⌒)
.             |    (___人__)
             |        ノ
.              |        |    「どうした、
              人、       |.    なにか聞きたいことでもあるのか?」
          ,イ:. ト、ヽ、 __ ,_ ノ
    ,. -ーー -‐ ´:::::::::::::::::::::::::::::7
  /..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: メ、
  { :::::::::::::::::::::.ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. 、_
  | ::::::::::::::::::::::..`、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::..`ヽ
  '| ::::::::::::::::::::::::::::i_::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ::ゝ
   ト、:::/ / ̄`` ハ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!:::::::.ヽ
   `,ヘ ´:::::::::::::::::. ハ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::_,rー'、
    }:,∨ :::::::::::::::::: ト、:::::::::::::::::::::::::>< ̄\::..\
.    }:::∨::::::::::::::::、-''゙~ ̄ ̄ ̄ ̄:::::::::...\ ム:::::ヽ
     l::::∨ :::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,.、/...:::::::::ヽ}
    {::::::\,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/" ̄:::::::::::::::::::::::::ノ



                                         / ̄ ̄ ̄\
                                       / ノ    \ \
                                      /u (●)  (●)  \
                                      |     __´__  u   |
                       「い、いえ、その」.     \    .L:::::ノ    /
                                      /  u         \

427 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:36:43 ID:eEJrO9II
70.



                                           __ . -―-、____
                                        ア          `ヽ_
                                        //    / (/^     \
                                          | |  / /|     ヽ   \ 丶ヽ
                                          レ|l ∧\_l∧  , |ヽ _│  l l
                                       ∧ :|{/迄rトハ 、j斗泛ト/|  l |
                                      ノ :|ヽ| 戈ソ ノノ 弋ソ_ 彳 │ |
                                     /  リ j/// ' //// /  / 八
                                     / //  {   r~‐ '⌒ヽ u/  ∧  ヽ、 _
          「ももも申し訳ございません、       /  ./ /   \. `ー─ ---' /  / ヽ      \
              ぶしつけな真似を!」        (_  ヽ〈    ∨>,、_   -r<'  /   ヾ      }
                                       )  ハ    マ{ xヘ/ ̄/  {\__   }     /
                                     /  ん-ヘ   ヽ//⌒ヽ,/    ∨:::::} ノ   /
                                    /    {::::::::: 〉   ∧    /{.     \:::\   {
                                  /     }:::::/   /:::::\-/:::ヽ       \〈     ̄ `ヽ、
                                      {/     /::::=-:::Y::::-=ニヘ      \        ヽ



               / ̄ ̄\
            /   ⌒ ´ ⌒
  .         |    ( ●) (●)
            |     (___人__)
            .|        ノ    「そうか?
             j        |      でも俺が話したいから
           ..ノヽ、      |        テーブル席に移らないか」
           _,/(:::::ヽ、  __ ,_ ノ
   _, 、 -一 ''"::::::::::\ ::::::::::::::::::7、___   _______________
  /::::::::::::゙:':、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.../´ ヽ、,,,_____ノ
  ;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/   ヽ、 .} ̄)
 {;;;::::::::::::::::::::...v::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ'   、 ヽ_ノ  ̄
  ト:::ノ..:::::::::::::...:ヽ;;;;;:::::::::\::::::::::/(     r_ノ
  ヽ;;;;;;::::::::::::::::::....ヽ;;;;;;::::::::/⌒ヽ::::ヽ、y-ィ´|;;;;|
   ヽ;;;;;;;;::::::::::::::::丿ヽ;;;;/....:::::::;;;;;;;;;;::);;;:::::::|;;;;|



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  赤くなって俯いたできる夫と、思わず地がでたルイズを見て微笑んだ彼は
  向こうに移ろう、と酒場の奧を指さしたのだった。
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   ┌─────────────────────────────────────┐
   └─────────────────────────────────────┘
   ┌───────────────┐
   └───────────────┘
   ┌───┐
   └───┘

428 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:37:13 ID:eEJrO9II
71.
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
  給仕にグラスやコースターを移動してもらい、
  新しいおしぼりを受け取った後。

  信じられないぐらい柔らかい、ベルベッドのソファに身体を預けた四人のうち、
  気まずいような、照れくさいようなできる夫たちが言葉を探していると
  三人を順番に見つめた青年が切り出した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――



                                           , ノ  、ヽ
                          .                l(● ●)l
                      「三人とも冒険者だよな?」     | (_人_) |
                          .                 ヽ     ノ!
                                 (,⌒ ̄ ̄ ̄        ̄ ̄ ̄,⌒)
                         | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/      /  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄|
                         |: : : : : : : : : : : : : : : : : /      /:::: : : : : : : : : : : : : : : |:::::::::::::::::|
                         |: : : : : : : : : : : :-――'      /:::: : : : : : : : : : : : : : : : |::::::::::::::::::|
                         |: : : : : : : :/       ./⌒ヽ/:::::::: : : : : : : : : : : : : : : :|:::::::::::::::::::|
                       / ̄ ̄ ̄ ̄./   / ̄ ̄ ./  /: ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/:::::::::::::::::::|
                      ./:::::::::::::::::::::::::/   /:::::::::::::/  /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::|
                     〈:::::::::::::::::::::::::/   /:::::::::::::/  /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〈::::::::::::::::::::::::::::|



         ____
       /     \
      /  \  /  \
    /  (●)  (●)  \
     |      __´___     |   「は、はい。
    \     'ー一`   /     あなたも?」
      /             \

429 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:37:41 ID:eEJrO9II
72.



                                             / ̄ ̄\
                                           ⌒´ ヽ、,_  \
                                              (●)(●.)    |
                                           (_人___)    |
                        「ああ、冒険者だ。             '、       │
                                                }       {
                      そんなに緊張しないでくれ、.         !、______ .ィ-ート、
                      取って食おうなんて考えてないから.     V/:::::::::::::::::ヽ
                      のんびりしてくれて良いんだ」          {::::::::::::::::::::::::::::::.、
                                             /ー-:::::::::::::::::::::::::::::::,
                                     「r'、     /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
                                     } r'、 ヘ、 /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i
                                     i/ ム、} .{ i:::::::::::::::::::::::::V:::::::::::::::::::::: |
                                     { い、{  Y::::::::::::::::\::::V:::::::::::::::::::: |
                                     \  ヽ {|V.::::::::::::::: \V:::::::::::::::::: |
                                       \  ノ|:.V.::::::::::::::::::::::〉.:::::::::::::::::|



                  -‐ ―-  、
               /     ‐¬  `  、
              /.         l    .i
                ,'          .! .i    !
                ,'          ト,、!    ',
             И     i.      l  !. l、  !`
              l !    !,ィ. /l ト、!. '-‐N.リ
              レリ'ヘ、   !/'仁リィ  、 ̄ !、
           /´L.'lゞ、ヽ.∩、   , -‐'‐.つ:.`:.:....、..     「………どうして、俺たちの分まで注文を?」
            /:.:.:./l: :レ'リWN ヽ,>'´  -‐フ'!:.:.:.:.:.:.:.`:.:..、
        /:.:.:.:.:./:.:l´: : : ', !     '  /ノ-!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
      /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l: : :/ヘl      '  'イ、: :!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!
    γ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l': ´: : /ゝ、     イ :_; 」:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.l
.    !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:、:.:.:.:.',; r-</ ./.7'ァ_イ´ 「:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.〉
    l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\:.:.V:.:.:.:ヽ'_/././ 〉 .j:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:-<
    \:.:.i:.:.:.:.:._:.:.-‐>'、;;ヽ:.:.:.:.:. ̄',. ! /l_:.:.:-‐:/「:.´:.:.:.:.:l
     ヽ!:.:/:.:.:.:.:.:.:/:.:.:`´:.<`;;‐y':::ヽレ:::::l:.:.:.:.:.:.:.:.1:.:.:.:.:.:.:.:.:.l
      〈/:.:.:.:.:.:.:._/:.:.:.:\:.:.:.: ̄:7:::::::十:::::!:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ゝ
      ',:.:.:.:.:.:.:7:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/::::::::::::l:::::⊥:.:.:.:.:.,、:ゝ<`丶:.:.:/

430 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:38:11 ID:eEJrO9II
73.



                                               / ̄ ̄ \
                                         ⌒´ ヽ、,_  \
                                           (●).(● )    |
       「仕事狙いで高い酒場に入ったはいいけど、.         (__人___)     .|
.        まず注文を聞かれるとは                   '、` ⌒´      |
.        思っていなかったって顔をしていたから。.        -ーー|        ト、______
                                        / .::::::、::|       /:::ノ:::::::::.`' ー-
.        自信がついてこういう場所に行くようになると    l :::::::::::::::::ヽ__、____,. "/::::::::::::::::::::::::.. ヽ
.        最初はみんな驚くんだ、                   」 ::::::::l:::: ::::::「、:::::::::::::/ ::::::::::::::::::::::::::::::::.. '、
.        今までとまったく勝手が異なるから」.        l ::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::. '、
                                      / .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l::::::::::::::::::::::::|
                                  / .::::::ー-ミハ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::::::::|
                                     / .::::::::::::::::::::/ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::/ ||
                                   / .::::::::::::::::::::/  \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:|
                                   / .:::::::::::::::::::/'     `‐-、::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:|
                                  /::::::-‐…‐、/       i `ー-,:::::::::::::::::| :::::::::::::::: |::|
                                   l::::::::::::::::::::.. \       ヽ::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:::|



               ,. -‐==‐‐‐- 、__
          ,. : "´  _        `丶
     ` ー=≠                   ヽ.
        // , '  /        \     ,ハ
.        //   /  /   ;     ヽ        ',
      イ  / '  ∧   ||   、/_}_  ',  `   ,
      {  '  !  斗七メ 八    ∧ハ `メ、!   ',  l
      人/l | 八z≠ミx  ',  ノ斗≠ミx_|   |  ,
       八 |;j〃 fゞ_刈` )イ iト、,厶刈   ,' 八
          ヽNハゝ ∨匕!     └弌/ |   i   ' ,
         ノ ! 丶 ´     '       厶  人    丶     「まさしくその通りです………」
.       /  ', 八      __ _  u.  /  /  ',     ヽ
.     /  〃!   ト .          , '  /   丶     ',
     /    ノ´ }  八ヘ ト  _   イ〆  八     ' ,    ノ
   /        」    ∨',| r‐‐‐/   /:::::ゞ     \  /
  /      /丿    ',‐∨‐_/     厶-‐==l     ∨
 {      爪/     丿又/      /::::::::::::::::::::\   ',
.  \    //     /|/::八     /::::::::::::::::::::::::::/    /
   ヾ  〃    /::::::::::::::::::',    i::::::::::::::::::::::::::く    人



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  相手の洞察力に感嘆するよりも、自分達の状況を思い返したルイズがうなだれると、
  自分の予想通りだったことを確認した青年は
  まるでやっと本題に入れる、と言わんばかりに続ける。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

431 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:38:42 ID:eEJrO9II
74.



                                              / ̄ ̄ \
                                              _ノ  `⌒   \
                                              (●).(● )
                                             (__人___)    |
      「だが、水も頼めないというのは初めて聞いた。         , =二ニニヽ、   |
.       身ぐるみを剥がされたわけでもなさそうなのに、     /  二 ヽ、V   ト、_____
.       冒険者が一文無しなんてただ事じゃない。.       /   -、 }、j´   /:::ノ::::::::.`' ー- 、
                                           /   /{_/_、____,. "/::::::::::::::::::::::.. ヽ
.       ………いったい、どうしたんだ?」          _/___ ノ:::::「、::::::::::/ :::::::::::::::::::::::::::::::::.. '、
                                      _/ ::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::. '
                                     l :::::::::::::ヽ〈:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i :::::::::::::::::::|
                                     ,' .::::::::::::::::::}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::::::|
                                     ,' .::::::::::::::::::ハ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::/ ||
                                      ,' .:::::::::::::::::/::/ \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:|
                                   / .::::::::::::::::/:::/   `‐-、:::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:|



            ,. -‐===- 、
        ,. -‐' ´: : : : : : : : : : : : ` ヽ
      , ' : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
     /: : : : : : : : : : : : : : /: : : : : ヽ: : : : : \
     /´: : : : : : : : : : /:: : : i: : : : : : : ',: : : : : : :ヽ
    ,': : : : /: : : : ,':: :{: : : :∧: : : : : : : } : : : 、: : ハ
   l: : : : : i: : : ∨:: : : : : / ',: : : : : : ,': : : :: }: : : :i
   !:: :: : : |: : : : !: : /l : /  ヽ: : : : : !, 一' リ: : : :|
   ,′′ : |:: : : 丁`廾卜、_ 从: : 〆ノ }: ノ':: : i丿
   r´:: :: : :|: : : : ゝ,____、 ̄/: ノ,___ノ'i: ノ: jノ
 /:: : : : : ハ: : : : ',弋 ト孑リ´ ノ'´ 7孑ェハ`: :l
./ : : : : : ノ::∧:: : ::∧ ` ̄      ` ̄ ハ从
: : : : : : /: : : : ',: : : : ',       `   ,': : :i :\
: : : : :, ′: : : : l : : : : 丶        イ: : : :ヽ: : ヽ
: : : :/: : : : : : : | : : : : : : ト _ ⌒ ィ: : : ',: : : : ハ : : :` 、    「実は―――」
: : ::,' : : : : : : 〃:: : : : :: ハ≧= l`ー、: : : ∧: : : : : \ : : : ,               f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ
: : ::l: : : : : : : 八 : : : : : : : ト  ∧ /ヽ: : : :}: : : : : : : ',: : : i                 |  ルイズ!!   >
: : ::|: : : : : : : : / : : : : : : : :}  \r ⌒ヽ : : :`: : : : : : ヽ: ソ                乂_______ ノ
: : :ノ: : : : : : : : i : : : : : : : 丿   \  }: :: : |: : : : : : ノ



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
  わざわざ恥を晒す必要はありません、とのできる夫の鋭い制止に首を振った彼女は、
  つぶさに把握していた―――たぶん自分達が想像もつかないぐらい経験豊富な―――この人なら、
  相談できるのかもしれないと口を開いたのだった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

   ┌─────────────────────────────────────┐
   └─────────────────────────────────────┘
   ┌───────────────┐
   └───────────────┘
   ┌───┐
   └───┘

432 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:39:11 ID:eEJrO9II
75.
―――――――――――――――――――――――――――――――――
  それなりに長い説明を一度も真剣な表情を崩さずに聞いていた青年は
  以上です、というしめの言葉にうんうんと頷いて顎に手をやった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――



                                              / ̄ ̄ \
                                           /_,ノ  `ヽ、_\
                                             | ( ●) (● ) |
                                             |  (___人___)  .|
                     「なるほど。               |   ` ⌒ ´   |
                         それで金がない、と」.       |        ,. -'-、
                                             ',      j_ r=、`.、
                                         __ jハ. __ 、__ノ__,. -、 ` {
                                       _,. -= '''' ´ ..::ヽ:::::::::::::: ノ,. -   トー- 、 _
                                ノ´ ...::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i ャ    '!,:::::::::::..\
                                / ...::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'ヽ_〉   i,::::::::::::::::::..ヽ
                                   / .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::八  /`x--、:::::::: l
                                 / .::::::::::::::::./::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉::::/:::::::::::::::\:::: l



              /: : : /: : : :/: : : : :|: : /{: : : : : : : :.l: : : : : : : '.
            ′: : :{: : : :.|: :入 /{: : { |: : : : : :!:|: |: : : : : : : :}
          |: : : : :|: : : :.N: rチ≧ュx_,|: :ト : : :}ノ≦: : ハ: }: :/
          |: : : : :|: : : : |イ ト、__,小Vノ|: : : ィテヾ}: /: }/レ
          |: : : : :|: : : :.:|  V:zソ   ノ/ Kイ レ'};ノ
         ノ : : : /!: : : : :!  xxx     、 ゞ’ !l:.|
        /: : : :./: |: : : : :|          xxx 从{
       /: : : : :./: : :!: : : : :ヽ       r ァ   人: |       「あなたも冒険者だそうですが………
      /: : : : : :./: : :.∧: : : : : \       イ : : V:、      その、お一人なのですか?」
    / : : : : : : /: : : /:.∧: : : : :.∧> - イ:l : |: : : :ヽ:ヽ
  /: : : : : : : :/{:_:_,ィ三三}: : : : : :∧>、ムハ|┴ミx: : : : :\\
. /: : : : : : : :/イ三三≧ミ7: : : : : : : }/〉女 }三マム: : : : : :ハ: :ヽ
 {: : : : : : :.:/三三三三三}: : : : : : : トくイ ヘノ三三}: : : : : : :|: : :ハ
 ヽ; : : : : /三三三三三7: : : : : : :/三ミx‐/三イ歹ハ: : : : : :}: : : :.}
   }: : : :{≦三三ミ≧iⅣ: : : : : : /三三マ三7少三i}}: : : : /|: : : /
   ): : ;イ三三三三三/: : : : : : :/i三三三≦三三i7: : : : {/: :イ
 /: ;_タ三三三三三7: : : : : : :/三三三フ介≦三/: : : : : ∨:.∧
./: /三三三三三三{: : : : : :.:/三三≦彡イ|ミx≪{: : : : : : : V: : ヽ

433 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:39:49 ID:eEJrO9II
76.
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
  もし一人なら仲間に誘いたいな、というルイズの希望はものの一秒で打ち砕かれ、
  二日酔いなどできる夫と旅をするようになってから片手で数える程度しか記憶にないクラフトは
  内心彼の仲間をうらやんでしまう。
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                                               / ̄ ̄\ー-、 _r‐- 、
                                             __ノ ヽ、,_  \.   7;:::::::::\__
                                             (●)(● )    |  〃:::::::::::::::::::` ''‐-、_
                                             (__人___)    |‐≦イ::.::::::::::::::::::::::::::::::::::丶、
           「いや、昨日一仕事終わったんで騒いでね、     |` ⌒´     |  └‐-、__::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
               仲間はみんな二日酔いで寝てるんだ」       |        |       `ヽ.::::::::::::::::::::::::::}
                                              ヽ      .イ     __,. -<丶、.:::::::::::::::::/
                                             __「ヽー'ーー"/7一^V::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r´
                                       _, 、 -― ''":::\::: ̄ ̄:::::/::::::::::::.、::::::::::::::::::::::::::::::::::/
                                      /;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::./
                                     丿;;;:::::::::i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::_r'´
                                     i ;;;;;:::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i::::::_、-'゙´
                                    /;;;;;::::::::::::::::!::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!/



                   -‐-  、
                /       `  、
              /,       /   .\
               /   ./ ィ /   / ィ /7
               /ィ  ´7i'.l,  ,l l,⊂_ ‐-' <
               ィ彡  弋'l /´リ‐- リλ   ヽ
              ,ヘム_ィ イリ7.'   ´´l.リ`ヽ  ',
            __,/   ` <ヽ  __ , '´  .r'-‐¬    「むぅ………」
          /---‐――--.、ゝ\i.jイ    」-‐>ヽ
        /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./⌒ヽ. ´    /  ´   l
       /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ /´ `ヽ     ヽ.  , , .!     (二日酔いか。
     /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ /     ヽ     l` / / /!    ダンセニアを出た日以来ご無沙汰だな………)
     /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./  ./    _ __ヽ-、   !/. ,' l !
   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l _十''''''''""     \ <   ' l
   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.', l  ̄  ̄        ̄ヾ\   !
  ,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ.',―ー==―---        ヾ  j



――――――――――――――――――――――――――
  だが、誰も彼を責められないに違いない。

  もともと結構な酒好きであるのに
  パーティの財布を預かる身として率先して節制しており、
  ほんの僅かな自分の取り分から行っていたへそくりが
  今日までの生命線だったといっても過言では無いのだ。
――――――――――――――――――――――――――

434 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:40:14 ID:eEJrO9II
77.



                                            / ̄ ̄ \,-、_
                                         _,ノ ヽ、__ /  / ,〉、
                                        (●)(ー-/ ´/ /),
                                             (__人_,{  / ' ´ミ、
                                         '、`⌒ ´V __ <、
                                          |    〈´/::::::Λ
           「しかし、勇者というのも大変だな。.            |      ヤ::::::::::::::Λ
            自分から首を突っ込んだのならまだしも、.      `ュ`ー─ーV::::::::::::::Λ
            依頼まで報酬が要求できないとは」          /ム _ , ー ' V::::::::::::::Λ、
                                       _,. -/::::::::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::Vヘ
                                         /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::.∨}
                                   j :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::::レ;
                                        i :::r ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉、:::::::::::::::::::ノ
                                     i :::| ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`:::-==:::イ
                                      | :::| :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/



            ____
           /     \
          / \   / \
        /  (●)  (●)  \     「私に対する報酬は、
      |         ´      |      人々の感謝の言葉と笑顔ですから!」
      \      ⌒    /
    / ̄ ̄ヽ           \
   (「    `rノ          \
    ヽ   ノ              \
     |   |             「\   \

435 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:40:44 ID:eEJrO9II
78.
―――――――――――――――――――――――――――
  他人のために働いても金は要らないと断言するできる夫を、
  しかし、青年は笑わなかった。
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                                           / ̄ ̄\
                                         ⌒´ ヽ、,_  \
                                            (●)(●.)    |
                                         (_人___)    |
                      「そう言う考えは大好きだ。         '、       │
                                              }       {
                    ただ自分はそれでいい、            !、______ .ィ-ート、
                    満足できるだろうが………          V/:::::::::::::::::ヽ
                    仲間達はどうだろう?」             {::::::::::::::::::::::::::::::.、
                                           /ー-:::::::::::::::::::::::::::::::,
                                   「r'、     /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
                                   } r'、 ヘ、 /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i
                                   i/ ム、} .{ i:::::::::::::::::::::::::V:::::::::::::::::::::: |
                                   { い、{  Y::::::::::::::::\::::V:::::::::::::::::::: |
                                   \  ヽ {|V.::::::::::::::: \V:::::::::::::::::: |
                                     \  ノ|:.V.::::::::::::::::::::::〉.:::::::::::::::::|



          ____
        /     \
      / \   / \
     /   (●)  (●)  \
     |      __´___     |    「もちろん、クラフトとルイズも
    \      `ー'´    /     分かってくれています」

436 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:41:12 ID:eEJrO9II
79.



                                              / ̄ ̄ \
                                              _ノ  `⌒   \
                                              (●).(● )
                「分かっていなかったら              (__人___)    |
                   ついてきてはくれないだろうな。         , =二ニニヽ、   |
                                           /  二 ヽ、V   ト、_____
                   よほどの物好きでもない限り        /   -、 }、j´   /:::ノ::::::::.`' ー- 、
                   食べるのにも困る            /   /{_/_、____,. "/::::::::::::::::::::::.. ヽ
                   貧乏生活は望まないだろう」      _/___ ノ:::::「、::::::::::/ :::::::::::::::::::::::::::::::::.. '、
                                      _/ ::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::. '
                                     l :::::::::::::ヽ〈:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i :::::::::::::::::::|
                                     ,' .::::::::::::::::::}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::::::|
                                     ,' .::::::::::::::::::ハ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::/ ||
                                      ,' .:::::::::::::::::/::/ \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:|



       ____
     /      \
    /  _,ノ   \ \
  /    (●)  (●) \     「それは―――そうなのですが。
  |        '      |      お金を求めて
  \      ⌒   /       見苦しいまねはしたくないのです」



―――――――――――――――――――――
  今度は、ちょっと弱気が感じられる声だった。

  俯いたできる夫の代わりに青年が見れば、
  二人は黙ったまま会話に聞き入っている。
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437 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:41:44 ID:eEJrO9II
80.



                                                / ̄ ̄ \
                                              /_,ノ  `⌒ \
. 「確かに、金に目の色を変えるのは          -、          | (● ). (● )  |
  見苦しいかもしれない。                ヤ  ',           | .(___人___)   |
                               i.  l     ,.-、   |   ` ⌒ ´   |
  じゃあ、今の状況はどうだろう?.            ',  j   / /     .|         |
  勇者の称号か、自分の理念か、          ノ_..ヽ-、′,'       ',      ,/'|、
  その両方かにがんじがらめになってしまい、   l .___ ヽノ    __ .j '.、__ , ___ ィ/::L_
  食うにも困って身分を隠すはめになった.      Y     )ハ.‐ ' ´ ..::ヽ::::::::::::::::::::::::::/:::::::...`' ー- 、 _
  今は見苦しくないのだろうか?」           ト.  ̄ ̄ 〕y::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: _ ,,... -‐ '' "´゙
                               ハヽ 一ニイ:::::::::::: _ ,,... -‐ '' "´゙
                              / . _ ,,... -‐ '' "
                        _ ,,... -‐ '' "´
               ._ ,,... -‐ '' "´丶: : : : : : : : : :\
      _ ,,... -‐ '' "´゙/: :/: : {: : : : : : ハ: :: :∧: :: : : : : :
.        /: : :/ : : : 斗七ト、:人 : : : : : : 从 斗匕: : : : : : :
       {: : : i : : : : : !/z≠ミx、一': :: :: :/}八 ノ : : : : }: : }
.      : : :: :|: :: : : :〃 .r‐ ヾ ソ ノ: :〃≠ミx、}: :: :: :ノ: i |
      i : : : | : : : : :从 圦,ィ `ノ'´}::ノ 圦,ィ 从: : : :ノル'レ
       | : : : |: : : : : {  ∨ソ   ノイ  匕リ 丿: : 丿}ノ
       | : : : !: : : : ハヽ       丶    厶イ:: :ヽ\     (言っちゃった!!!)
     ,': : : :{: : : : : : :!                |: : : : :ヘ: :\ヽ  __
      /: :/ : |: : : : : :ハ U  ,. -‐ ‐-~     ノ : : : : : ト、: :ヽ: : : : : ハ
.     : :ノ:: :∧: :: :: : : :ト              イ: / : : : : ノ//仆.: : : : : : : :
   〃: :: : :/ヽ: : : : : :} >       イ//ノノ: :: :: : :八////≧=-trf千}
  /: : : /: : :∧: : : : : V〈 ヽ t≧= ´///У: : : : : /////////∠⌒ゝ‐-
 /: : : :/: : : :: :斗: : : : : :}∧У∨///// : : : : //////////__ ノ
./: :: :〃 : : : : 爪/}: : : : : :}ヽ☆ノ////: : : : ://///////イ ̄
′: :/ : : : : ,仆//ノ: : : : : :ノ//`¨/// : : : : /j/////x≦´        メ
: : : :i: : : : ://///r‐‐⌒ヽ,//////{: : : : : :/´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `  `ー ― 一'
: : : :|: : : ://⊂二二二 \ `ヽ//从: : : :∠ヽ=ミ
: : :jノ: : ://⊂二二二二   、 `ヽ 一λ   \
: :ノ : : /// `ー―――- 、  ',     }     ∧    ___ ,. -‐=='
): :爪/γ: : : : : : :乂゙`ー ┐  ヽ   __」     :i      x≦三///////
: :////{: : : : : : : : : :|////≧=-rf/∧ |     .入  , ィ升///////////

438 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:42:11 ID:eEJrO9II
81.
―――――――――――――――――――――――――――――
  その言葉に、はっと顔を上げたできる夫は両側の仲間を見た。
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       ,. -―- 、
      /        \
    /  -‐    ‐-  \
   i  ::(◯)ililili(◯)::: ヽ
   {       `      }     「ク……クラフト??」
    ゝ   `‐‐--   ノ
     >ー       ゝ、
   /´             ヽ
   l    i          l  i
.  l    l        .l  .i
  l    l         l  .i



                                       _r'´  ̄   ̄``‐- 、
                                        /  l           \
                                        /  /!   l         ヽ
                                    /ィ /,' /レ」/! /  l       ',
                                    /ィ〈./' ' `l'.レ/.  l  l ,     ',
                                     ´ / 、""´ /ィ /ル /レl /    l`
                                       <      ´ .イ'//リ_ハ!    ヽ
                                     `       l/r<    /レ'` `
               「………すまん。              ヽ ̄`    ./  l   ./
                   本来なら俺が言うべきだった」....   ,'i i i , , __,ノ,  .'レ、 /
                                         ゝ-==´ ,-'‐――'‐'┐
                                        /'/」  ,. .、-‐┬ヽ、
                                       ∠_ >ニ/ヽ: : :ヽ_: '-‐<
                                       // ̄:ヽ;/´ ̄:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
                                     //`丶/´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
                                    /./_: :/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l
                                   /./: : :/:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l
                                   ゝフ`:'´:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.l

439 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:42:44 ID:eEJrO9II
82.
――――――――――――――――――――――――――――――
  己の不甲斐なさから、
  うつろな視線をまともに見返せないクラフトは顔を背けたまま頷き、
  縋るような表情に胸が痛むルイズもいまは正直に答える。
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                                         ,..¨ ̄ ̄¨丶
                                            /          \
                                        / ー :::::::::      ヽ,
                                         /( ○)::::::::::::`ー
                                           i     ::::: ( ○)    |
                                       \  ´          /
                                 「ルイズ?」.      \ ー    __/
                                          /        \



                <´ ̄ ̄  ‐-
            /         `i  ¨> 、
           /         :i   !  ヽ ヽ
           /   /   /  :|  /  ヽ ヽ ',
          /    /  :/   i  /  i  ',  i i
          /    ,' ー-/、  /j:  |  ∧ |  l: l
         ,'     i  /ン`゙ー V | 7''ーl‐l'"  l l
         /      | ./示≧ミ/ ヽ,!/,,.ムr i  /l l    「その、言いづらいけれど………
       /      .|/ ヾニシ     frシ/ / /: リ
        /     ヘ  `t-ヘ :::::::  、  ::::u /_|/ /:ハ.     ご飯も満足に食べられない人が
       ,'      \ \ \, -、-‐  _ ィ /  ∧  ヘ     他人を助けたいって言っても、
       |      } ヽ  ',/ <ヽ_i`i´| \/  /  ',  \.. まず自分を助けてあげてって思われるんじゃないかしら」
      乂    ,xf<ヽ/ ァ-、゙i::::/つ: :/  ,'>ー、_   ヽ
        )   f;.;.;;: : :/トヽヽ,.-' イ V::.(   (:.:.::.:.:.:.:`ヘ    )
       /   i:.:.:.:.V`ヽ、`´,イ 'ヘ/::.:.:ヽ  ヽ:.:.:.:.:.:.:>`-、/
       / ,'  j:.:.,ィ': : : : : :∧) . /:/ /:.:',   ', r'"    \
      / /  /V  `ヽ=-i / /: { / /  )  )Y       \

440 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:43:14 ID:eEJrO9II
83.



           ____
         /   ∪  \
       γ⌒) ノ三三三ゞ(⌒ヽ
      / _ノ (>)三(<) \ `、....  「た…確かに見苦しいのかも知れません………
     (  <:::∪::::  __',__::::∪|  ).    いえ、見苦しい、の…でしょう……
      \ ヽ ::∪:: `ー'´∪:://
                         ですが…どうすれば良いのか、
                         私には、分からないのです………」



               ,. : : :  ̄ : : : : .
         ,. : ´: : : : : : : : : : : : `_: .、
        /: : : : : : : : : : : : : : : : : :\\
      .: : : : : : : : : : : :|: : : :、: : : : ヽ: :ヽ:ヽ
      .':/: : /,: : /: /: 八:{: : : V: : : |:V: : V:.
      |:l{: : :|:|: /: /:,.イ: : \: : |: }、: ,: |: : :.|: :
      {八 : |:{: |ー|/-从: : : : /}/-l/‐:|: : :.|: |
       从{人{イ雫ぅ ヽ: ノ,ィぅ雫ミ、|: : :.|: {
        ハ : 、 Vり  ´  Vり V: : : |: : 、
        {: |: : .       '     /: : : :.|: : : \     「できる夫………」
       / : |: :人     _    ,: : : : : |: : : : : :ヽ
      /: : :.| : : 个: .        イ: : : : : :|: \: : : : :.
     /: : : : /: : : :八r ┴ `´-┴ , : : : : : :|: : : ヽ: : : :}
   /: : : : : :/: : : :///  / Y\  人: : : : : {、: : : :|: : : ,
    {: : : :,.ィ/: : : ://∧//⌒V}//∧: : : : ∨\: : : :/
    |: : ://,: : : : :{/// \{==//////}: : : : : ∨∧: : {
   }: : {/∧ : : : ∨////∨'///////|: : : : : : }/ ∧: :\
   /: : :|//∧: : : :∨////////////ノ: : : : : :,ハ//∧ : : \



―――――――――――――――――――――――――――――――――――
  できる夫には、なぜ青年がこうも自分の心を刺激するのかが分からなかった。

  もしも逆の立場だったとしても、
  自分達の状況をここまで的確に、正確に読み取れるとは思えない。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

441 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:43:41 ID:eEJrO9II
84.



                                             / ̄ ̄ \
                                          _,ノ ヽ、,__   \
                                          (●)(● )    |
                                            (_人___)    .|
     「たとえ勇者だとしても、                        '、       │
        冒険者という前提がある以上、                        、      イ
        依頼に対する正当な報酬を望むことは                  ゙、 ___,. イ i
        間違いではないのでは?                        ,r... __>ーメ.┴ュ
                                            _,. ,i´::::::::::::::::::::::_::::::>、__
        勇者だって人間だ、                         ,.<::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::>-.、、
        食べなきゃ生きていけないんだし            「::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::.`、
        正当な金額なら相手も文句は言わないだろう」.   /.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.}
                                        / y::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}
                                     /:::::.i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ/:::.:::::::::::::::::::::j
                                       ノ.::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ィ



       ____
     /      \
    /  _,ノ   \ \
  /    (●)  (●) \    「し、しかし。
  |   u    __'__    |    勇者は報酬を望まないと言うのが
  \      L::::ノ  /      通説になってしまって……」



―――――――――――――――――――――――――
  それは彼の行いによるものか。
  あるいは、人の良い彼を利用しようとする者の思惑か。

  ただできる夫に言えるのは、
  自分は間違っていなかったと言う信念のみだ。
―――――――――――――――――――――――――

442 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:44:12 ID:eEJrO9II
85.



                                            / ̄ ̄ \
                                           ⌒  `⌒  \     v-,
                                              ( ●) ( ●)   |     | r
   「お金だって君の力の一つなんだ。                 (__人___)     |      | |
.    得たお金を有効活用すれば、                      '、        |     | |,.-、
.    さらに多くの人を助けられるようになるかも知れない。...... ,,. -ー|         |ヽ__/ ̄ヽ` r´
                                           / .::::::、::|       /ィ::::〔 ̄ ̄ `' ト-、
.    勇者に助けられた人は                     l :::::::::::::::::ヽ__、____,. ":::/::::〔 ̄   l:::. ヽ
.    報酬を支払っているのではない、               」 ::::::::l:::: ::::::「二二::::/ :::::::ヽ y   l::::::. ',
.    次に助けが必要な人達のために             l :::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l    l:::::::: i
.    投資しているんだ、と言う考え方はどうだろう」      / ::::::ー-ミ、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ_/:: L::::|
                                        / :::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::く::::::::::::::::::|::|
                                       / ::::::::::::::::::::/ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::「 ::::::::::::::::::||
                                      / :::::::::::::::::::/  \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::V ::::::::::::::: |



         /                 `゙'''ー-,
        /                      /,_
      /                        l .|
    /                             l  !
__, ''´_                    /   ,  l .l
゙ ̄ ̄/             ,    ,  /! i、   .i ,' ,|
   / ィ            , !    l  ,ト!l-! /リ!.,' .,'リ
   l/ l         , /l. l    ハ /_,l云 .「/lハ/
     l         ,イ ∧И    ,' .∨ `.|h!ヾ.',
     !/l     /Vイ、ヽ, !,  ィ/      ¨-  '、
...   ′ l      .ヽ ` !l,  /′        ヽ
       !,,ィ  ,    /‐-、 `', .!         /
...  _,/`'‐-<!_ /ヽ〈  , !  ヾ.           /- 、
  /:/`丶 、  `丶ヾ、 ,代        -‐_,'.、 ヽ,   (そう、金も力なんだよ、できる夫。
_":/ : : : :/: :`丶,、   \ ` 、      T、,斗―='‐、.   剣や魔法と同じで使い方しだいなんだ。
....二_: :/: : : : : /: :`丶  \  .>'''"´ ̄ ̄´   _,ノ
゙:.:.:.:.:.:.`--、: :/ : : : : : : \  ト、-'       , -‐''"/    俺は、その為についてきたはずだったのに―――)
゙:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ー- 、: : : : /: \', ゝ      ´  _,ノ
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`‐-〈: : : : :`-<|      , '"
. :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ー-'、 : : >、  , .'´
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443 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:44:44 ID:eEJrO9II
86.



: : : : : : : : :: :::: :: :: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
     : : : :: : : :: : ::: :: : :::: :: ::: ::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
.        : : :: :: ::: :::::: :::::::::::: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
          ___ . . .: : : ::: : :: ::::::::: :::::::::::::::::::::::
         /     \ . . .: : : ::: : :: ::::::::: :::::::::::::::::::
       / ,⊆ニ_ヽ、 ヽ . . .: : : :::::: ::::::::::::::::::::::::::
       |/ r─--⊃、 lー、   「ですが勇者は………」
      イ  _`二ニニう V │. .:: :.: ::: . :::::::::::::::::::::::
     /  /    ヽ    │ . :. :. .:: : :: :: :::::::: : :::
    │  /      丶   │ . :. :. .:: : :: :: :::::::: : :::
 ̄ ̄ ̄l_,ノ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄ ̄ ̄



                                           / ̄ ̄ \
                                              _,ノ ヽ、,__   \
                                        (●)(● )    |
                                          (_人___)    .|
                                           '、       │
                           「……………」       、      イ
                                           ゙、 ___,. イ i
                                          ,r... __>ーメ.┴ュ
                                          _,. ,i´::::::::::::::::::::::_::::::>、__
                                     ,.<::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::>-.、、
                                       「::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::.`、
                                   /.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.}
                                      / y::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}
                                   /:::::.i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ/:::.:::::::::::::::::::::j
                                     ノ.::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ィ

444 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:45:21 ID:eEJrO9II
87.



                                           / ̄ ̄ \
                                           ⌒´ ヽ、,_  \
                                             (●).(● )    |
                                              (__人___)     .|
                                              '、` ⌒´      |
             「できる夫、だったか。                     -ーー|        ト、______
           君は勇者の称号がそんなに大切か?...   / .::::::、::|       /:::ノ:::::::::.`' ー-
                                         l :::::::::::::::::ヽ__、____,. "/::::::::::::::::::::::::.. ヽ
           その称号を得るために               」 ::::::::l:::: ::::::「、:::::::::::::/ ::::::::::::::::::::::::::::::::.. '、
           冒険者になったのか?」.             l ::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::. '、
                                        / .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l::::::::::::::::::::::::|
                                    / .::::::ー-ミハ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::::::::|
                                       / .::::::::::::::::::::/ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::/ ||
                                     / .::::::::::::::::::::/  \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:|
                                     / .:::::::::::::::::::/'     `‐-、::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:|
                                    /::::::-‐…‐、/       i `ー-,:::::::::::::::::| :::::::::::::::: |::|
                                     l::::::::::::::::::::.. \       ヽ::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:::|



          ____
        /     \
      / ―   ― \
     /   (○)  (○)   \
     |       '      |    「え………えっ?」
    \     冖     /



―――――――――――――――――――――――――――――
  思いもよらない問いかけに、できる夫は戸惑い硬直した。

  冒険者であれば称号を得るということがどれだけ名誉なことで、
  どれほど多くの者が望んでいるかを知っているはずなのだ。

  クラフトとルイズもまた、想像だにしなかった質問と
  即答しなかったできる夫に、驚きの視線を向けている。
―――――――――――――――――――――――――――――

445 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:45:47 ID:eEJrO9II
88.



                                              / ̄ ̄ \
                                           /_,ノ  `ヽ、_\
                                             | ( ●) (● ) |
                                             |  (___人___)  .|
                                           |   ` ⌒ ´   |
             「あくまで俺個人の意見だが、           |        ,. -'-、
                  君は二つ大きな勘違いをしていると思う」..   ',      j_ r=、`.、
                                         __ jハ. __ 、__ノ__,. -、 ` {
                                       _,. -= '''' ´ ..::ヽ:::::::::::::: ノ,. -   トー- 、 _
                                      ノ´ ...::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i ャ    '!,:::::::::::..\
                                / ...::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'ヽ_〉   i,::::::::::::::::::..ヽ
                                   / .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::八  /`x--、:::::::: l
                                 / .::::::::::::::::./::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉::::/:::::::::::::::\:::: l



         ____
       /     \
     / \   / \
    /   (○)  (○)   \
   |      __´___     |    「是非!!
   \      |il!|!il|    /       是非聞かせてください!!!」
   /       ̄ ̄    \



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
  普段、よほどの事がない限り仲間の意見ですら
  なかなか受け入れられないできる夫が、心から助言を求めた。

  青年が何者なのかは分からないが、
  人となりからこれからの自分を形作る何かが学べると直感したのか。
  あるいは、彼らにしか分からない不思議な共感―――共鳴があったのかも知れない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

446 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:46:14 ID:eEJrO9II
89.



                                              / ̄ ̄ \
                                            /_,ノ  `⌒ \
.    「まず一つ。                        -、          | (● ). (● )  |
.    君は仲間と自分を同じと考えている。   ヤ  ',           | .(___人___)   |
                                   i.  l     ,.-、   |   ` ⌒ ´   |
.    それは正しくもあり、間違いでもある」     ',  j   / /     .|         |
                              ノ_..ヽ-、′,'       ',      ,/'|、
                               l .___ ヽノ    __ .j '.、__ , ___ ィ/::L_
                                 Y     )ハ.‐ ' ´ ..::ヽ::::::::::::::::::::::::::/:::::::...`' ー- 、 _
                                   ト.  ̄ ̄ 〕y::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..\
                             ハヽ 一ニイ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: r;;;;;:::::::: ',
                            /...::::::;;;;;;;;;;; /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ;;;;;::::::::::::::〉



           ____
         /     \
       /        \
      /  \    /  \
      |   (●)   (●)   |
     \     ´     /    「………それは?」
     /     ̄ ̄    \

447 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:46:44 ID:eEJrO9II
90.



                                             / ̄ ̄ \
                                          _,ノ ヽ、,__   \
.    「君たちが単純な利害関係ではないのなら。               (●)(● )    |
     君に共感するところがあったから、                 (_人___)    .|
     君に何かを見つけることができたから                    '、       │
     二人はついてきてくれるんだ。                     、      イ
                                             ゙、 ___,. イ i
     けれど仲間は決して自分ではない。                  ,r... __>ーメ.┴ュ
     価値観だって異なれば信じるものだって違うかも知れない、...._,. ,i´::::::::::::::::::::::_::::::>、__
     時には意見が食い違うことだってあるだろう。          ,.<::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::>-.、、
                                         「::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::.`、
     必ずしも、君と同じ目的で共に歩んでくれているとは  /.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.}
     思わないことだ」                        / y::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}
                                     /:::::.i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ/:::.:::::::::::::::::::::j
                                       ノ.::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ィ



       ____
     /      \
    /  _,ノ   \ \
  /    (●)  (●) \
  |        '      |   「どういう、事でしょうか」
  \      ⌒   /

448 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:47:12 ID:eEJrO9II
91.
――――――――――――――――――――――――――――――――
  短絡的に答えを得ようとするできる夫を手で制し、青年は続け―――
――――――――――――――――――――――――――――――――



                                               / ̄ ̄ \
                                            ⌒´ ヽ、,_  \
                                           (●).(● )    |
                                           (__人___)     .|
          「君は困っている人を助けたいと思って.           '、           |
        旅をしているんだったな。                     |        |
                                           ,. -ー._i-、_     /l、
        ならば、一番身近にいて困っている人を.    /...::::::{. i_ {_γ、__ ∠ノ::.}- 、_
        なぜ助けないんだ?」                  /:::::r/::::{. i_ l_ i_ {::::::::::::/::::::::::::::::..\
                                        /.:::::::::::::::} .i _i l_ {:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..ヽ
                                     /.:::::::::ノ::::::r "~'ヽj_ {:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. ',
                                    /.:::::::::::>ー、j.‐-  / {::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: }
                                   /.::::::::::::::トヽ、⌒ γ  i::::::::::::::::::::::::,':::::::::::::::::::: i
                                  /.::::::::::::::::::l::::::::ゝ、 {   ソヽ、:::::::::::::::} :::::::::::::::::: i
                                 /.::::::::::::::::::::::l:::::::::::::`ト、__/::/:::.\::::::::::::i :::::::::::::::::: i
                             /`-::::::::::::::::::/l::::::::::::::::::`,ー::::::::::::::::::::..ヽ::::::i ::::::::::::::::: i
                                / .::::::::::::::::::::/ l::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::..、::::::::::::::::::::: i



         ____     l_
       /   u \    /
      /   \   /\   >
    / U (○)  (○) \ \
    |    u  __´,_  U |
     \u    /__/   /    「ッ!?」



―――――――――――――――――――――
  その言葉が、ただ前だけを見続けて
  隣や後ろを顧みなかった少年に突き刺さる。
―――――――――――――――――――――

449 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:47:41 ID:eEJrO9II
92.



                                           / ̄ ̄ \
                                           ⌒´ ヽ、,_  \
                                             (●).(● )    |
                                              (__人___)     .|
                                              '、` ⌒´      |
      「気心の知れた仲間をぞんざいに扱う者が、.         -ーー|        ト、______
.       赤の他人を助けることができるのだろうか?」    / .::::::、::|       /:::ノ:::::::::.`' ー-
                                         l :::::::::::::::::ヽ__、____,. "/::::::::::::::::::::::::.. ヽ
                                         」 ::::::::l:::: ::::::「、:::::::::::::/ ::::::::::::::::::::::::::::::::.. '、
                                        l ::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::. '、
                                        / .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l::::::::::::::::::::::::|
                                    / .::::::ー-ミハ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::::::::|
                                       / .::::::::::::::::::::/ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::/ ||
                                     / .::::::::::::::::::::/  \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:|
                                     / .:::::::::::::::::::/'     `‐-、::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:|
                                    /::::::-‐…‐、/       i `ー-,:::::::::::::::::| :::::::::::::::: |::|
                                     l::::::::::::::::::::.. \       ヽ::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:::|



       ____
     /      \
    /  _,ノ   \ \
  /    (●)  (●) \
  |   u    __'__     |   「助けてきた、
  \      L::::ノ  /    そう思い―――ます」



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
  そう思いたいです、とこぼれそうになったできる夫は何とか言い直していた。

  助けてきた人達の笑顔、自分達のこれからの安全を祈ってくれた人達の気持ちに
  偽りはなかったと信じているから。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

450 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:48:14 ID:eEJrO9II
93.



                                  ____
                                 ´ ー――一 `
                               /         ヘ
                                |.....................................|.      f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ
                                {:::::::::::::::::::::::::::::::::::::}.      |  ……………。   .|
                                八:::::::::::::::::::::::::::::::::/       乂________ ノ
                                ' ;:::::::::::::::::::::::::; ′
                                  ヽ::::::::::::::::/
                              /⌒ヽ}{厂}
`゛¨ '' ‐- ...,, _                       厂\   } ノ
         `゛¨ '' ‐- ...,, _.         _厂ヽ  し´|! !
        /: : : : : : : : : : : :...`゛¨ '' ‐- ...,, _   r- | 八 }
.      : : : : : : : : : : : :|: : : :、: : : : ヽ: :ヽ:ヽ.. `゛¨ '' ‐- ...,, _
.      ':/: : /,: : /: /: 八:{: : : V: : : |:V: : V:               `゛¨ '' ‐- ...,, _
      |:l{: : :|:|: /: /:,.イ: : \: : |: }、: ,: |: : :.|: :                        `゛¨ '' ‐- ...,, _
      {八 : |:{: |ー|/-从: : : : /}/-l/‐:|: : :.|: |
       从{人{イ雫ぅ ヽ: ノ,ィぅ雫ミ、|: : :.|: {
        ハ : 、 Vり  ´  Vり V: : : |: : 、
        {: |: : .       '     /: : : :.|: : : \    「?」
       / : |: :人     _    ,: : : : : |: : : : : :ヽ
      /: : :.| : : 个: .        イ: : : : : :|: \: : : : :
     /: : : : /: : : :八r ┴ `´-┴ , : : : : : :|: : : ヽ: : : :}
   /: : : : : :/: : : :///  / Y\  人: : : : : {、: : : :|: : : ,
    {: : : :,.ィ/: : : ://∧//⌒V}//∧: : : : ∨\: : : :/
    |: : ://,: : : : :{/// \{==//////}: : : : : ∨∧: : {
   }: : {/∧ : : : ∨////∨'///////|: : : : : : }/ ∧: :\
   /: : :|//∧: : : :∨////////////ノ: : : : : :,ハ//∧ : : \



―――――――――――――――――――――――――
  彼の隣の、ルイズをちらりと見た青年は
  幸運だったな、という言葉を飲み物で胃に流し込む。
―――――――――――――――――――――――――

451 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:48:56 ID:eEJrO9II
94.



                                               / ̄ ̄\
                                            /      \
                                              |ノ  ヽ、_   .|
                                              (●)(● ) .   |
                                            |(_人__)    .|
            「今まではどうにかなってきたんだろう。       | ⌒ ´      |
                                               ヽ        ./レ、
               だが、もっと大きな壁にぶつかった時。.         >__、____, "/::::) 、__
               このままでは君たちを繋ぐ絆が.          ,. -ーー「二二二 :::::/:::ノ:::::::::..ヽ
               切れてしまうかも知れない」          /::_,,. -‐、 .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.∧
                                    r'/,. -‐  \ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.∧
                                      !/ ノ -‐    V::::::::::::::::::::::::,′:::::::::::::::: j
                                        i!ノI_ノく__ヽ   `7ヽ::::::::::::::::l:::::::::::::::::::: /
                                        |:::::::::l::::::::::::へ___/::::/::::ヽ、/:::::::::::::::::: /
                                   /::::::::::l::::::::::::::::ヽー:::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::: /
                                     /:::::::::::::l:::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /



        . ─―─‐ 、
       , "          \
     /           \
 .    /        _/::::::\_ヽ
     |            :::::::::::::: :..
     |  u    ( ー):::::::::( ー)
 .    \             ´   /   「言葉も、ありません……」
      ,\        ` ー‐‐/
     /  ` ー─         \



――――――――――――――――――――――――――――――
  グラスをテーブルに置いた青年の視線と、声に感じられる重み。
  そのことを経験しているからこそ伝わってくる真実味に
  できる夫はそう答えるしかなかった。

  基本脳天気で空気の読めない彼にも、
  自分の知らない悲しみや苦しみ、傷ににた何かが見てとれたのだ。
――――――――――――――――――――――――――――――

452 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:49:12 ID:eEJrO9II
95.



                                            / ̄ ̄\
                                             , __ノ ヽ、,_  \
                                       /(一)(ー )    .|
..   「遠くの他人よりも、                           /   (__人___)     |
     まず近くの仲間を見つめるんだ。             /`ヽ、  _|` ⌒´    |
     本当に大切なものを見失わないために。..     /:::::::::::\r´|        |
                                       /::::::::::::::::::::> ヽ        イ
     自分の届く範囲を護れるようになってから、....  /::::::::::::::::/-__「ヽー'ーー"/7一 -..、
     少しずつ手を広げていけば十分だろう」.      /::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.、::ヽ
                                     /:::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ヽ:::::、
                                 /:::::::::::::::::::iヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:::::|
                                    ':::::::::::::::::::::l:::::::、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:::::|
                                    \::::::::::::::/::::_,,-ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!::: |
                                   ヽ∠-''" ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::::|
                                         `:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:::::!
                                         !:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::::!



                  -‐ ―-  、
               /     ‐¬  `  、
              /.         l    .i
                ,'          .! .i    !
.             ,'          ト,、!    ',
             И     i.      l  !. l、  !`
              l !    !,ィ. /l ト、!. '-‐N.リ
              レリ'ヘ、   !/'仁リィ  、 ̄ !、            (これはできる夫に
           /´L.'lゞ、ヽ.∩、   , -‐'‐.つ:.`:.:....、.     言い聞かせている、と言うより―――
.         /:.:.:./l: :レ'リWN ヽ,>'´  -‐フ'!:.:.:.:.:.:.:.`:.:..、
        /:.:.:.:.:./:.:l´: : : ', !     '  /ノ-!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ...  自分を戒めている、のか?)
...   /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l: : :/ヘl      '  'イ、: :!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!
... γ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l': ´: : /ゝ、     イ :_; 」:.:.:.:.:.:.:..:.:.:.:.l
.... !:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:、:.:.:.:.',; r-</ ./.7'ァ_イ´ 「:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.〉
... l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\:.:.V:.:.:.:ヽ'_/././ 〉 .j:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:-<
... \:.:.i:.:.:.:.:._:.:.-‐>'、;;ヽ:.:.:.:.:. ̄',. ! /l_:.:.:-‐:/「:.´:.:.:.:.:l
.....  ヽ!:.:/:.:.:.:.:.:.:/:.:.:`´:.<`;;‐y':::ヽレ:::::l:.:.:.:.:.:.:.:.1:.:.:.:.:.:.:.:.:.l
...   〈/:.:.:.:.:.:.:._/:.:.:.:\:.:.:.: ̄:7:::::::十:::::!:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ゝ
      ',:.:.:.:.:.:.:7:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/::::::::::::l:::::⊥:.:.:.:.:.,、:ゝ<`丶:.:.:/

453 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:49:44 ID:eEJrO9II
96.



                                           /  ̄ ̄\
                                              _ノ  ヽ、_   \
                                             (⌒)(⌒ )    |
                                             (__人___)     │
                      「それからもう一つ。                 '、'ーー´   'J |
                                              |        |
                    勇者と讃えられるのは           ヽ 、     イ
                    そんなに気分がいいものか?」.       ィヽ-ー ≦ノ7
                                        _, 、- ― '´ヘ:::::::::::::::::::::::::ト、__
                                      /..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.... 、
                                     丿;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..ヽ、
                                     / ;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'、:::: !
                                     /;;;;;:::::::::::::: !::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i:::::: |
                                   / ;;;;;:::::::::::::: /;;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:::::: |



         ____
       /    \
.    /   ノ '  ヽ\
.  / /)(ー) (ー) \
  | / .イ    '       |
  ∨,'才.ミ).  -‐‐-  /   「……………」
.   | ≧シ'        \
 /\ ヽ          ヽ



――――――――――――――――――――
  三人は夢にも思わなかったが、
  『英雄』の称号を得ている青年の問いに
  できる夫は最後まで答えられなかった。
――――――――――――――――――――

454 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:50:16 ID:eEJrO9II
97.



                                              / ̄ ̄ \
                                              _ノ  `⌒   \
                                              (●).(● )
.   「名声や称号があるからこそ                         (__人___)    |
    信頼を得やすかったり                          , =二ニニヽ、   |
    できることがある、それは否定しない。                 /  二 ヽ、V   ト、_____
                                         /   -、 }、j´   /:::ノ::::::::.`' ー- 、
    期待に応えようとすることは悪くない、            /   /{_/_、____,. "/::::::::::::::::::::::.. ヽ
    けれどそれを失うことを恐れてばかりいると       _/___ ノ:::::「、::::::::::/ :::::::::::::::::::::::::::::::::.. '、
    なにかあった時に身動きが                 _/ ::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::. '
    取りづらくないか?                     l :::::::::::::ヽ〈:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i :::::::::::::::::::|
                                     ,' .::::::::::::::::::}::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::::::|
    立場に縛られることで                      ,' .::::::::::::::::::ハ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::/ ||
    逆にできることが少なくなっていないだろうか」......,' .:::::::::::::::::/::/ \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:|
                                   / .::::::::::::::::/:::/   `‐-、:::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:|
                                     { :::::::::::::::::::/::/     i `ー-,::::::::::::::::| :::::::::::::::: |::|
                                  l ::::::::::::::::::.. ∧_     ヽ:::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::: |:::i
                                  〉、:::::::::::::/ \_`‐- 、___l :::::::::::::::::::::::::| :/:::::::: ∧::}



          ____
        /     \
      / ⌒   ⌒ \
     / u (=)  (=)  \
    |      __´___      |   (今、まさに状況………)
    \     `ー'´     /

455 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:50:41 ID:eEJrO9II
98.



                                           / ̄ ̄\
                                         ⌒´ ヽ、,_  \
                                            (●)(●.)    |
                                         (_人___)    |
                                            '、       │
                     「たとえ勇者と讃えられなくても、.       }       {
                   自分のやりたい事は                 !、______ .ィ-ート、
                   自分で決めれば良いじゃないか」.        V/:::::::::::::::::ヽ
                                                {::::::::::::::::::::::::::::::.、
                                           /ー-:::::::::::::::::::::::::::::::,
                                   「r'、     /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
                                   } r'、 ヘ、 /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i
                                   i/ ム、} .{ i:::::::::::::::::::::::::V:::::::::::::::::::::: |
                                   { い、{  Y::::::::::::::::\::::V:::::::::::::::::::: |
                                   \  ヽ {|V.::::::::::::::: \V:::::::::::::::::: |
                                     \  ノ|:.V.::::::::::::::::::::::〉.:::::::::::::::::|



           ____
         /     \
       / _,ノ  ⌒ \
.     /   (一)  (ー)   \
.      |        ´    ij  |
     \     ⊂つ     /   「しかし、称号のない私に何が………」
     /           \

456 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:51:12 ID:eEJrO9II
99.
――――――――――――――――――――
  視線をテーブルに落としたままの、
  絞り出すような声に青年は眉を動かして。
――――――――――――――――――――



                                              / ̄ ̄ \,-、_
                                           _,ノ ヽ、__ /  / ,〉、
                                          (●)(ー-/ ´/ /),
                                               (__人_,{  / ' ´ミ、
                                           '、`⌒ ´V __ <、
                    「君は、自分に自信がないんだな」..     |    〈´/::::::Λ
                                            |      ヤ::::::::::::::Λ
                                           `ュ`ー─ーV::::::::::::::Λ
                                           /ム _ , ー ' V::::::::::::::Λ、
                                         _,. -/::::::::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::Vヘ
                                     /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::.∨}
                                     j :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i::::::::::::::::::::::レ;
                                    i :::r ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉、:::::::::::::::::::ノ
                                       i :::| ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`:::-==:::イ
                                        | :::| :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/



        / ̄ ̄ ̄\
      /        \
     /  --‐  ‐--    ヽ
     |  (◯)  (◯)   |   「ありません………
     \    '     __,/     このような体たらくで
     /         \...    自信が持てるはずありませんよ………」

457 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:51:41 ID:eEJrO9II
100.



                            /                 \
                           /                 `ヽ 丶
                             /        .:ノ            ',  ヽ
                         / /  /   .:.:/     :ヽ:. ヽ:ヽ   V   l
                         l.:.|  :/  .:./.;イ    :ヽ:...:.:l.:.: .:|:..:l   l:  !
                         |.:.| .:l .: \!/ l:.:{  .:.:.|ヽ:.:}ヽ .:j .:.!    |:.  |
                         ヽハ:l:.| !:.:.:jV\{:八 .:.::.l }:/_,j;ィト:.l   .:l:.:  |
                            ヽ从:.: iイfチ心ハ 、从ィ厶斗<V  .:.jl:.:  |
                             \ト小._V;zソ ノ/  V;;_z1 '/  .:.:.:ハ:.:. 八
                              リ :} .:::::: ,     :::::::..  /  .:.:.:/.:.ヽ:.:.: ヽ
. (言い過ぎじゃないかしら………).        _..ノ/八            /  .:.:.:/.:.:.:.:.\:.:.  \
                         , -‐´ :/ .:.:>,.、 ´ ヽ   ィ′ .:.:.: ハ;.__ .:.:.:.:\:.:.:   ̄`丶、
~゛'' ‐- ..,,_                      〃 .:.:/  .:.:.:.:.: ノ'¨ ヽ、_ , ィ≦7   :.:.:./'´  ヽ.:.:.:.:.` ー- 、:.   ヽ
        ~゛'' ‐- ..,,_         l .:./  .:.:.:.:. ;.'イ\ ノ} /`∨  :.:.:.:{     ゝー、.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:  }
         _r'´  ̄   ̄...~゛'' ‐- ..,,_ {.:/  .:.:.:.:.:/  }  Vx1_/  {   :.:.:.:ヽ      ∧.:.:.:.:.:.:.:}:.:. ,′
.       /  l           \    ~゛'' ‐- ..,,_......j/  ̄ ̄ ヽ入   :.:.:.:.:.\      ヽ.:.:.:.:./:.:/
.       /  /!   l         ヽ            ~゛'' ‐- ..,,_  \   :.:.:.:.:.\     ):.:/:.;イ
      /ィ /,' /レ」/! /  l       ',                     ~゛'' ‐- ..,,_
      /ィ〈./' ' `l'.レ/.  l  l ,     ',                             ~゛'' ‐- ..,,_
...    ´ / 、""´ /ィ /ル /レl /    l`                                   ~゛''
.      <      ´ .イ'//リ_ハ!    ヽ
       `       l/r<    /レ'` `
        ヽ ̄`    ./  l   ./
         ,'i i i , , __,ノ,  .'レ、 /      (だが、俺達が言えなかったことだぞ。
.        ゝ-==´ ,-'‐――'‐'┐      代弁してくれているだけだ)
          /'/」  ,. .、-‐┬ヽ、
         ∠_ >ニ/ヽ: : :ヽ_: '-‐<
         // ̄:ヽ;/´ ̄:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
       //`丶/´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:',
      /./_: :/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l
     /./: : :/:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l
.....  ゝフ`:'´:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.l
...... /.//:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l
......./://:.:.:.:.:.:.:.::.//:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::l



―――――――――――――――――――――――
  クラフトには何となく分かった。

  何もかも見抜いているような青年が
  かつてできる夫と同じように壁に突き当たって、
  それを乗り越えてきたのだと。
―――――――――――――――――――――――

458 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:52:13 ID:eEJrO9II
101.



                                            / ̄ ̄ \
                                               _,ノ ヽ、,__   \
                                         (●)(● )    |
        「いいか?                           (_人___)    .|
 .        自分を信じられないってことはな、                 '、       │
 .        君を信じてついてきてくれた                     、      イ
 .        二人の信頼を否定することになるんだぞ。           ゙、 ___,. イ i
                                           ,r... __>ーメ.┴ュ
 .        君は勇者と呼ばれる前はどうしていた?          _,. ,i´::::::::::::::::::::::_::::::>、__
 .        二人はそこに惹かれたんじゃないのか?」...   ,.<::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::>-.、、
                                        「::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::.`、
                                    /.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.}
                                       / y::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}
                                    /:::::.i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ/:::.:::::::::::::::::::::j
                                      ノ.::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ィ



     /.: ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
    /: : :            \
  /: : : _       _   \
/: : : : ´  , `      ´   `    \        __
: : : : :/´ `ヽ      r´ `ヽ.     \      / /
: : : ::(  f;;;;j l,     l f;;;;j )      l     / /
: : : : ヽ_ ` _ノ     ヽ_ ´_ ノ;;:::    |    L/
: : : : : : ´"''"   '   "''"´        l   ∠フ
: : : : : : . .    `           /
\: : : : : : :. ー -- - -     /
/ヽ: : : : : : : : : : :       イ\
: : : : : : : : : :.``ー- -‐'"´      \
: : : : . : : . : : .                 \

459 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:52:44 ID:eEJrO9II
102.



                                              / ̄ ̄ \
                                            /_,ノ  `⌒ \
                                   -、          | (● ). (● )  |
                                  ヤ  ',           | .(___人___)   |
              「それとも二人は、.         i.  l     ,.-、   |   ` ⌒ ´   |
              できる夫が勇者だから.       ',  j   / /     .|         |
              一緒にいるのか?」.       ノ_..ヽ-、′,'       ',      ,/'|、
                               l .___ ヽノ    __ .j '.、__ , ___ ィ/::L_
                                 Y     )ハ.‐ ' ´ ..::ヽ::::::::::::::::::::::::::/:::::::...`' ー- 、 _
                                   ト.  ̄ ̄ 〕y::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..\
                             ハヽ 一ニイ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: r;;;;;:::::::: ',
                            /...::::::;;;;;;;;;;; /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ;;;;;::::::::::::::〉



              _ノ
       . . -‐: :=: : : : ー-ミ
.     /. : : : : : : : : : : : : : : : : `: ..
     ′. : : : : : : : : : :.、ー-ミ : : : : `ヽ
   乂. : : : : , : : : ォvi. : :\: : : : : : : ハゞ
  .才: :: :: :::/.: ::::// : :i : : :ヾ : : : : : :.∧
.   ′:::: :::/ : : : :.′ 乂:{ : : :ハ: ハ: : : {:!
  /才{:i|!/抖竿ミ、   }八≧≠ミ::!: : 从
 イ }:i :N{才>-=ミ`゙  ノ 斗r-=ミNリ Y:;
   从(ハ{《八:うjノハ   ゞ:りイ 》 }ア}}′
    八 从      :i        .i 八
     \'.      '        ,/
      ∧     ` ゛      ハ       「そんな事はないさ。
        \ `ー -- "´ .ィ:、
         fi≫ 、/从ハ, // {         ただ、彼の純粋さはとても危なっかしくてな。
       /} ` :<ー-<イ  {\.          金勘定については俺が見ててやらんとと思ったわけだ」
      /.:.:_{  .L _ヽ /_ノ   .Vハ
     . イ.:.:.:.:.:.{     V _ -‐  }}.:.:.\
 >.:´.:.:.}:_:_:__∧ ー- }!     ′_:_:_:}`:.<
 .:.:.:.:.:.:.:.}:.:.:.:.:.:.∧    :i    /.:.:.:.:.:.:.:.}.:.:.:.:.:.:.:.`



―――――――――――――――――――――――
  石像の様に動かなくなってしまったできる夫から
  左右の二人に視線を動かした青年は、
  リーダーが集団の目的を明確するのと同時に
  仲間の方もそれについて何ができるかを
  はっきりさせるべきなのだと問いかけ―――
―――――――――――――――――――――――

460 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:53:14 ID:eEJrO9II
103.
―――――――――――――――――――――――――――――――
  しかし、真っ赤になっているルイズには深く突っ込もうとしなかった。
―――――――――――――――――――――――――――――――



                                            /  ̄ ̄\
                                               _ノ  ヽ、_   \
                                              (⌒)(⌒ )    |
                                              (__人___)     │
                                            '、'ーー´   'J |
                 「君は―――                      |        |
               ああいや、言わなくても何となく分かる」       ヽ 、     イ
                                               ィヽ-ー ≦ノ7
                                         _, 、- ― '´ヘ:::::::::::::::::::::::::ト、__
                                       /..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.... 、
                                      丿;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..ヽ、
                                      / ;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'、:::: !
                                      /;;;;;:::::::::::::: !::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i:::::: |
                                    / ;;;;;:::::::::::::: /;;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:::::: |



          __ . -―-、____
             ア          `ヽ_
             //    / (/^     \
.            | |  / /|     ヽ   \ 丶ヽ
.            レ|l ∧\_l∧  , |ヽ _│  l l
            ∧ :|{/迄rトハ 、j斗泛ト/|  l |
           ノ :|ヽ| 戈ソ ノノ 弋ソ_ 彳 │ |          「エ!?
          /  リ j/// ' //// /  / 八            なななななんでですか!?
.       / //  {   r~‐ '⌒ヽ u/  ∧  ヽ、 _..     なにがわかるんですか!??」
    /  ./ /   \. `ー─ ---' /  / ヽ      \
   (_  ヽ〈    ∨>,、_   -r<'  /   ヾ      }
      )  ハ    マ{ xヘ/ ̄/  {\__   }     /
    /  ん-ヘ   ヽ//⌒ヽ,/    ∨:::::} ノ   /
   /    {::::::::: 〉   ∧    /{.     \:::\   {
 /     }:::::/   /:::::\-/:::ヽ       \〈     ̄ `ヽ、
.        {/     /::::=-:::Y::::-=ニヘ      \        ヽ
      /    /::::::::::::::∧ ::::::::::::::\       ヽ        }

461 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:53:43 ID:eEJrO9II
104.



                                     f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ
                                     |  ハハハ、ルイズは分かりやすいからな。  .|
                                     乂__________________ ノ

                                                  ヽ人_从人__从_从人__从人_人_从人__从人ノ
                                                 <                        >
                                                <  あんたまでなに言ってんの!?     >
                                                <  私はできる夫のことが好きだなんて  >
                                                <  一言も言ってないんだからね!?   >
                                                 <                        >
                                                   Y⌒YW⌒Y⌒WW⌒⌒YW⌒Y⌒WY⌒WY



                 _____
               /         \
.           /                \
.          /                  \
.         /                    \
     /     ´ ̄` 、    , ´ ̄     ヽ
      |                           |.     (―――そうでした。
      |       ( __ )     ( __ )       |.      私は困っている人の力になりたいと。
      |                           |.      それだけを考えていたはずでした。
.       \            ´          /
.         \        - ─‐‐-        /       体裁とか評価などどうでもいい、
        /ヽ              イ\         ただその人が助けられればと―――!)
       /                     \



――――――――――――――――――――――――
  周囲の声も耳に入らない。

  ただ己の内へと。
  ただ心の底へあるものを探りに行っていた少年の
  両拳がぐっ、と握りこまれる。
――――――――――――――――――――――――

462 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:54:20 ID:eEJrO9II
105.



                                           / ̄ ̄ \
                                              _,ノ ヽ、,__   \
                                        (●)(● )    |
                                          (_人___)    .|
                            「二人が信じてくれた、.     '、       │
                          一番大切なことは.          、      イ
                          思い出せたかな」.          ゙、 ___,. イ i
                                          ,r... __>ーメ.┴ュ
                                          _,. ,i´::::::::::::::::::::::_::::::>、__
                                     ,.<::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::>-.、、
                                       「::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::.`、
                                   /.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.}
                                      / y::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}
                                   /:::::.i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ/:::.:::::::::::::::::::::j
                                     ノ.::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ィ



                 _____
               /           \
.           /             \
.          /               \
.         /                  \
     /                     ヽ
      |        ̄`丶      ' ´  ̄      |
      |      ‐ュ::::ェ‐      ‐ェ::::ェ‐      |
      |                          |
.       \             ´             /     「―――はい。
.         \      - ――-        /          幸い、まだ私の中に残っていたようです」
        /ヽ              イ\
       /                     \



――――――――――――――――――――――――――――――――――
  できる夫はどうして忘れていたのだろう、と自分を恥じたが
  往々にして人は道に迷い、他者に惑わされ、思いを風化させてしまうものだ。

  だからそれを知る者はときどき立ち止まって自分を見つめ直したり、
  仲間として思い返させたりする。

  そのことを知っただけでも少年は一つ大人になったと言えるだろう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

463 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:54:42 ID:eEJrO9II
106.



                                           / ̄ ̄\
                                         ⌒´ ヽ、,_  \
                                            (●)(●.)    |
        「勇者なんて君のことを何も知らない人が            (_人___)    |
.         騒いでいるだけさ。                           '、       │
                                              }       {
.         名声や称号なんて利用する程度がちょうど良い、       !、______ .ィ-ート、
.         芯がぶれなければ                         V/:::::::::::::::::ヽ
.         何を選んで行くべきかは自ずと分かるだろう」            {::::::::::::::::::::::::::::::.、
                                           /ー-:::::::::::::::::::::::::::::::,
                                   「r'、     /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
                                   } r'、 ヘ、 /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i
                                   i/ ム、} .{ i:::::::::::::::::::::::::V:::::::::::::::::::::: |
                                   { い、{  Y::::::::::::::::\::::V:::::::::::::::::::: |
                                   \  ヽ {|V.::::::::::::::: \V:::::::::::::::::: |
                                     \  ノ|:.V.::::::::::::::::::::::〉.:::::::::::::::::|



         ____
       /      \
      / ─    ─ \
    /   (ー)  (ー)  \
    |     ___'___      |    「他の冒険者が聞いたら
     \    `ー'´ u  ,/      変人扱いされますよ、それ」
     /⌒ヽ   ー‐    ィヽ
    /      ,⊆ニ_ヽ、  |
   /    / r─--⊃、  |
   | ヽ,.イ   `二ニニうヽ. |



――――――――――――――――――――――――――――――
  名声や称号など求めるものではなく、
  自分がやりたい事の道具の一つとしてしまえばいいという青年に
  思わず吹き出してしまうところだった。

  冒険者が求める到達点の一つを道具扱いするやり方など、
  これまで聞いたことがない。
――――――――――――――――――――――――――――――

464 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:55:14 ID:eEJrO9II
107.



                                        ___
                                      /:::::::::::::::::ヽ         ____
                                    / :::::::::./ ̄ ̄ \____ ,. --ー.....:::::::::::::::::::.. \
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                                      | ::::::::::::(__人___)    |:::::::,. -ーy::::::::::::::::::::: /
                                      | :::::::::::/::'、           | ̄   _/::::::::::::::::::::: /
..   「装備や消耗品もこだわった方がいいと思う。.   | :::::::/::::: |        |   /...::::::::::::::::::::: /
                                   | :::::::::::::/|       /レ-,.イ:::::/::::::::::::::::: /
....   何より自分や仲間を守るものだし、             i:/:::::::::::: ヽ__、____,. "//::ノ.:::::/:::::::::::::::: j
....   見栄えが良いといろいろやりやすい」         r:::::::::::::::::::「二二二 ::::::::::/::::::ノ::: 、:::: //
                                  /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::r



          /              \
       /                 ヽ
.     /                    ハ
    /                、      !
    l              /∨.l     !
    ,'             ,   !'`´`! ,   , !
   /イ  i    ,    .l.  .!l   !,イ. , 、.!'
.   ′|  |    !.,、.ト、 .M.  !l  ィムlィ/! l ' .       r‐ 、
    l / レ1   ハ|メ‐ヽ厂!ヽ|` 'ニ  ,'/ ,、l.         l  .l
    ' И{.、', i リ ' ‐-‐ニ,   iヽ ̄ ,' .l. '       l  .l
      l,ヘ_ヾY      ´    !  .ハ/'         .l  .l
       l `ー;          /  /          .l  !..     「そうそう。
          !ハ l.ヽ        __  /、 .   r‐ 、  _,_ l  |
.      /'l. リ、ヽ\    `''ニ´- ./ヽ`丶、...', ヽ /  `‐-'、       いつも言っているだろう、
    ,-'"_____',  \ ` 、, i i i i,//`ヽ:.:.:. .l   ソ  __,,  ヽ.       先行投資は大切だと」
 ,..:.'´1l; ; ; ; ; ;',   `丶、 `ーァ‐ヘ: : : :ヽヽ:.:.l .〈  /     .}

465 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:55:49 ID:eEJrO9II
108.



.   / /.:    / .:./ .:./..:/     `、      \
.. ,′ :.:    i .:.j{.:.:.:.ハ.:.{..:jノ    ヽ:\    \ ヽ
.....i  |.:.:     |.:-八.:.‐{七j´:{.:.:..  `ト、!.:.:.:j    } |
.....|  |.:.:     | /ァz≧=.kハ.:ヽ:.:  .:j.:.j\ハ.:.: .:.:/:.':j
.....|  |.:.:     l'彳 {iヘ j|ヾ ∨}.:.: .:.,仟≦k |j:.:.:.://∨     「そうなのよ!
...゙j !:|.:.:   │` r'::チリ    j.:./ {iヘイハ}从/イ        さっさと私が大魔導師になった方が
.゙,′l ハ.:.:.    |  V_少       r' リ  /.:.:.「 |.         不要な戦いが減らせるかも知れないし
......:/.:ハ.:.:.   l  :::::::::       、 ヾ''  ,'.:.: │:!.          箔もつくわ!
. :./ .:.:.:.ヽ :   !           :::::::::: i.:.:  |八
.:/.:.:__,r-ヘ .:..  ',      「   マ     イ.:.:  |:. ヽ.        だから魔法書買いましょ!ねっ!?」
../ ::::::::::: i.:.:.:. ヽ丶、   ゝ /   イ.:.:!.:.:  {. :.:. `ー-  _
_::::::::::::::::::::|.:.:.:.:.: \ > ‐-/⌒\│.:.:.:.:.:. ヽ__:.:.:.:.:    `ヽ
゙::::::::::::::::::::j.:.:.:.:.:..  \ ̄/ /⌒ \ .:.:.:.:.:  \`ヽ:.:.:.:.:.   i
゙::::::::::::::::::/.:.:.:.:.:.:.:   ∨  ′ /⌒_ヽ_ :.:.: :.   \}:.:.:.:.:.:  j
......::::::::: /:.:.:.:.:.:.:.:.    l|      / __ノ.:.:.:.:.:..    ヽ:.:.:.   /
゙:::::\: / .:.:.:.:.:.:.:.     l|       / ヽ:.:.:.:.:.:.:.    }:.:.:/
゙:::::::: 7:.:.:.:.:.:.:.:      ハ       {⌒(  } :.:.:.:.:.:.:   ∧.:( _
゙:::: /:.:.:.:.:.:     /:厶      Y  /:.:.:.:.:.:.:.:.: /::∧:.:.:.:.:.:.`ヽ
゙:::(:.:.:.:.:.:      /:::::::::::ヘ.       |  /:.:.:.:.:.:.:.:.: /::::::::::\:.:.:.:.:.:.:)



                                              ____
                                            /     \
                                          / ⌒   ⌒::::\
                「ふ、二人ともここぞとばかりに       /   (●)}ili{(●)::::::\
               言わないでください。             |      __´___   :::::::|
                                        \      `ー'´  ...:::::/
               気持ちは分かりましたが
               私達にはお金がないのですよ?」



――――――――――――――――――――――――――――――――
  どうやら我らがリーダーの頑迷さが少し和らいだらしい、と見て取った
  仲間達は今こそとたたみかけ、
――――――――――――――――――――――――――――――――

466 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:56:17 ID:eEJrO9II
109.
――――――――――――――――――――――――――――――――
  きっといつもの調子に戻りつつあるのだろう、と微笑んだ青年は
  温くなっていた飲み物を一気にあおると
  いつのまにかがらんとしていた酒場の向こう、
  相変わらずグラスを磨いているバーテンダーに支払いの合図を飛ばす。
――――――――――――――――――――――――――――――――



.            \
                \
                 \
                  \                  / ⌒\ _
                   \             r‐' /\  丶 `丶  ))
                    \.           〉‐く /  ノ       \
                     \          ∧ ノ \ ノ _〕        ヽ
                      \        しヘ   `¨¨`       |
                       \.....((      \           |
             │ /          \         ヽ          -‐ |_
   x≦ニニニ=‐      ′/          \        \      /   \
   ニニニニニニニニ=‐                 \.          丶   / / ̄ ̄`
   /ニx≦ニニニニニ=-ヽ              \.           ̄〕 ,' / ̄
   V,〃”⌒''*、ニニニニ=-v                    \            \| /
.   ^´        ≧xニニ=‐V                  \
            乂ニニ=-V                     \
                Ⅵニ=‐}                   \
    _,,., _,.斗*=-  :..:Ⅵ/\                     \
    ,x*'' ´    ,,,__ : :.:.} /ヽ}                          \
    xく   f≫''”⌒^_.\} } .ハ    ヽ                     \
.      V{j/_,,xvハア.′八ヽ ′∨  }                        \
    ト、  く〃´⌒ヽ´  } :rく/   .}                        \
     }r=ミ{{  // }  ノ .;_/{___,ノ_,,.ノ
     j{.   乂 /_,.ノ% ′ {\ニニニミ*、
    j{   jr- ..,,_.%i  { }^ヽニニハ,乂
.    \,__/    、`}%   ′}% }ノ八}
   { 、_.   _,.,-‐┘} % ./ /.% _}⌒~""''' ‐- ...,,__
      、__,,..    ,' .%イ _/ % ,′ニニニニニニニニニニニ=‐
    \ '     ,. ゛% ./  %′ニニニニニニニニニニニニニニニ=‐
       :.、     _,/  ,%'′  % .}ニニニニニニニニニニニニニニニニニ
     : : : ` ‐≦   ./ ℃c‰ ,′ニニニニニニニニニニニニニニニニニ
     { : : : : : :},_,/    '   ′ニニニニニニニニニニニニニニニニニ
.     j{ : : : :〃__ハ   /   /ニニニニニニニニニニニニニニニニニニ
.    j{ : : : ,′ : : ',  {rc /ニニニニニニニニニニニニニニニニニニ
      j{ : :..,′ : :.... ヽ V /ニニニニニニニニニニニニニニニニニニ
.      乂,∧ : : : : :.:.∧___/ニニニニニニニニニニニニニニニニニニ
.         ∧_______/   /ニニニニニニニニニニニニニニニニニニ

467 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:57:00 ID:eEJrO9II
110.
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
  そして、やいのやいの言い合う三人の前で
  給仕がすっと差し出した伝票に目をやると
  ご馳走様でした、お釣りは結構ですと金貨を手渡してから剣を持ち椅子を立った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――



             __
            /´/ }` )
               ゝ-――- 、
.           /´ ̄´  ̄ `\
            /    、 } ヽ  ヽ
.         ,  /   l  ,  }.  }
        l  ,    / } l l   ハ
        |.  {   {   / イ j}ノイ.
        lハ lハト 乂イ'   {ゅ'
.         ノ マl丶    '     メ
           {` ヽ _ ー ' イ    「ありがとうございました。
                rj ` ´ iト.      またのご来店をお待ちしております」
        { ̄ヽー‐' `ーi´  ゝュ._
        ∧  }ニ>x . __j__ . イ二/´\
        }ニム _.j二>===<ニ/  ,イノ



               ―
            /      \
           /_____ノ::}
           |:::::::::::::::::::::::::::::≦|
          {>-----≧´ィ句|.    「明日には俺達もこの町を出る、
          ∧    ー ´  ¨ i.      またどこかで会おう」
          く:::ハ       _冫_
             レ' ∧   `  ´  .|::: ̄〉},.~:、
        -‐, ~//::>  _ イ:厂八/::::::::广
     /  〈::::::∧∨      / //:::::/    \
    /    ハ8{  \`ー― / , く:8::イ        ' ,
   く      Y   >v <     Y:{         〉
   く `ー 、  /              V\       八
  く__ `ー   ∨ ノイ            i!::::!> ― - イ:::::\
  /_/:::::::::∧く_メ≧           八:::\`ー --〈|:::::::::ハ
  /_/:::::::::/:::∧ー―< ̄>――  イ /〉::::::\___/::::::::::::::}
  {:::::::::::::::::::イ  ト、    Y       ノ _ノ::::::::::::::::::::::イ :::::::::::::::ノ

468 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:57:17 ID:eEJrO9II
111.



        ` .、                       ____
           ` .、                   /ノ   ヽ、_\    r ⌒j
              ` .、                    /( ○)}liil{(○)\   /   /
                 ` .、.             /    _'__     ヽ/   /  /  )
                    ` .、            |     |i|||||||i|     /  /  /  /
                 ` .、         \     |ェェェェ|     /   '` ´  /     「あ、あのっ!!」
                    ` .、        r´  (⌒'ー―- イ′     ´廴
                       ` .、    /    > 、     ヽ      _  ̄ ̄ ̄)
                          ` .、..../        -、      }        (  ̄¨´
                             ` .、           ヽ._       __  \
                        l  /.  ` .、            `   --‐'´ `゙' 、_.)
                 ___   ′/.  ` .、
                 ∠,,,,,,,, ,,,,,,,ヽ         ` .、
                  |:::::::::::,@,:::::::::|           ` .、
                |~~~~'|人|'~~~|    「ん?」  ` .、
.    (○.           |       |               ` .、
.      \\   ,,...  │       |,-'i,,_,,、.            ` .、
         \\//..__、ヽ        /j .l,,ゞヽ\ .__         ` .、
        / .@"...、|r‐ヒ‐クii,,_、  ┤! / l .ヽ.l, '、 /l.           ` .、
       < /゙〈llィ'´\\ \ .''q ̄.´.,ノ'/ l 〔 .l .l \ !              ` .、
        i′`-゙\ヽo.\   `ぐ㍉;;'゙_/  l |、 l.l  ゙;/                 ` .、
       │.,    \ヽ ヘ   .\    ! l. l.′ |
.       ,i         \ヽムヽ   ヽ   ! ..l. l /
      ,yハ、       ;;;; \ヾ i \   .ヽ, |  .l  リ
     ,,i' ヽ, .´`ー.、.;;;;/,  \ヽスヽ、、  ` ! !、 .!
     |、  `'、   .;;;;┤    \ヽ)`ヽ.゙、   l  .l
     l`-.、  ゙ニ;;;;;;;;ノ      \ ソヽ、   !、 ヽ
     ヽ、  .""ー ;;;;;;l′.         .\'くゝヽ'、、    ヽ
      》ゝ─‐ イ;;;:;;./;;          .   \マ 、ヽ、    ヽ



―――――――――――――――――――――――――
  唐突な終わりに戸惑ったできる夫は
  そのまま去っていこうとする青年を何とか呼び止め、
  振り返らないまま彼は立ち止まる。
―――――――――――――――――――――――――

469 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:57:41 ID:eEJrO9II
112.



                                            / ̄ ̄ ̄\
                                          / ノ    \ \
                                         /u (●)  (●)  \
                                         |     __´__  u   |
                    「あなたの、お名前は………」   \    .L:::::ノ    /
                                         /  u         \



                 , -─‐ 、
               /      \
               /           !
                /        /
               /           /
                i        /         「口幅ったいことを言って恐縮してるんだ、
               ∨ ____r/.         名乗るのは勘弁してくれ」
               ,「:::::::::::::::::::::::::ヽ;,、_
            __,,./":::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ,、
       / ..::ヽ..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
      / .::::::::::::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i::::::.`
      l ;ノ:::::::::::: l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: !::::::::::i
     く:::::::::::::::::: !::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: イ::::::: {
        l:::::::::::::ヽ;;|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:::::::::
      l :::::::::::::::::.〉:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:::::::: i
        l|::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |::::::::: |
      l::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:::::::::: i



――――――――――――――――――――――――――――――
  それだけを答え、ふたたび出口に向かう背中を見つめた三人は、
  もう一度名を問うても答えてもらえないのだと悟るしかなかった。
――――――――――――――――――――――――――――――

470 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:58:09 ID:eEJrO9II
113.



    ||: : : i::i: : : |                                   |::|: : : |
    ||: : : i::i: : : |                     ,,-‐'' "゙゙ ゙"''ー,,、           |::|: : : |
    ||: : : i::i: : : |                 /        `ヽ.            |::|: : : |
    ||: : : i::i: : : |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙___゙;;;;;;;;;;;; /.            ....:::.;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::|: : : |
    ||: : : i::i: : : |;;;;:;:;;;;;:;;;;:;;゙|__:|_|::;::;;:;:;: |.              |;;;;;;;;;;;;;;;:;:;;;;;:;;;;:;; |::|: : : |
    ||: : : i::i: : : | ニニニニニニ|   | |ニニニ∧゙::..............       ...;::;::;:::;::;:;::;::;::;:::;::.. |::|: : : |
    ||: : : i::i: : : |..゙______.|__レ___/ ∧              /.            |::|: : : |
    ||: : : i::i: : : |......_______/   ∧           /            |::|: : : |
    ||: : : i::i: : : |......______/ _ ∧ニニニニニニニニニ/^\ニニニニニニl  |::|: : : |
    ||: : : i::i: : : |......_______/  |_|_| ∧____/  _  \____\. |::|: : : |
    ||: : : i::i: : : |......______/   |_|_|  ゝ_____|_|_|_|_|____. |::|: : : |
    ||: : : i::i: : : |......_____/    ̄   \___________. |::|: : : |
    ||: : : i::i: : : |...__    :::|||    _   | ̄                    |::|: : : |
    ||: : : i::i: : : |゙::|:|_|_|:|エ :エ|||    |_|_| ェェ| ____       ____.   |::|: : : |
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`゛¨ '' ‐- ...,, _ii|:|         \   /                         |::|: : : |
         `゛¨ '' ‐- ...,, _.. \/                           |::|: : : |
             / ////..゙`゛¨ '' ‐- ...,, _                       |::|: : : |
           / イ └'´/              `゛¨ '' ‐- ...,, _
.          /  .\_.ンニニス_                  `゛¨ '' ‐- ...,, _
          /  .__...二つ:::::::::\                            `゛¨ '' ‐- ...,, _
         (   /:::::::::::::::::::::::::::::::::\
          ヽ  .ヽ、:::::::: __´,_     |   「うわっ、まぶしい!」
           \ ヽ::::::::      /
.            |    ` ー    \



――――――――――――――――――
  ドアベルを鳴らして開かれたドアから
  茜色の逆光が溢れかえり、
――――――――――――――――――

471 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:58:41 ID:eEJrO9II
114.
――――――――――――――――――――――――――――――――
  光の洪水に眼を細めるできる夫達からその表情は見てとれなかったが、
  のちに三人は口を揃えて断言する。
  彼は優しく微笑んでいたに違いない、と。
――――――――――――――――――――――――――――――――



                _
 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::.       /:::::::::::\    ,, ....:,:.. .:::::::;;;;;;;;;;;
 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:::.     /:::::::::::::::::::::::ヽ ,:;;;;;,...::::::::::::゙「………ああ、そうだ。
 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::.     |::::::::::::::::::::::::::::::| ;;;;;;;: ..::::::
 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::.     |      (__人 ;;;;:;;:::::::::::::::;;;゙割の良い仕事が欲しいのなら
 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::.     |::::::::::::::::::::::::::::ノ゙;;::,: .:::::::::::::;;;; 神殿前の立て札を見てみると良い、
 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:      ヽ:::::::::::::::::::::ノ;;;;;;;;; ::::::::::;;;;;;; 捕らえられた海賊を北の港町から
 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:      /.:.:::::::::::::::/ ;;;:;;;;;;; ::::::::;;;;;;;;;;゙護送する依頼が出ていたはずだ。
 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:...  r'゙.:.:::::::::::::.:.:.\ ;;;;;;;; . ::::;;;;;;;
 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.-‐'´.:.::::::::::::::::::::::::::::.:..`ヽ、: :;;;;;;;;;;;;;;;;;;報酬は金貨四千、諸経費食事、
 ;;;;;;;;;;;;;;;゙/.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.\ ;;;;;;;;;;;;;;::宿代も依頼者持ちだったと思う」
 ;;;;;;;;;;;;;;゙l.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.ヽ;;;;;:::::::::::: . .     .,,:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::
 ;;;;;;;;;;;;;;/.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::゙::::.          .,,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::
 ;;;;;;;;;;/.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|         ,,,:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::    ....::
 ;;;;;;;;/.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.L.       ,,:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::   .....::::::::



.     「 ̄|                 \
.     /  l                  \
.    /   ! l                   \
   /イ  l/l  /  !             \ ヽ`-
.... ' .,'/l './ ! ./l /l l         i     ト 、ヽ
.    ' .l , l 〉/´l/ニレ'l/ .ト,   .i.ィ.ト,  !    、 l  `ヽ      「護送で四千!?
.     レ'リy   、ゞレ'/イリ ',!,ィ /_リヽN   N リ           必要経費向こう持ちで!?
.       /   `     /' l /イ/   /リ
.       ヽ   __     /斤<、  ./リ_  -‐:.:.'ヽ-‐..   今朝見て回った時は
.        ヽ ヾ,ーヘ     ' ヽヽ,、 .ハ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.',..    そんな依頼出てなかったが―――」
.         ヽ ゞ=イ   <   ',  ! ヽ、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
         ',i i i , ィ<´      ',  l  ゝヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
          ` ̄´ l.\      ', レ'´ l  ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.: . f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ
             /:',  ` ‐<,--、 ヽ    ! ヽ:.:.:.:.:.:.: |  出たのが昼過ぎだからな。          |
               /:.:.:ヽ, -<´   >レイ1/  ',:.:.:.:.:.: . |                          |
.           /:.:.:.:.:.:.\丶ニ‐-ニ二.`L.l'    !:.:.:.:.: . |  お手軽なのに良い金になる。       |
.          /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\ >-    ヽ   ',:.:.:.:.: |  急がないと誰かに先を越されるぞ?  .|
.         /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\       ヽ   l:.:.:.:. 乂_________________ ノ
.        /´\:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`:.:<     \ l:.:.:.:



――――――――――――――――――――――――――――――
  それだけの収入があれば、今の状況をなんとかしてお釣りがくる。
  海賊の護送ならできる夫が不満を漏らすこともないし、
  勇者の名声に傷がつくこともないだろう。
――――――――――――――――――――――――――――――

472 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:59:14 ID:eEJrO9II
115.



                        ______________
                        |:::::::::::::::::::::::::::::::: ||:::::::::::::::::::::::::::::::: |
                        |:::::l ̄ ̄ ̄ ̄|:::::||:::::l ̄ ̄ ̄ ̄|:::::|
                        |:::::|:::::::::::::::::::::|:::::||:::::|:::::::::::::::::::::|:::::|  バタン
    ゛'' ..,,               |:::::!:::::::::::::::::::::!:::::||:::::!:::::::::::::::::::::!:::::|
        ゛'' ..,,           |:::::|:::::::::::::::::::::|:::::||:::::|:::::::::::::::::::::|:::::|
            ゛'' ..,,       |:::::|:::::::::::::::::::::|:::::||:::::|:::::::::::::::::::::|:::::|
                ゛'' ..,,   |:::::|:::::::::::::::::::::|::[||||]::|:::::::::::::::::::::|:::::|
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    /   (○)  (○)   \              ゛'' ..,,.....____|:::::|
   |      __´___     |                   ゙゛'' ..,,゙:::: |
   \      |il!|!il|    /  「あっ!                ゛'' ..,,
   /       ̄ ̄    \    ま、待ってください!!」          ゛'' ..,,



        /    /    \ ヽ   ヽ ヽ
         //  / ∧    :.  \\   :.',:.. ',
       // : { /:.ハ :l:.  ト;.: |l_ハ_:|   :.:l:.:. l
      l ハ 从丁≧ュ、}:.: 厶斗矛廾   :.|:.:. l
      レ' ヽ:|:.:} ,仟:r'} j/ 之:ン゙ |   .:.|:.:. l
          ト-ゝ ゞ'´ ' __      |   .:.|:.: ',
         / | ∧   f'ー ヽ     !   .:.ト、  \
          / .|  ヽ   ヽ _,ノ  イ   .:.|:.}:        「早く出ましょう!
        /   |   :.:> 、_,. < |/   .:.|:.:',:.:         今なら追いつけるはずよ!!」
      / .:.:.:ノ ,z==|テ廾ァ、/  .:.:.:/\\:.:.:.:
    /.:.:.:.:./  〃.:.:/{=//\.:.:.:.:/:::::::`ヽ\:
   / .:.:.:.:/   //{/!::::::レ'/  .:.:.:\/::::::::、:::::::::}:.:



―――――――――――――――――――――
  扉の縛る音で我に返った彼らは、
  グラスの飲み物をきっちり飲み干してから
  我先に夕日の中へと飛び出すが、
―――――――――――――――――――――

473 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 22:59:41 ID:eEJrO9II
116.
――――――――――――――――――――――――――
  残念ながら混み合う街路に青いマントと
  バスタード・ソードの背中を見つける事はできなかった。
――――――――――――――――――――――――――



゛゛''l i!=====┓         ' |l |__l l__l l::::::::| n ..\      /   ./!γ,  l___i  i!   i .l   l  γ ⌒`ヽ
:::::::l   l..∨ .l           |i     l::::::::|.i,! !,i.l    .,'', l‐‐‐‐/ i i l     .i!   i-┼―-.l  ,'     ヽ
:::::::l   l..∧. f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ.. l::::::::|   l/^\' ', l ロ /!i l i__l      i!   i .l   l ,'      ',
:::::::l   \_......|  あの人は!?   |.゙i l::::::::| n n l. ロ ロ ロ\',.l   !.i l   /l',   i!   i .l   l |       |
:::::::l     i:::::゙乂________ ノ _l l::::::::| i,!i,! l    /.'.l ロ l.i .l  ./ | .',   i!   i .l   l |       |
:::::::l     i:::::::::::ll  i!:::::::i! i:::::l|i ,'゙゙',  .l::::::: f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ...  ゙゙゙'',',',',',/ .|       |
:::::::l     i:::::::::::ll  i!:::::::i! '  .|i l .l  .l::::::: |  ………だめ、見あたらない。   |           |       |
:::::::l     i:::::::::::ll   ''''''^゙   .|i l .l  .l::::::: 乂______________ ノ          |       |
:::::::l     i:::::::::::ll..      ハハ.|i ! !,,,,,.l____| |,l,,,,l-‐''"゛    ' iヽl.ni  l  l  l  i!         l    ┏! |
:::::::l     i:::::::::::ll    _,,.. (n゚ロ゚).゙゛゛.∧∧.‐''"゛          i  `ヽ l  l  l  i!         |    ┃  |
:::::::l     i:::::::::::ll._ '''"゛  l L」l〉.- .(`  .)                 i    `ヽ .l . .l  i!         |    ┗! ..|
:::::::l     i::::-"´        〈_:」   .〈   〉             ',      `ヽl... i!        . |      |
:::::::l._. .-'"´     _,,,ー'''"゛ .し .∧_∧ __ゝ               .',         '-..、       .|      |
        -‐''"゛       .( ´∀`) ._)                ',           `''-、,     |      |
    ,  '''.__             (    )              .∧,,∧   .\            `''ー ..,, |      .|
 ー'''"゛ . ヽ|__ノ)    モォ ((  人 Y           ノリノリハレ    \               `゙'ー .._   |
.      (‘-‘ ハ   _)_, ―‐ 、し(_)    ∧,,∧    パー゚,ノリハ                       `''ー| .._
       /(Y (ヽ_ /・ ヽ     ̄ヽ     彡・ー・ミ   リ( †リとリハ
        ノ___ゝ  ` ^ヽ ノ.::::::__( ノヽ    と @つ  ハ/  '' ヽハリ
f          `ヽ   /ヽ ̄ ̄/ヽ        |  ,O   リ<ノ、ノ_,i_,ゝハ

 
-474 名前なんて無いだろ 2016/12/10(土) 23:00:08 ID:UdgpIJcY
この時点でのやらない夫の仲間が誰なのかが気になるよなぁ

475 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 23:00:11 ID:eEJrO9II
117.



           ____
         /     \
       / _,ノ  ⌒ \
.     /   (一)  (ー)   \
.      |        ´    ij  |
     \     ⊂つ     /     「満足にお礼すら言えないとは………
     /           \        情けない」



                -‐ - 、
         /           \ 
        /  〃 |         ヽ
.       {  { |  |       ハ
       ゝ 从.|  |  丶     .}
        `l リ  |   八    :|      「きっと、分かってくれてるわよ」
.         !ノ'  |    \   \
.        ソ   | ハ   `ヽ.   \
         八   从. \    ハ  }
        ∧  ヽ冫rf千≧=、 ノ  /
.        爪∧   \///////} ;  f
      {//刈.    ∨/////| i 八
        ∨/ノ    ノt/////| ヽ   \
        }彡   /从,//////|  }    )
      ‐=ミ-‐ jハ }///////| ′ /



: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.∧
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::∧
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ハ
:////, : : : : : : : : : : : : : : : : : :.'
://// : : : : : : : : : : ,才: : : }: ::∧
: : : : : : : : : : : :/ / :}}八从:/レ人
:i: : : : ::i: : : : : :{/_彡イ才}: N
:|:!: : : ::|: : : ::/ (N〈 } レ
从ハ}八(イ彳   /
/` <   :!ヘィイ才"    「しかし、何者だろうなありゃ」
ゝ厶/ T⌒ヽ ̄
.:.:.:.:.:.`ヾ: : i: :ヘ
.::::::::::::::::::\: : {ヘ
::::::::::::::::::::::ー≠-ミ
::::::::::::;::::::::/.:::::::::::::ヽ
::::::::://.::′:::::::::::::::::::ハ
::::::::{'.::::::::::::::::::::::::::::::::::::!
::::::::{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!
::::::::{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!
::::::::{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!



――――――――――――――――――
  彼らが気づくのはもう少し先になる。

  この時出会った相手こそが、
  今もっとも有名な英雄だったのだと。
――――――――――――――――――

476 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 23:00:44 ID:eEJrO9II
118.



                 _____
               /         \
.           /                \
.          /                  \
.         /                    \
     /     ´ ̄` 、    , ´ ̄     ヽ
      |                           |
      |       ( __ )     ( __ )       |     「何者―――
      |                           |.     いえ、あの人が何者でも良いのです。
.       \            ´          /
.         \        - ─‐‐-        /.         大切なことをたくさん教わった、
        /ヽ              イ\        大切なことを思い出させてくれた。
       /                     \
                                       そのことには………変わりがないのですから」



―――――――――――――――――――――――――
  夕暮れの街路で、深々と頭を下げたできる夫はもはや
  進むべき道を見失った迷子などではなかった。

  迷宮に迷い込んでいた勇者は、
  英雄の導きによって出口の輝きを見いだしたのだ。
―――――――――――――――――――――――――

477 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 23:01:14 ID:eEJrO9II
119.



              ,.  -‐=== 、
         : ´: : : : : : : : : : : : `ヽ
.     ,. ': : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
.    ハ: : : :/ : : : : : : : : : : : : : :ヽ: :、: :∧
   /イ : : : { ,′: :/ : : : : :、: :: : :ハ: :',: : :i
......〃, : : : : ノ' l: :从:: : : : : :仆:ヽ : : } :ハ : :!
...゙ノ'´{: /: : : : :从, - 、: : : : :斗‐廾ト 、: : 、: :',
.   八:i: : : 七爪: :{ `,: : :: ::从 丶∨リ : :,: :`、
...... _冫 : : /z≧≠ミx、ヽ :ノxz≠ニミx}: : :|: : : : `ヽ 、     「お礼も良いけどせっかくの情報よ!
.゙, ': :〃 : : : 从 圦、ィ  ノ'  仆-リ 从: : ハ: : : : : : : :\...    はやく神殿前に行きましょう!!」
/: : : : : : ノルハ  ゞ'¨´  ,   `¨¨´ /: : /: : : : `ヽ : : : ハ
... 、: : : :ノ }゙ ∧    , - 、   イ:: ::人_:_:_: : : ノ: : : : :ソ
....._从 r一'ノ : : : ト.  ヽ::::ノ  イ/:: :: ::}///∧、 : : : : /
゙: : : : :爪: : : : : 丿∧   -   /: : : : :|/////: : : : : (
: : : / : : : : ////∧ /Yヽ ∧: : : : 丶////\: : : : `ー  、
: : / : : : : : ///////∧ ☆ /,/\: : : : `ヽ///∧: : : : : : : : : : :`ヽ
: 厶_:_:_:_: : : : : : ノ ///,\////// \: : : : : }////=┐: : : : : : : : : :ハ
゙://///ノ : : : : ///////∧////// /: : : : :∧,////∧: : : : ヽ : : : : : }
//_/: : : : ノ//////丿||\/// /:: : : : : ://///////\_:_:_ノ_: : : : :八
_: : : ,. -‐一'/////// 〃 ,\ / : : : : : : ゞ=ミ、//////////∧: : /
.ノル'///////////   ,j|  || ヽ: : : : : : : : : : ノ////////////ヽ´



              _ノ
         -‐: :=: : : : ー-ミ
.     /. : : : : : : : : : : : : : : : : `:
     ′. : : : : : : : : : :.、ー-ミ : : : : `ヽ
   乂. : : : : , : : : ォvi. : :\: : : : : : : ハゞ
.  才: :: :: :::/.: ::::// : :i : : :ヾ : : : : : :.∧
.   ′:::: :::/ : : : :.′ 乂:{ : : :ハ: ハ: : : {:!
  /才{:i|!/抖竿ミ、   }八≧≠ミ::!: : 从
 イ }:i :N{才>-=ミ`゙  ノ 斗r-=ミNリ Y:;
   从(ハ{《八:うjノハ   ゞ:りイ 》 }ア}}′
    八 从      :i        .i 八
     \'.      '        ,/
      ∧     ` ゛      ハ     「同感だ。
        \ `ー -- "´ .ィ:、       のんびりしてて他の奴らに取られたら
         fi≫ 、/从ハ, // {.        あの人に顔向けできないし、
       /} ` :<ー-<イ  {\        ツキが落ちてしまうかも知れん」
      /.:.:_{  .L _ヽ /_ノ   .Vハ
.      イ.:.:.:.:.:.{     V _ -‐  }}.:.:.\
 >.:´.:.:.}:_:_:__∧ ー- }!     ′_:_:_:}`:.<
. :.:.:.:.:.:.:.}:.:.:.:.:.:.∧    :i    /.:.:.:.:.:.:.:.}.:.:.:.:.:.:.:.`



―――――――――――――――――――――――――――
  大きく頷いて空を見上げた彼は
  今日ここであの青年に出会えた幸運に感謝し、そして、
  情けない自分についてきてくれる仲間達に聞こえないよう
  小さくありがとうございます、と呟いた。

  ―――いま、面と向かって言うのは恥ずかしかったから。
―――――――――――――――――――――――――――

478 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 23:01:49 ID:eEJrO9II
120.
――――――――――――――――――――――――――――
  いつか。
  心の迷いを取り払ってくれた恩人にもう一度出会ったときに、
  立派になったと認めてもらえたなら。

  そのときにしっかり伝えたいと思う。
――――――――――――――――――――――――――――



             /)
           ///)
          /,.=゙''"/
   /     i f ,.r='"-‐'つ____
  /      /   _,.-‐'~/⌒  ⌒\
    /   ,i   ,二ニ⊃( ●). (●)\
   /    ノ    il゙フ::::::⌒ ___´___ ⌒::::\
      ,イ「ト、  ,!,!|     |r┬-|     |.     「ええ、そうですね!
     / iトヾヽ_/ィ"\      `ー'´     /       駆け足で行きましょう!!」



                 -‐―‐- 、
              イ             \
           / /  /          \
.           〃 ,イ 从 〃/   l  ハ      ヽ
.           {八{ { \ル'!    | _!_.}_l } l i
.           {{. ` .! ≧ミxヽ l ,}z≠=ミx`寸 | |
.            ヽ 从 r、,  )イノ r、 , ヾ ノ :| |
             ノ i` 比!     比;! .从  :| |
           イ  | ` ̄       `¨ ´ /   从′   「え!?
       {.     八 _____ u /   / :|      お腹ぺこぺこなのに走るの!?」
.       入_  _ 乂 ____ノ ノ  /   |
      〃    ////≧、n nー― 〃   ′ .ハ
   ,  ´ / //////∩ゝフ `┐へ八   /   ′ ヽ
   {      /////// └ ┐  ヽ  } ヽ {.       \
   {. ′ //////////// `ヽ_}く   ゞ\        \
  八 {  /////////////r‐′‐┤/\     \      }
  〃 ゝ/////////////{ ̄ ̄ヽ}/ィノ    人    /
  /'   〈////////////ノ    /八      / 从  〃



―――――――――――――――――――――――――――――――
  号令をかけて走り出した少年は
  数歩先を行った二人を追い越し、
  元気になったのならまあいいか、とため息混じりに頷きあった二人も
  できる夫を追いかける。
―――――――――――――――――――――――――――――――

479 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 23:02:12 ID:eEJrO9II
121.
―――――――――――――――――――――――――――――――
  抜きつ、抜かれつ走りながら、久しぶりに心から笑った勇者の心は、
  雲一つ無い夕焼けの空のように晴れ渡っていた―――
―――――――――――――――――――――――――――――――



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;::::;::::: ::::: ::: ::                       ::::::;''
::::: ::: ::. f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ          _________
  __ |  やれやれ。                        |.....冒─A ./:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/ニ=ニ゙|  さっきまで泣きそうだったってのに現金な。  |    / ∨:::∧:::::∧:::::∧:::::∧:::::∧
三二三乂___________________ ノ\─イ i!i!.| ̄|「l ̄|「l ̄|「l ̄|「l ̄|「l
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ , '゙ \ |;:;/;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;゙f´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ.゙|「l
[日 「lィ==ュ'"     `/.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;',:',:' |  いやあ、それにしても幸運でしたね!  .|.゙__
  , '".ト- イ       /.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;',:',:',:'゙乂_________________ ノ.゙'.'
'"    l::: |      ,:/.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;'.;',:',:',:',:',:',:'/.'.'.'.'.'.'.'.'.'.'.'.'.':':':':':':':゙| .:.:::::::::.:. |.'.'.'.':':':':':':':':':':'.'.'.'
      \_人_人∧从_人_∧_人_人_人_人_从_//. '.'.'.'.':':':':':':':':゙:| .:.:::::::::.:. |.'.':':':':':':':':':':':':':':'.'
____.. )                       >゙'.'.'.'.'.'.':':':':':':':゙:'゙| .:.:::::::::.:. |.'.':':':':':':':':':':':':':':'.'
',:',:',:',:',:'<  ちょっと、待ちなさいってば!!  >゙'.'.'.'.':':':':':':':':':':'| .:.:::::::::.:. |.'.'.'.':':':':':':':':':'.'.'.'.'
',:',:',:',:',:',: <                      (.'.'.'.':':':':':':':':':':':':':':゙| .:.:::::::::.:. |.'.'.'.':':'':':':':':':'.'.'.'.'
,:',:',:',:',:',:' /^Y ̄∨ ̄∨^Y^⌒Y^YY^^Y^Y^Y^^Y^.゙'.':':':':':':':':':':':':':':':':| .:.:::::::::.:. |.'.'.':':':'':':':':':':'.'.'.'.'

480 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 23:02:41 ID:eEJrO9II
122.









                 ─────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
                        ~できる夫は苦悩する勇者のようです Remake~
                                            END
                  ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────







.

 
-481 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 23:03:07 ID:eEJrO9II
11時10分からリメイク版本編予告を投下します

(´・ω・`)ちょっと休憩

482 名前なんて無いだろ 2016/12/10(土) 23:03:40 ID:UdgpIJcY
いったんおつー

483 名前なんて無いだろ 2016/12/10(土) 23:09:19 ID:XV8YlBGo
旦乙ー

484 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 23:10:11 ID:eEJrO9II
予1.



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:::.:. .: .: .: . . . . . . .
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:.:, .: . . . . .          ―――そことは異なる時―――
:.:, .:, . . . .

                                 . . . . . .: .:,:
                               . . . . . .: .: .:.::
                            . . . . . . . .: .: .: .:.:::
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485 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 23:10:44 ID:eEJrO9II

予2.
――――――――――――――
   そことは異なる場所に。
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486 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 23:11:17 ID:eEJrO9II
予3.
―――――――――――――――――――――――
  人が、大地の支配者ではない世界がありました。
―――――――――――――――――――――――



    ∧,..,.                     ∧,..,.              ,..,.∧
   , ,(ili゚ -゚)    ∧∧              (゚-;:゚*)            (゚- ゚*)/|
   i:iU;:とノi   (゚-;:゚;)         ∧∧  o:;o:;)               |   と )|
 ~ノ,,,ノヽヽ   ,ヘ;:とヽ        (゚o ゚;) (:;(:;_;:つ       ∧∧    |   ,, ヽ|
   し'`J    U (;:,.つ       U:;:;;;U          (゚- ゚;)     し'`J
                      |;:;: メ:;)~ <>)))━━O━と )━
         ∧∧             し'`J           | :;メ;:)~
         (゚p ゚;:.) ∀                ∀ l、    し'`J
       /^;,/i::;)つ|       /;:)/:;)      /'l/'l | /~
      (,.:;/:;;:;|、 ▽    ~;:;; /     (:; :; ゚;)つ;:-、
        ,;:::;;:;:、        ∧∧,.,.,.,.,)          ,.,.,.,.,
   ,,,.,.,.   ∧∧∩       (:;p:;::#):;:; :; :;つ      <<:;;:*;:)∞、,.,.,
  /:;: メ:;つ (。:;:;。:;):;'        ヽつ|と:;ノ""             @(:;,.:;:,つ
  し'´                 Α                    u'`u
      ∠ニi=
    :;;/l:;:;           (゚p ゚;:.) ∀                ∀



――――――――――――――――――――――――
  ここでは人々はさまざまな驚異に曝されています。
――――――――――――――――――――――――

487 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 23:11:43 ID:eEJrO9II
予4.
――――――――――――――――――
  さまざまな驚異。

  それはときに厳しい災害であったり、
  人以外の種族との摩擦であったり、
  人同士の諍いであったりします。
――――――――――――――――――


                                                  人___/丶人_
                                                 /::::::::::::::::::::::
           ∧                                  人_ノ:::::::::::::::::
         _^-| ,ヘ _           _ __  ┃┃             /:::::::::::::::人_人
       /    /^  \∧ヘ ヘ ヘ /,- 二/    ━┓            ノ::::::::::ノ
      /      /^ _  .| ̄ニ、 ̄  // ̄       ┃━━━━━━  ノ::::::::::丿
      /|      /^ \\|ニ| |ニニノ       ━┛        人_ノ:::: /
     / |\ _ ,      ヘ \ \| |                    /::  丿   ∧_;;;::::
    / /|  (ヽ     ヘ } ,_ゝ >_                丿:: /    (・Д・ ;;:::::
  /  < }   \ヽ__、―-(_. -゚´^゜´-― ⌒)           ノ:::: ノ     (  つ ;;:::
   ̄\「/  >―-`―-)/ , `-ヘ_-―vv-w´     __=二:::: .ノ.      ;;:: ヽ;::
     / /      ヽ/  ̄\\z⌒ヽ,、     二二                (__;;:::__;::::
    /  \        /  \\z~ y        ̄ ̄=二
     ̄\| ̄          ̄\| ヽ 二/             ヽ,,,,,,,....--ヽ 人_人 人从人_人人_
                                      \ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::



―――――――――――――――――――――――
  比較的友好か中立を保つ亜人間のほかは
  敵対的とも言える怪物、妖魔、
  そして闇より生まれし者どもばかりのこの大地で、
―――――――――――――――――――――――

488 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 23:12:14 ID:eEJrO9II
予5.
――――――――――――――――――――――――――
  人は各種の『魔法』と呼ばれる超自然的な力や、
  才能ある者が鍛錬の末に習得できる
  『戦技』と呼ばれる技能を主な対抗手段としていました。
――――――――――――――――――――――――――



                /    /    \ ヽ   ヽ ヽ
                 //  / ∧    :.  \\   :.',:.. ',
                // : { /:.ハ :l:.  ト;.: |l_ハ_:|   :.:l:.:. l
              l ハ 从丁≧ュ、}:.: 厶斗矛廾   :.|:.:. l
              レ' ヽ:|:.:} ,仟:r'} j/ 之:ン゙ |   .:.|:.:. l
                  ト-ゝ ゞ'´ ' __      |   .:.|:.: ',
                 / | ∧   f'ー ヽ     !   .:.ト、  \
                   / .|  ヽ   ヽ _,ノ  イ   .:.|:.}:.   \               ,. ' ´
                /   |   :.:> 、_,. < |/   .:.|:.:',:.:.   \.        ,. ' ´
               / .:.:.:ノ ,z==|テ廾ァ、/  .:.:.:/\\:.:.:.:.:.  ` ̄`.,. ' ´.________
 \人_从人__从_从人__从人_人从人ノ/....../\.:.:.:.:/:::::::`ヽ\:.:.:.:.:.,. ' ´.゙─────────<\
  >                        <.'/  .:.:.:\/::::::::、:::::::::}:.,. '.゙ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  >  万能なるマナよ!        <     :.:.:.:./\:::::::: ,. '゙ノ  /  ̄ ̄ ̄\
  >  光弾となり敵を撃て!!   < ヽ   :.:.\:,. '.  /  /   ヽ、_   ,ノ\
  >                        < :::::\ . ,. ' ´..... <   /    ( ○)  (○)\
 /Y⌒YW⌒Y⌒WW⌒⌒YW⌒W⌒W\:: ,. '..   ヽ    \|        ___´___   |
           / {二}ソ.:.:.:      ,            \   \        |il!|!il|  /          ,,,、||_______
                    ,. ' ´             \        `⌒´    ̄ ̄' ̄ ̄ ̄ヾイと)」1‐─────
               ,. ' ´                    ゙i               ,____、_____,イソノノ イ| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
            ,. ' ´                         }             /
         ,. ' ´..  \_人_人∧从_人_∧_人__//. /           /
      ,. ' ´.         )                 >.           /                       _,,, ‐'
   ,. ' ´.           <  オーラ・ブレード!!  >.    ,r     <                ___ッ--ー''''''"´
,. ' ´.               <..                >---z___ッ--------―'''''''^゙゙゙゙ ̄´゛
                     /^Y ̄∨ ̄∨^Y^⌒Y^YY^Y^..../ヘ───--  }                        仁¨¨
                              /     /ノ  ソ____/                        仁二__
                            /     / ゞ___ノ                   て ̄ ̄¨¨¨¬―二ニニ==
                           ____           <ニ'''¬――--z_    `''-、,    _r--‐==ニ
                        ¨¨¨ ̄     ̄ ̄'''ーz_ッ-‐'''''¨ ̄ ̄            ` ̄ ̄ ̄ ̄‐=≦―――''''" ̄
                            !、__ _)

489 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 23:12:47 ID:eEJrO9II
予6.
――――――――――――――――――――――――――――――――
  その様な力を身につけた者の中には
  厄介ごとを引き受けて報酬を受け取ることを生業する者がおりました。

  彼らは冒険者と呼ばれ、
  町に根付いたり仕事を求めて各地を流れていたりします。
――――――――――――――――――――――――――――――――



                    ___
                  /      \
                /     、_,ノ  ヽ
               /       (● ) 丶
             /         (⌒  l
            /             ̄l__)     __
         r‐ ‐-- 、               ノ    |  ̄`》
         上: : : : : :>‐-.、__         /      〉二〈
     レ<>㍉、: : : : : : : : :>      /        |ニニ|
    /: : : : : : : : :ヽミ、: : : :/>ヾ,__ン         |三ニ|
  /;. -‐- 、: : : : : :=ド、ヽ//   j `.-、         /ヘニ7⌒)
 //_/ ̄ヽヽ |: : ニ||: }}: ≫≪=: : :_≫      / ィニにン-、
||`|`i⌒j |||二//: :}}: 二//: /           / ノ / _/-、
/∧ ゝ二 ノ ノ: !二ノ_ }}: =//: :\            |  (__,イ_,. -<
| ヽ` ー--イ : =∀ニ|r‐㍉、」」、}: : : ≫    (`ー‐┴ー┴‐ー┴---'‐'")
|: : :`:ー┬': : =/二 \: : :=}}ニVX´        ̄,《「 ̄ ̄ ̄ ̄「 ̄ ̄
": : : :|=: |=: : =|ニ: : : : \ノ=三|:、\      ri´: : | ̄ ̄ ̄ ̄|
: : : : :|二|二二|ニ : : : : }}}=〉ニ=ト:二ユ__  /: i!: :_x≦'" ̄ ̄\
: : : : :ヽ=|二/ニ: : : : : }}}=|ニ=|ニ: : : : 〃´: : ;x<: :: :: ≧ \   |
: : : : : ヽ\/|二_: : : :}}}ニ|ニ=/<: : //: : :/:: : :: :://: :\___  ハ
: : : : : :、:\=〉‐-- 二_ー‐'ニ/二二|: |//:: :: _:: ::l=/:: ::=_:ヽ=、:: ̄:\__
: : : : :、 ヽニ〉|||||ト]トrへ二ニニ/:=:: ::_::=:: :: l=|: =:: :: ≧\三≧x:: ::ヽ
: : : : : : 、 ∨ ̄`'┴-t⊥jj[]   >/::/:: :: l=/:= : 川:: ::=:: :: ::`:: :\三=Vヘ」
、: : :=: : :\\:: ::|:: :: :|::三r' /_/:: :: :: :: :l/:: :/三!:: :: `≧、_: :: :ノ三三}
`: : : : ニ\Y´|:: :: :: :: :: :: V/::=/:: :: :: :: ::/::/三三|:: :: :: :: \三三三三}
: : : : : :\ニ>}_-_―三V={:: ::≦三/三三三三ト、:ヽ≧、=ニ三三三ヘ、
: : : : :/二><!三三:: :: :: :: ``=ニ三/三三三三ニ!:!≧、:\三≧≦三三=〉



――――――――――――――――――――――――――――
  これからお聞かせするのは、そんな一人の冒険者の物語。

  名は―――
  いえ、それはおいおい語られて行くでしょう。
――――――――――――――――――――――――――――

490 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 23:13:13 ID:eEJrO9II
予7.
――――――――――――――――――――――――――――――――
  ですが、この世界の主人公は決してその冒険者一人ではありません。
――――――――――――――――――――――――――――――――



          |::ヽ/::::::〈 へ、      /
         /7、  ブ      ,-┘:::::::::::::::::::::::::::`>   .く   _
        〈〈::ヽ彡 ブ   ∠::::::/::::::::::::::::〉ヽ::::::::\   〉   ―、
         ヽヾ:;ヽ    ン   /::〈:::|^^|:::::/\ト、ヽ::::::>  /    __ノ
\        彡ヽヾ::ヽ彡   /::::::ハ|_l/l/.__-ヽ|:::」 //)   ‐┼‐
\\彡      彡ヽヾ::ヽ彡  . ̄7/.|__|─|__|- lj/彡///{    r‐lァ‐、
  \\       彡ヽヾ::ヽ     ヘ.  __;__、u/ミ  /// 〉   {ノl ノ
  彡\\彡       ヽヾ::ヽ     フヽ辷フイ{ヾ  ///彡l    ‐┼‐
   彡\\彡    彡ヽヾ::ヽ彡  /::::〈`l7:´::::::ヽ ///  <   r‐lァ‐、                           ,. ''"
     彡\\彡    彡ヽヾ:ヽ ノ::::::::::::V::/:::::::::::〉//彡 /   {ノl ノ                    ,. ''"
      彡\\彡 ブ  彡ヽヾ /:::::::::::7::ト/:::::::::::/ /  〈    ‐┼‐                  ,. ''"
        彡\\彡ン     /::::::::::/:::::/::::::::://  //ヽ.  r‐lァ‐、              ,. ''"
`丶、.彡        \\     /::::::::::/l /:::::::::/::l //彡 〉  {ノl ノ          ,. ''"
`丶、`丶、 彡   ∠二フ /:::::::::::::/ /:::::::::/::::! /   /   ‐┼‐      ,. ''"
 彡`丶、`丶彡  ヽ,'~つニ〉ヾ:::::::://::::::::::/::::::::j _,. - ' ´く   r‐lァ‐、  ,. ''"
    彡`丶、`丶彡 ゙へノ7  ヽノ<::::::::::/ヾー--¬_,- ' ´  〉  {ノl゙,. ''"
       彡`丶、`丶、彡くヲ``  ヽ</^ヾフ=/{     /..... ,. ''"
   ┌──────────────┐:::::::::::ヽ,..  ,. ''"
   │騎士見習:ジュン=サクラダ    │::::::::::: ,. ''"
   └──────────────┘,. ''"
              l:::::::::::::::r -- ' ´...  ,. ''"
           /::::::::::::::l..   ,. ''"
                 ,. ''"
             ,. ''" ___
         ,. ''"   /     \          「やる夫は小心者だからつねに最悪を想定してるんだお!
..     ,. ''"      /   \ , , /\          そうすれば何があっても『なんだ、その程度か』って
              /    (〇)  (〇) \        冷静にいられるから!
               |       (__人__)   |
                \      ` ⌒ ´  ,/ ,;:''"゙゙'':.,   だからもう一度言ってやるお!
             /⌒~" ̄, ̄ ̄〆⌒,ニつ    :;.   お前の企みは『予想通り』なんだお!」
                |  ,___゙___、rヾイソ⊃:、,. ..,::'、‐-  _
               |            `l ̄             ̄ ‐
             |          |
                         ┌────────────────┐
                         │  魔法使い:やる夫=ニューソクデ  |
                         └────────────────┘



――――――――――――――――――
  彼と出逢った者、共に歩んだ者も、
  それぞれの物語の主人公なのです。
――――――――――――――――――

491 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 23:13:48 ID:eEJrO9II
予8.



                 ,   ̄ 、
                 r、________ヽ
                    i: : : . . :そ: :l
                l` ̄ ̄ ソヾl.,-'i,,_,,、
                 __、 ゝ       j .l,,ゞヽ\ .__
            ..ュ、|r‐ヒ‐クii,,_、  ┤! / l: .ヽ.l, '、 /l
        ,..イ〈llィ'´\\ \ .''q ̄.´.,ノ'/ l:: 〔 .l .l \ !
        r `-゙\ヽo.\   `ぐ㍉;;'゙_/  l:: |、 l.l  ゙;/
       │.,    \ヽ ヘ   .\    !:: l. l.′ |
       .,i         \ヽムヽ   ヽ   !:: ..l. l /
      ,yハ、       ;;;; \ヾ i \   .ヽ, |:: .l  l
     ,,i' ヽ, .´`ー.、.;;;;/,  \ヽスヽ、、  ` !:: !、 .|
     |、  `'、   .;;;;┤    \ヽ)`ヽ.゙、   l::  .l
     l`-.、  ゙ニ;;;;;;;;ノ       \ ソヽ、   !、: l
     ヽ、  .""ー ;;;;;;l′.        .\'くゝヽ'、、l  \
      》ゝ─‐ イ;;;:;;./;;          .   \マ 、ヽ、ヽ  ヽ
     .l゙ ,!  .__人_;;{;;;               \\ヽゝ..    \
     .|.. |.r'" `Y´ |;;;:              \マ.llヽ    \
     .|,,.イ|   |.゙'l;;;                \'く. \     \
     ヽl .i"ミー;;./ ~l丶             ヽ;;   \丶l\    ヽ
      ゙‐''、|;;;;;;;;;;;l";;                    l;;    \゙く心、     |
        ゙l;;;;;;;;;;;;l;  .、      i;;         ヽ;;     \ .{大 、  |
        丶-ヾl゙  !;;      ヽ;;        ヽ;;     . \くりゝ |
              │  !;;         l;;           `、;;    \丶、\
           /   .!;;       ヽ;;           ヽ;;     \゙く_ \
          /    !;;        ! ゝ;.           \;;     /\_ノ
          /  .,i;;   .!;;      .|;; l;;            ヽ;;- /
         ,i′  l;;   .!;;      ゙、;.l;;             l;; `|
        ,/    |;;   l;;       ヽ;l;;           1;; |
       l、    |;;   /;;    ,   |;; ゙、;; 'i;;       ヽ_./
        .!   ,";   .l゙;;     !;;   ヽ;.ヽ,;.ヽ;; ..       /
        .│ ./;;;    ,!;;     .'L;;  ..l;; .`  .\.;   _,, ノ
        l/゛;;;    ./;;      t;;   ヽ;;     ゙ヽ ._,;
        /;;;!、   i´;;         l;;   .゙!,;    . ゙'{lll!llllllllllll!!
     _,,iiiiiii|:::::::::‐,,, /;;   .     ' .         _,,illllllllliiii,,,_.
    .illllllllllllliiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiヽ,,,,,l_____,,,,,,,,,,,,、 ._,,,iiiiiillllllllllllllllllllll!′
     ゙゙!!!!!!!!llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll!!!!゙゙´
           ̄ ゙̄”゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙ ̄゛



―――――――――――――――――――――――――――――――
  ただ、私は彼を追い続けた者として彼のことを謳いたいと思います。
  他の主人公たちの物語は別の謳い手に任せるとしましょう。
―――――――――――――――――――――――――――――――

492 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 23:14:11 ID:eEJrO9II
予9.
―――――――――――――――――――――――――
  ………私?
  私はまだ、名乗るほどの者ではありません。

  長い長い、彼の物語を最後まで謳うことができたなら、
  そのとき名乗りたいと思います。
―――――――――――――――――――――――――



                 __
               /´;;;;;\\;;;\
              /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヾヽ;;;;;ヽ
             /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_ヽ_、;;;;;ヽ
            /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,イ´::::::::ト、;;;;ヽ
           {;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/::::::::::(○)ヘl;;;;;〉
            ヽ;;;;;;;;;;;|;;;;/::ェェェェェェェェイ)};;/
             λ_ゞ\ゝェェェェェ/_,/У.    「チッ。
             イ;;;;;;;;\;;;;;;|;;§ミ三;;;§;;;|;;;;ゝ    相変わらず世の中クソだぜェ」
             /;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;;;|;;§;;Ц;;;§;;;|;;;;;;;ヽ
        ┌───────────┐゙∧;;;;;;;;;\
        │  戦士:キル夫=ヤマト │;∨;;;;;;;;;;;;;;;\
        └───────────┘ ;;;;ヘ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\

                                 __,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,.、、、.---------―一―¬'
  .,,,,,,,,,,,,.、、、---------―――ー'''''''''''''''''''''''"゙゙゙゙"゙゙゙゙ ̄ ̄


                 ,. ‐,ニニ丶、
            //´   `ヾ:
            j.:/
            {:{          _,.,
             ,. -:`: :": ̄:゙゙: :'':‐- :'": :|
         /: : /: : : : : : : : : : : ; : : : :「 ̄二: :_‐.、
       , ': : : :/:./: : : : :,: : :.ィ::!: : : : j: : : :`ヽ、``丶、
        ,': : : :./, ':::; : : : :./: :, ':|::!: : : : ;{: : . . 、 ` 、
       i: : .:: :,!':::::/: : : ;/: ; '::::::!l: : ; : :ハ: : : : :、: : .ヽ
        !: : :::/::::::/: : :7フア'‐::::::l!: /: :.,'_;;;j: l: : : ヾ::、: :゙:
.      |: ; /::::::;,': : :/_l/___::::::j.:/ : /::::::::i:.|: : :i: l`ヾ: :l
.      ,!',/:;:イ,': :./!{T示干':::::;!/: :/ィ夫ォキ|: : :l: :!  ヾ}
      /イj/:/_|:!: /::|::.!_ l|::::/イ:./::l_ l | lハ{: : :{: :|
     / !: :゙ ' ||;/::l:|:::ヽ-' .::::::::::!/:::::iー' :::!:l'|: : ハ:|
.       !: :: ゙l'||:::: i:|::  ̄    '′  ̄ ・l::l !: ,' ゙:,!
       j: : : l::l :::: :i:ト,、      ,,  _,..ィ:.|. |/
      /: : :/::;l ::: : iヘ::...` ー、-‐ァ:'/ l::::: :|     「エル。
     /: : ;!:.:.:l: :: : :i |.;.    iー、/_  |:: : :|     次はどこに行くの?」
  ┌─────────┐..ヽ::::ヽ ヽ|: : :.|
  │  盗賊:コナタ   ...│  i:::::::i  i|: ::.|
  └─────────┘

493 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 23:14:44 ID:eEJrO9II
予10.
―――――――――――――――――――
  また、始める前にひとつ誓います。

  私はただ事実のみをなぞらえると。
  決して誇張でも冗談でもない、
  本当にあったことだけをお伝えする、と。
―――――――――――――――――――



.     /\___/ヽ
.   / '''''       \
   | 、( ●) ....::::::::::::::::|
   、_, )ヽ、,,   ....::::::.::::.|.     「見せてもらいましょう。
   |=‐、'    ........:::::::::.|.       英雄の力というものを」
.   \:,..-''ニニニニニニニ.V
,,....--'''':::..     ..    ゙-、
:::::  ::.      i     ヽ i
:::::  |::::      |:::.     i |
:::::  |:::::.     .(:::::     :||
┌────────────┐
│  盗賊:ダディ=クール   .│
└────────────┘
                                 __,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,.、、、.---------―一―¬'
.  ,,,,,,,,,,,,.、、、---------―――ー'''''''''''''''''''''''"゙゙゙゙"゙゙゙゙ ̄ ̄


             ___
           , 〆;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`;;,,,、
         //;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\
         / :/;;;;; 〆~^~^~^~^~^ ' ヾ、
      / :/;;;〆   ;          l!'
      / :/;;;/  l ! l!    l l  ', l!
     ,' イN;!  !_l! |! i  l! l! l |!l
      ,.  从レ  |!_l! l!l !: /,/__/ l! l !
      ,   ルリ lヽ. トソ`i l! ! / /__//l イ!
     :l!  《_l!__! ヽ ゝ   ,  ヘソ/./ /l!
     | /; ; ;:;:| ト.ゝ  _   .イ/ //|l!
.    /; ; ; ; ; ;ヘ ヘ> ._  <=./ // l!!   「お爺さま。
    /; ; ; ;;: ; ; ; ;:;ヽ∨弋 乂1;:;/ノ/ヽ.j:|     馬鹿な夢だと笑われるかも知れませんが、
  /; ; ; ;:;:; ; ;:;: ; ; そヘ 辷1 .》;:;:;:/;:; ;1:|      私は騎手になりたいのです」
  〈; ;:;:; :;:;i;: ; ;:;:;: ; ; 弋,、,、,,ソ; ;ヽ;:/; /!.|
  ヽ;:;:;:;:;f=-,..、;:;:;: ; ノ; ; ;丱; ; ;.;l!; /;:l |
    下从゙┌───────────────┐
     | |く...│  騎手志望:水銀燈=G=アカギ......|
          └───────────────┘

494 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 23:15:21 ID:eEJrO9II
予11.
―――――――――――――――――――――――――――――――――
  歪めた表現も大げさな言葉もいりません。
  それは彼らに失礼なことですし―――なにより、その必要がないのです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――



       /| .N '             ,_≦<⌒
        | ∨  #     ,、 ,、 、ヾ-ヘ> 、-ミヽ
     /` ,.ィ    , / ハ !ヾ|ハ.V, ,ト,ハ-ヽイ
     /'フ//∧,ィ ./.|/ ,、リ小|,ト,:|:リ、:ヽ|:<
     И .レ ' .|//ノ /jィ::ハ::!:::リ;メ「ハ:}'ヾ、Y
    弋ー__,、 | ,//|'/|/:ム!/‐|l::::|リィtチ''Vリ
    ヽ-≧:::Ⅵ.代!ハ:|;::/,ムtチ Ⅳヾ ̄ .トヾ      「悪いがこんなトコでくたばってらんねーのよ。
.     `T:|;::::ハ|:_'ヽ、Ⅳ ̄´     _,〉  .|
.       ヽト、l:::「:トヾ、` ┃    __,,  .iァフ.       ガキの頃の口約束なんぞ信じて、
        厶イゞイ≧ヽ  #   ' ニ´ /./:!.      俺の帰りを待っているヤツがいっからよ」
          '´ レヘ;ーヘ  ,,_____,,//:::::ゝ  _ -、
             ハ|;V: : : : : : : /./:::::/7才   ヽ,,_ _
            /イ:::レ:ヘ  : : : : 'ーァフ::::/イ     /`ー-ミ、
           / /_::::::::::::ハ      j |:::;イ     , ′       `丶、
          ム-- ミ丶::::「' :.    //:/     , ′         ヽ
  ‐- ..,,_        ノ:::ヽV|__,,,、 ィ7.┌─────────────┐
.         ~゛'' ‐- ..,,_::::::ハ.'|  ` / │  サムライ:銀時=坂田  ......│
                ::::: ~゛'' ‐- ..,,_゙└─────────────┘
                          ~゛'' ‐- ..,,_..   ,::::|  #    .ハ
                  _  _...  .._.        ~゛'' ‐- ..,,_      ハ
               /   .ヽ__     `ヽ  ,.  _           ~゛'' ‐- ..,,_
                , ' /   ,イ//,!  ;'     .'",.イ⌒`
            /  ! .//////  !        `ー-  ァ
         ,ィ/   l /////ィ∧ー.! / ./  /  、-‐ '"
        /-/    l ┌──────────┐
         /l     .l . │  ???:???  ....│
        '"l     .li/.└──────────┘
          |     .!!    .l'/===-、.!_, 、 イ ./
          |     l.|     リ二二ニニ/.イ,/
          |    .l |     |ニニニニ='ム       「イエス、マスター」
          |    .l |     |二ニイ二二ム
          |    .l |     |ニニ'ニニニニi:、
          |    .l |     |ニ,'二二二ニ{: :,
          |    .l |     |ニ,ニニニニニ',: :,
          |    .l |     |=!二二二ニ,イリ: :}
          |    .l |     |_l二二二/ニ/; :ノ



――――――――――――――――――――
  ―――さて、準備はよろしいでしょうか。
―――――――――――――――――――――

495 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 23:15:41 ID:eEJrO9II
予12.






               始めるとしましょう。
               永遠に伝えられるべき、「彼」の物語を―――





         ┏┓                                ┏┓
         ┗╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋┛
         ┏╋──────────────────────╋┓
         ┃|  ~ やらない夫は約束を守るようです ~.       |┃
         ┗╋──────────────────────╋┛
         ┏╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋┓
         ┗┛                                ┗┛


.

 
-496 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/10(土) 23:16:20 ID:eEJrO9II
以上で本日のリメイクこねこねタイム終了です
閲覧合いの手ありがとうございました(´・ω・`)

次回本編は制作進行中です。

497 名前なんて無いだろ 2016/12/10(土) 23:17:22 ID:rFj3U9NU
乙乙
前の話も素敵だったけど、リメイクもいいなー


498 名前なんて無いだろ 2016/12/10(土) 23:19:21 ID:RZvcxTUA
おつ
本編が待ち遠しい


499 名前なんて無いだろ 2016/12/10(土) 23:21:09 ID:UdgpIJcY
乙ー
やる夫が魔法使いだったのが意外w


500 名前なんて無いだろ 2016/12/10(土) 23:22:17 ID:DJxGRvk2
乙でした
懐かしいやり取りだったなー


506 ショボン玉 ◆Shobon64HI 2016/12/11(日) 00:20:11 ID:eiNdKwDY
とにかく本編優先ですからね

復興記がもう少しで終わるので
その後ちょこちょこと何かを挟むかも知れないし
挟まないかも知れません(´・ω・`)

512 名前なんて無いだろ 2016/12/11(日) 10:06:31 ID:zIUIBFk2

本編も期待


513 名前なんて無いだろ 2016/12/11(日) 10:42:57 ID:PgucP32Q

勇者も大変だな


516 名前なんて無いだろ 2016/12/11(日) 14:30:31 ID:S9aXNzqw
今までちらちらとでてきた銀時とか、未登場のダディとかのコマで、ちょっと鳥肌がたった。

ワクワク感が倍増しますな。


520 名前なんて無いだろ 2016/12/12(月) 10:02:59 ID:buUeOmro

予告は色々人物増えててワクワクすっぞ!
リメイクはルイズかわいい!この一言に全てが集約されるぜ

元スレ
やらない夫は約束を守るようです53

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8509 『できる夫は苦悩する勇者のようです Remake』の前後エントリー2017年01月21日 11:53

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